失脚・亡命
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/11/12 23:38 UTC 版)
天然資源を生かした好調な経済成長と貧困層への手厚い再分配政策が支持され、これまで長期政権を築いてきたが、前政権派やアメリカ合衆国などからは「独裁化が進んでいる」との批判もあった。2019年の大統領選挙では対立候補のカルロス・メサ・ヒスベルト元大統領との決選投票となる可能性があったものの、一時中断となった開票作業の再開後にモラレスの得票が伸び、2位との得票差が決選投票を必要としない10%を超えた事から、アメリカ合衆国やメサ陣営側から開票作業に不審な点が認められる という抗議が寄せられた。結局、モラレスは得票率47.08%で4期目(任期5年)当選を宣言 したが、開票作業で不正が行われたとして結果に反発したメサの支持者が抗議デモを起こし、一部が暴徒化して投票所に放火する事態に発展した。 その後も開票結果の不正操作を訴える反政府側を中心とした国民の抗議活動が続き、米州機構も報告書で「統計学上、モラレスの『4選』はあり得ない」などとして再選挙の実施を勧告したため、11月10日に再選挙の実施と選挙管理当局のメンバー刷新を発表した ものの、国軍や国家警察などから辞職勧告を突き付けられた ことから辞任を表明。これは事実上のクーデターとされ、メキシコ、キューバ、ベネズエラ、アルゼンチン、ウルグアイ、ニカラグアといった反米左派政権が実権を握る国々は米国主導による右翼クーデターであると主張している。 なお、モラレスは自身に対する逮捕令状が出されたと主張したほか、デモ隊が自宅を襲撃するなどして身の危険を感じた としてメキシコへの政治亡命を申請した。11月11日、メキシコのマルセロ・エブラルド(英語版)外相はモラレスの亡命を受け入れると発表した。亡命受け入れの発表を受けてモラレスはメキシコ空軍の軍用機で出国し、12日にメキシコ入りしたが、12月12日、アルゼンチンに再亡命した その後、反モラレス派で白人系のヘアニネ・アニェス上院副議長が暫定大統領への就任宣誓を行い、憲法裁判所も承認したが、そもそもボリビアでは大統領の辞任に議会の承認を要するものの、モラレス派が議会をボイコットしたため辞任の承認や、アニェスの暫定大統領就任が承認されたのは2020年1月になってからである。一方、アメリカ合衆国、ブラジル、コロンビア、エクアドルはアニェスを暫定大統領として即座に承認した。 2019年12月18日、暫定政権がモラレスを扇動とテロの疑いで訴えていたことが検察当局に認められ、ボリビアの検事総長はモラレスに対して逮捕状を出した。 2020年8月20日には未成年者にみだらな行為に及んだとしてボリビア司法省はモラレスを強姦と人身売買の罪で訴追した。 2020年10月の大統領選挙で自身の後継者のルイス・アルセ(英語版)が当選したことを受け、11月9日にボリビアに帰国した。
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