存在の可能性
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/04/27 00:23 UTC 版)
中ノ鳥島があったとされる海域の水深はおよそ5,000 m、また火山帯からも外れており、島があったとしても、それがすぐに消えてしまうとは考えにくい。座標から北東に500 kmほど離れた位置には水深約1,400 mに頂上を持つ高さ4,000 m級の海山(タム山塊)が存在し、これがかつて島であった可能性もないわけではないが、明治末期以降の数十年という短期間で海面下1,400 mまで水没したとすれば、大規模な地殻変動か山体崩壊が起きたことになる。その場合、大津波が日本列島を含めた太平洋沿岸まで到達すると思われるが、そのような記録は無く、中ノ鳥島の存在を裏づけるには説得力に欠ける。 小笠原諸島には「山田禎三郎がこの島と勘違いしたのではないか」という島もいくつか存在し、最東端の南鳥島(ただし、当時は人が居住しており、地形も発見報告と異なる)もそのひとつである。ほかには、当時火山活動によって島ができては海没していた新硫黄島(福徳岡ノ場)というのもあるが、そのような性質の島であれば、地形的にも記録にあるような比較的平坦なものにはなり難く、まして燐鉱石や潅木も存在しえず、結局勘違いなのか、でっち上げなのか、今となっては不明である。 日本近海の太平洋海域はこの手の幽霊島の宝庫で、南鳥島の南西約400 kmに存在したとされるロス・ジャルディン諸島などは典型的な例である。16世紀に発見報告があって以来海図に載り続け、最終的に不存在とされたのは、中ノ鳥島が不存在と確定した更に後の1972年のことであった。
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