存在の四つの状態
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/04/27 05:44 UTC 版)
「業 (ジャイナ教)」の記事における「存在の四つの状態」の解説
「ジャイナ宇宙論」も参照 ジャイナ経典では四つの「ガティス」の存在が前提されている。ガティスとは存在の状態あるいは誕生する範疇のことであり、その中で霊魂が転生を繰り返す(ガティスは仏教の六道に相当する)。四つのガティスとは: デーヴァ(神々)、「マヌシュヤ」(人間)、「ナーラキ」(地獄に住まう者ども)、「ティリヤンチャ」(動物、植物、微生物)。以上四つのガティスに対してそれぞれ対応する四つの領域つまり居住するレベルが上下方向に段階上になっているジャイナ教の世界に存在する: 半神半人は天国が位置づけられている最も高いレベルを占める。人間、植物、動物は中ほどのレベルに住む。地獄に住まう者どもは低いレベルに住んでいて、そこには七つの地獄が位置づけられている。 しかしなら、「ニゴーダ」と呼ばれる一つしか知覚能力を持たない霊魂と元素である霊魂(ジーヴァ)は世界の全ての階層に充満している。「ニゴーダ」は存在のヒエラルキーの底辺に位置する霊魂である。ニゴーダは見て取ることができないほど微細なため、個別の体すら欠いており、群を成して暮らしている。ジャイナ教の聖句によれば、このニゴーダの無限性は植物の組織、根菜、動物の肉体にも見出されるという。魂は自身に付着したカルマに基づいてこの運命の宇宙論の領域内で輪廻転生する四つの主な運命はさらにサブカテゴリに分けられ、まだそれより小さいサブサブカテゴリに分けることすらできる。全体として、840万種類の誕生の運命のサイクルがあってその中で、「輪廻」の中で、霊魂がサイクルを繰り返すことがジャイナ教の聖句で語られている。 ジャイナ教では、神は個人の運命に対して何の役割も持たない。霊魂の個人的な運命は報奨や懲罰といった体系に基づくものではなく、むしろその霊魂自身のカルマの機械的な結果だ、とみなされる。古代のジャイナ教正典に含まれる文書『バガヴァティー・スートラ(英語版)』(8.9.9)は個々のカルマの存在の状態と結びついている。暴力的な行い、五感を持つ生物を殺すこと、魚を食べること等々は地獄への転生を招くという。詐欺、欺瞞、ペテンは動物や植物の世界への転生を招く。親切、同情、謙虚といった資質は人間への転生を招く。一方禁欲や戒律の順守は天国への転生を招く。 このため、個々の霊魂(ジーヴァ)は自身の解放と同じだけ自身の窮地に責任がある。蓄積されたカルマは霊魂の満たされない欲望、願望、愛着の総量を示している。これによって霊魂は経験することを望んだ生涯の様々な主題を経験することになる。このため霊魂は数えきれない年月の間ある生命から別の生命へと転生を繰り返し、その間に蓄積したカルマを、そのカルマが要求する結果をもたらす状態に至るまでため込んだままにすることになる。ある哲学では、天国と地獄はしばしば善い行いと悪い行いに応じた恒久的な救済と天罰の場だとみなされる。しかしジャイナ教によれば、大地も含んでそういう場所は霊魂が満たされないカルマを経験するための場所にすぎない。
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