存在の予測と発見
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/11/06 14:06 UTC 版)
エンケの空隙の中に衛星が存在することは、Jeffrey N. Cuzzi と Jeffrey D. Scargle が1985年の論文の中で予測していた。この予測は、空隙の縁に重力的な擾乱の存在を示唆する波模様が発見されたことに基づいている。1986年にはマーク・R・ショーアルターによって、重力的な影響のモデル化から空隙内に存在するであろう衛星の軌道と質量が推定された。この研究によると、衛星の軌道長半径は 133,603 ± 10 km、質量は土星の (5-10) ×10−12 倍と推定され、また空隙内には衛星は1つしか存在しないことが示唆された。なお実際のパンの軌道長半径との差はわずか 19 km、質量は土星の 8.6 ×10−12 倍であり、この推定は非常に正確なものであった。 その後ショーアルターによって、1990年に衛星は予測された位置の 1° 以内に発見された。ショーアルターは1981年にボイジャー2号が土星をフライバイした際に撮られた写真を解析し、また各写真において衛星が十分に理想的な状態で見えるかどうかをコンピュータを用いて予測することで、写真の中に衛星が写っているのを発見した。最終的に、ボイジャー2号が撮影した写真のうち11枚に衛星が写っているのが発見された。
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