フルオロベンゼン
フルオロベンゼン
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2025/08/07 05:59 UTC 版)
フルオロベンゼン | |
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フルオロベンゼン |
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別称
フッ化フェニル
モノフルオロベンゼン |
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識別情報 | |
3D model (JSmol)
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ChEBI | |
ChEMBL | |
ChemSpider | |
ECHA InfoCard | 100.006.657 |
KEGG | |
PubChem CID
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CompTox Dashboard (EPA)
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特性 | |
化学式 | C6H5F |
モル質量 | 96.103 |
外観 | 無色液体 |
密度 | 1.025 g/mL |
融点 | −44 °C, 229 K, -47 °F |
沸点 | 85 °C, 358 K, 185 °F |
水への溶解度 | 難溶 |
磁化率 | -58.4·10−6 cm3/mol |
構造 | |
平面 | |
危険性 | |
NFPA 704(ファイア・ダイアモンド) | |
関連する物質 | |
関連するハロベンゼン | クロロベンゼン ブロモベンゼン ヨードベンゼン |
関連物質 | ベンゼン 1,2-ジフルオロベンゼン |
特記なき場合、データは常温 (25 °C)・常圧 (100 kPa) におけるものである。 |
フルオロベンゼン(Fluorobenzene)は、分子式C6H5Fで表される有機化合物である。しばしば、PhFと表記される。ベンゼンの誘導体であり、ベンゼンに一つのフッ素原子が導入された構造を持つ。
ベンゼン様の臭気を持つ無色透明の液体だが、融点がベンゼン(5.5℃)と比べて大幅に低い(−44℃)のが特徴。また、ベンゼン同様に引火しやすいため取り扱いには注意が必要となる。
合成法
実験室スケールでは、フルオロベンゼンはベンゼンジアゾニウムテトラフルオロボラートの熱分解によって得られる[1]。
上記の反応において、固体のベンゼンジアゾニウムテトラフルオロボラートを加熱すると、三フッ化ホウ素とフルオロベンゼンの二種類の揮発物質が生成する。これらは沸点の違いにより分離できる。
歴史
フルオロベンゼンは、1886年に、ボン大学のO. Wallachによって初めて合成された。彼は、まず塩化ベンゼンジアゾニウムをピペリジン塩として、これをフッ化水素酸で処理することにより合成した[2] 。
- [PhN2]Cl + 2 C5H10NH → PhN=N-NC5H10 + [C5H10NH2]Cl
- PhN=N-NC5H10 + 2 HF → PhF + N2 + [C5H10NH2]F
反応性
フルオロベンゼンは、炭素-フッ素結合の強さのため、比較的不活性な化合物である。しばしば有機溶媒として利用されるが、金属錯体を結晶化させることがある[3]。
脚注
- ^ Flood, D. T. (1943). “Fluorobenzene”. Organic Syntheses (英語).; Collective Volume, vol. 2, p. 295
- ^ Wallach, O. “Über einen Weg zur leichten Gewinnung organischer Fluorverbindungen” (Concerning a method for easily preparing organic fluorine compounds) Justus Liebig's Annalen der Chemie, 1886, Volume 235, p. 255–271; doi:10.1002/jlac.18862350303
- ^ R.N. Perutz and T. Braun “Transition Metal-mediated C–F Bond Activation” Comprehensive Organometallic Chemistry III, 2007, Volume 1, p. 725–758; doi:10.1016/B0-08-045047-4/00028-5.
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