存在に対する疑問
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/07/31 14:53 UTC 版)
「プロキシマ・ケンタウリc」の記事における「存在に対する疑問」の解説
しかし、プロキシマ・ケンタウリcの存在を疑問視する意見もある。スーパーアースは水が氷として存在するようになる境界線である「スノーライン(雪線)」付近に形成されると考えられているが、プロキシマ・ケンタウリcはそのスノーラインの位置から離れており、存在に疑問が投げかけられている。仮にプロキシマ・ケンタウリcの存在が確定されれば、この従来のスーパアースの形成に関する学説を覆す発見になり、重要な研究テーマになると言われている。プロキシマ・ケンタウリcは2021年10月に打ち上げ予定のジェイムズ・ウェッブ宇宙望遠鏡(JWST)の観測ターゲットになるとも言われているが、検出できない可能性もある。 プロキシマ・ケンタウリcが存在することを検証するには、HARPSや欧州宇宙機関の宇宙望遠鏡ガイアによる追加の観測と測定が必要となる。発見チームの一員であるDel Sordoは、プロキシマ・ケンタウリcがプロキシマ・ケンタウリ系のさらなる観測、特に直接観測の機会を与えてくれるだろうと述べている。 2020年4月、プロキシマ・ケンタウリcの画像を初めて撮影することに成功した可能性があるという研究結果が発表された。超大型望遠鏡VLTに搭載されている太陽系外惑星探索機器Spectro-Polarimetric High-Contrast Exoplanet Research(SPHERE)による観測で、プロキシマ・ケンタウリcが存在すると予測されている位置に天体のような光が19個撮影され、そのうちの1つは画像上のノイズや背景の恒星、アーティファクトといった惑星とは無関係な場合の光よりも約6倍明るく見え、誤認である可能性が比較的低いとみられている。この光が本物であるとすると、プロキシマ・ケンタウリは少なくとも地球の約7倍の質量を持つミニ・ネプチューン(海王星より小型なガス惑星)である可能性が示された。しかし、依然としてこの光がデータ上のノイズである可能性はかなりあるとみられ、これが決定的な発見であると判断するのは難しいとアメリカ航空宇宙局(NASA)の太陽系外惑星科学者Thayne Currieは述べている。この光について更なる観測が求められていたが、新型コロナウイルス(COVID-19)の世界的流行による世界中の観測施設の閉鎖により、当面は追加の観測が行えない状態になっていた。 しかし、上記のように2020年にその存在が確認されており、太陽系外惑星エンサイクロペディアでもプロキシマ・ケンタウリcの現状は「Confirmed(確認)」となっている。
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