存在の提唱
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2018/07/30 19:23 UTC 版)
o-ベンザインの存在はワーナー・バックマン(英語版)らによって1927年に初めて提唱された。ゲオルク・ウィッティヒは1940年にフルオロベンゼンとフェニルリチウムを反応させた際に2-リチオビフェニルが生成してくることを見出した。ウィッティヒらは1942年にこの反応の機構としてフルオロベンゼンのオルト位がリチオ化された後フッ化リチウムが脱離してo-ベンザインが生成し、これにフェニルリチウムが付加して2-リチオビフェニルとなるという機構を提唱した。また1953年にはJ.D.ロバーツらによってクロロベンゼンと液体アンモニア中のナトリウムアミドからアニリンが生成する芳香族求核置換反応で、塩素原子の結合している炭素原子を14Cで同位体標識しておくと、生成物のアニリンのアミノ基の結合している炭素とそのo-位の炭素が50%ずつ同位体標識されるという結果が報告された。 この結果は、クロロベンゼンから塩化水素の脱離により生成した対称なo-ベンザインにアンモニアが付加したと考えるとうまく説明できる。また1956年にはウィッティヒらによって1-ブロモ-2-フルオロベンゼンをフラン中でリチオ化すると、o-ベンザインとフランがディールス・アルダー反応したと考えられる生成物が得られてくることが報告された。これらの研究によってo-ベンザインが実在していることはほぼ間違いないものと考えられるようになった。
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