学校外社会における現状
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/03/27 05:59 UTC 版)
「年齢主義と課程主義」の記事における「学校外社会における現状」の解説
日本では、学校教育と直接関係ない場面でも、学校と同様に年齢主義があったり、「中学校を卒業すれば、全員が高校に進学する」という「誤った前提」に基づき、「高校が義務教育」と誤認する課程主義の考え方があり、中卒者および自主退学者の事情をほとんど考慮していない。 このため、自分の年齢では少数派の学年に所属している場合、または高校に進学していない(できない)場合、特に「中卒」(または18歳~20歳未満)であることを理由に、予測できない制限や不利益を受けることが多い(年齢が18歳〜20代以上であっても、「中卒」では国家資格・業務独占資格がほとんど受験できず、選択できる職種が高卒以上に制限されるため、中小企業への就職は事実上不可能になっている)。 たとえば、学校の在学生のみ(15〜18歳の高校生のみ、など)を対象にしたイベントやサービスには、学校の年齢主義や課程主義が影響しており、高校の非進学者(高校に進学していない、15歳〜18歳の者)には各種イベントへの出場資格や学生割引などのサービス一切受けられない。 小・中学生の段階から活動を始めた芸能人(子役、アイドルなど)やスポーツ選手が中学校を卒業した場合、高校に進学し、かつ卒業しなければプロ活動(プロ野球選手など)はほぼ不可能になるため、高校で学業に励みながら兼任することが暗黙の了解となっている。芸能界は学歴より実力が重視されることや、芸能活動を禁止している高校もあるため、あえて進学せず活動している芸能人(安室奈美恵、山田孝之など)も少数存在するが、やはり進学しないと異端の目で見られる懸念があるため、学業に励みつつ空き時間に芸能活動(テレビ番組の収録など)も行う芸能人もいる(引退後に高校へ進学することも不可能ではないため、必ずしも終生にわたって中卒のままとも限らない)。 高校の在学者のみを対象とした、スポーツ大会(高校野球など)や、日本数学オリンピック、日本テレビの全国高等学校クイズ選手権などのコンテストも、最低年齢より数歳年齢が高いと出場資格がなくなるし、ソフトウェアのアカデミックパッケージの利用にも、「高校生であること」と「年齢の上限」を課し、「中卒を対象外」としている場合もある。 このように、学校教育とは直接関係ない場面であっても、「高校以下の学校が年齢主義で運営されている」ことや、「中卒者が全員高校に進学している」ことを「暗黙の前提」としている場合があり、学校外においても年齢主義と課程主義の影響が存在している。これについては過年度生でも詳述している。 逆に、学校の在学生であることによって身分制限がある場合もある。例えば2005年までは学生・生徒は競馬の馬券を購入をすることを禁止されていた。また、R15指定の映画の観賞は、年齢制限をクリアしている15歳以上でも、中学生・高校生の場合は入場が禁止される。また、18歳以上から利用できるサービスでも、高校生や大学生であることにより、風紀上の理由で禁止されるサービスなども存在する(例としては原付・自動車の運転免許証など。ただし、高校の卒業見込と認められれば、3学期の卒業式前に教習を受けられる場合はある)。 こういった「在学生であること」や「中卒であること」(高校に進学していないこと)による制限は、厳密には教育課程についての考え方ではないため、課程主義と呼ぶことは異論もあろうが、年齢基準より「学校種」や「学歴」(中卒か、高卒以上か)を基準とした制度であるため、学校外社会においても「課程主義」の存在が影響しているともいえる。しかし、こういった考え方に対しては、それらの学生・生徒が退学したら、その瞬間からそれらのサービスを受けることに対して適性が生まれるのであろうかという疑問も生ずる。実際、2005年の改正競馬法では学生・生徒の馬券購入・譲受禁止は撤廃され、禁止対象は「20歳未満のみ」に緩和された経緯がある。 大学などであっても、高年齢だと奨学金や留学制度などが使えない場合がある(50代で東京外国語大学に編入した人の証言)。 また、一部の企業では入社の時期ではなく、年齢によって給料が決まっている場合もある。また、学校卒業者の新規採用では、浪人経験者など年齢が高い応募者は、受け付けない企業もある。これらは、新卒一括採用制度という日本型採用システムそのものも含めて、企業社会における年齢主義といえる。本来、年功序列制や新卒一括採用制のないアメリカなどでは、(正当な理由がない限り)高年齢を理由に就職を断ることは禁止されているが、日本では国家公務員試験や公立学校の教員採用試験でも年齢の下限・上限が定められている(受験前と受験時の日数差による加齢を防ぐため、生年月日の下限・上限を明確にすることで年齢を制限している)。
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