地形図の作成
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/08/30 22:07 UTC 版)
USGSは合衆国の国土について縮尺と範囲の異なるいくつかのシリーズの地形図を作成するが、地形図のシリーズの対象範囲には大きな隔たりがあることもあり、特に、1:50,000の縮尺の地形図やその同等図が完全に欠落している。(縮尺と数量の両面において)最大かつ最も知られている地形図のシリーズは、7.5分、縮尺1:24,000、図幅(英語版)、メートル法ではない尺度で作成されたもので、事実上、アメリカ合衆国独自の地形図である。これら各地図は、7.5分間隔の2本の緯線と2本の経線に囲まれた領域を収める。このシリーズに連なる57,000枚ほどの個々の地図に収められた領域は、隣接する48の州、ハワイ州、海外の合衆国領、およびアラスカ州のアンカレッジ、フェアバンクス、プルドーベイ付近の地域に及ぶ。各地図に収まる面積は、子午線収差のため、その地図の代表地点の緯度により、各々異なる。北緯30度付近の比較的緯度が低い地点では、7.5分図幅に収まる面積は約64平方マイル (166 km2)である。北緯49度の地点では、同サイズ(7.5分)の図幅の内に収まる面積は49平方マイル (127 km2)である。独自のメートル法ではない縮尺として、1:24,000の縮尺は、地図上の位置を記すために、当然ながら、別個のローマーと呼ばれる特殊な用具を必要とする。近年、USGSは予算の制約により、その7.5分地形図のシリーズを更新しようと努める中で、民間のボランティアに時間を割いてもらい、それに頼ることを余儀なくされている。そして、2000年にUSGSは公然と、従来の地形図作成計画を段階的に廃止し、The National Map(英語版)を選択することにしたと述べた(USGSではなく内務省本省が作成するNational Atlas of the United States(英語版)と混同しないように)。 かつては、古いシリーズ(15分地図)が1:62,500の縮尺で、隣接する48州の地図を作るために用いられていたが、いつからか、合衆国本土を収める地図に用いる縮尺としては廃止された。これらの古い各地図は15分間隔の2本の緯線と2本の子午線で囲まれた区画で作成された(7.5分地図に換算して4枚分の面積と同じ)。1:63,360の縮尺(1インチで1マイルを表す)で作成された15分地図のシリーズは、特定の州として唯一アラスカ州のみ、今も主要な地形図幅のままである。3,000枚ほどの地図で、アラスカ州の97%が収まる。アメリカ合衆国は事実上、標準的なメートル法の1:25,000や1:50,000の縮尺で標準化された民生用の地形図シリーズを持たない、世界で唯一の先進国であり続けており、そのことが国境地帯における調整を困難にしている(アメリカ軍は合衆国本土の縮尺1:50,000の地形図を発行しているが、その地形図を使用するのはアメリカ軍の軍人のみである)。 次いで最も小さな地形図シリーズは、縮尺に関していえば、1:100,000の縮尺の地図シリーズである。これらの地図は2本の緯線と2本の経線で囲まれた区画で作成される。しかしながら、このシリーズでは、緯度差は30分間隔、経度差は60分間隔で区画されており、この特徴が、30 x 60分図幅地図シリーズ (the 30 x 60-minute quadrangle series) という、同シリーズの別名の由来になっている。これらの各図幅地図は、7.5分地図シリーズに換算して32枚以内に含まれる領域を収めている。縮尺が1:100,000の地図シリーズは、第一にメートル法を使用しているという点で特異である。このシリーズでは、地図上の1センチメートルは実際の距離で1キロメートルを表し、等高線の間隔、標高点、水平距離もメートル法で記載される。 最後に挙げられる、USGSが作成する定期図幅地図シリーズは、縮尺が1:250,000の地形図シリーズである。これらの各図幅地図のうち合衆国本土の地図については、緯度差1度、経度差2度の図幅で区画される。このシリーズは、1950年代に旧アメリカ陸軍地図局(英語版)により、より大きな縮尺の地図シリーズに先行して作成され、地図1枚当たりに収まる面積が8,218平方マイル (21,285 km2)(北緯30度地点)から6,222平方マイル (16,115 km2)(北緯49度地点)までの範囲に及ぶ、計489枚の地図で構成されている。この縮尺で作成されるハワイ州の地図は、緯度差・経度差ともに1度ずつの図幅で区画される。 USGSの諸地形図幅地図は、幾つかの方法で地図上の位置を特定することを可能にする、地図の図枠周りのグリッド線とチック (tic) で特徴づけられ、緯度と経度を測るための経緯線網、公有地測量システム内のタウンシップ(英語版)とセクション方式、及び州平面座標系(英語版)とUTM座標系の両座標系におけるデカルト座標もそれに含まれる。 その他、郡域地図、国立公園や科学的分野のように、特別な興味・関心のある分野の地図を含む様々な特製地図が、USGSにより多様な縮尺で作成されている。 多くのインターネットのサイトがこれらの地図をウェブ上で商用及び業務用にも利用できるようにしている。アメリカ合衆国政府の著作物はパブリックドメインに置かれるため、これらの地図の多くはインターネット上の様々な場所にて無料で入手することもできる。ジオリファレンス(英語版)された地図画像は、デジタルライングラフ(英語版) (DLG) や数値標高モデル (DEM) などのUSGSの地図に基づくデジタルデータセットに加えて、デジタルラスタグラフィック(英語版) (DRG) として、USGSより利用可能である。 2015年、USGSは1884年から2006年までに作成された178,000点以上もの地図のデジタルコレクションを丸ごと閲覧する新たな方法として、topoViewというウェブサイトを公開した。このサイトはアメリカ合衆国のインタラクティブな地図であり、利用者はUSGSが有する特定の地域の地図コレクションを見つけるために、地図の中を検索したり移動したりすることができるようになっている。利用者はそこで地図をかなり詳細まで閲覧することができる上に、ご希望とあらば、ダウンロードすることもできる。
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