外観と構造
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/12/16 15:35 UTC 版)
幅が狭く比較的厚みが薄い主環は、木星の環の中で最も明るい。その外端は、木星の中心から約12万9,000 km(木星半径の1.806倍)に位置し、衛星アドラステアの軌道と一致する。内端は、木星の中心から約12万2,500 km(木星半径の1.72倍)で、衛星は存在しない。 主環の幅は約6,500kmで、見え方は角度によって違う。前方散乱光の下では、主環の明るさは、アドラステアの軌道のすぐ内側、12万8,600kmで急激に低下し始め、アドラステアの軌道のすぐ外側、12万9,300kmで背景と同じレベルになる。そのため、アドラステアは、明確な羊飼い衛星となっている。明るさは、木星の方に向かって増し、環の幅の真ん中あたり、12万6,000kmの地点で最大となるが、メティスの軌道に当たる12万8,000kmの付近に明確な空隙がある。対照的に、主環の内側の境界は、12万4,000kmから12万kmにかけて徐々に暗くなり、ハロ環に繋がる。前方散乱光の下では、全ての木星の環が明るく見える。 一方、後方散乱光の下では、状況が異なる。約12万9,100 km、アドラステアの軌道のすぐ外側に位置する主環の外側の境界は、非常にはっきりしている。衛星の軌道は環の空隙となっており、その軌道の外側にリングレットを作っている。約12万8,500kmアドラステアの軌道のすぐ内側にもリングレットがあり、中央の空隙の内側、メティスの軌道の外側に3つ目のリングレットがある。メティスの軌道の内側は、前方散乱光の場合よりも環の明るさは大幅に低下する。そのため、後方散乱側から見ると、主環は2つの部分から成り立っているように見える。12万8,000kmから12万9,000kmまで広がる外側は狭く、3つのリングレットを含む。12万5,000kmから12万8,000kmまで広がる外側は希薄で、前方散乱で見えるような構造を欠く。メティスの軌道がそれらの境目になっている。主環の詳細な構造は、ガリレオからのデータによって得られ、後方散乱光の画像は2007年2月から3月のニュー・ホライズンズの観測から得られた。ハッブル宇宙望遠鏡 やケック天文台、カッシーニ等による以前の観測では、恐らく解像度が低いせいで、これらを見つけることができなかった。しかし、2002年から2003年に、ケック天文台でも補償光学の技術を用いることで詳細な構造を得ることができた。 後方散乱光での観測では、主環は、剃刀の刃のように薄く、垂直方向には30kmもないように見える。側方散乱光では、その厚さは80kmから160kmで、いくらか木星の方へ広がっている。前方散乱光では最も厚く見え、約300kmになる。ガリレオの成果の1つは、主環に膨らみの部分があることを発見したことである。希薄で、約600kmと比較的厚い物質の雲が、内側の部分を取り巻いている。この膨らみは、主環の内側の境界に向けて厚みを増し、ハロ環に繋がる。 ガリレオの画像の詳細な分析により、見る方角に無関係な縦方向の明るさの変化が明らかとなった。また、500kmから1,000km程度のいくつかの斑点が発見された。 2007年2月から3月、ニュー・ホライズンズは主環の内側で新たに衛星を発見するための詳細な観測を行った。0.5kmを超える大きさの衛星は発見されなかったが、ニュー・ホライズンズのカメラは、環を構成する粒子が塊状になっているものを7つ発見した。それらは、アドラステアのすぐ内側の軌道で密度の濃いリングレットを回っていたが、その形状から、これらは小さな衛星ではなく、単なる塊であると結論付けられた。これらは、環に沿って、1,000kmから3,000kmに相当する0.1°から0.3°の範囲に存在する。この塊は、2つと5つの2グループに分類される。その性質は明らかになっていないが、メティスとの115:116及び114:115の共鳴軌道に近い軌道上にある。この共鳴のため、波のような構造をしている可能性がある。
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外観と構造
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ハロ環は、最も内側にあり厚みも最も厚い。外端は、半径約12万2,500 km(1.72木星半径)で、主環の内側の境界と接している。この地点から木星側に向かって、環は急速に厚みを増す。ハロの正確な厚さは良く分かっていないが、環を構成する物質が、環の平面から垂直方向に1万km離れた場所でも見つかっている。ハロ環の内側の境界は比較的急激で、おおよそ半径1万km(1.4木星半径)のところであるが、さらに内側、約9万2,000kmのところまでいくらかの物質が存在する。そのため、ハロ環の幅は約3万kmとなる。その形は、内側の構造が不明瞭な厚いトーラスと似ている。主環とは対照的に、ハロ環の外見は、見る角度にほとんど依存しない。 ハロ環は、前方散乱で見た時に最も明るく、広範に渡ってガリレオで撮影された。表面の明るさは主環より小さいが、厚みが大きいため、垂直方向への光子の流束は、同程度である。垂直方向の厚さは2万km以上とする説もあるが、ハロの明るさは環平面に向かって強くなり、冪乗則に従って z−0.6 から z−1.5 に低下する。ここで、zは、環平面からの高度である。ケック天文台 やハッブル宇宙望遠鏡 で観測された後方散乱光の下でのハロの外観も同じように見える。しかし、合計の光子の流束は、主環の何分の1かであり、前方散乱で見るよりも環平面への明るさの集中が強い。 ハロ環のスペクトルの性質は、主環とは異なる。流束の分布は、0.5–2.5 µm であり、主環よりも均質である。ハロ環は赤みがかっておらず、むしろ青っぽく見える。
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