地域公共交通総合連携計画の策定
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「神戸電鉄粟生線」の記事における「地域公共交通総合連携計画の策定」の解説
2013年には「地域公共交通の活性化及び再生に関する法律」第5条第1項に基づき、粟生線活性化協議会において「地域公共交通総合連携計画」が策定され、兵庫県と沿線三市による粟生線活性化策の方針が示された。同年7月、同協議会にて公表された2012年度の輸送人員は667万人であった。利用促進活動開始以降輸送人員の減少幅は縮小し、2011年度の輸送人員は前年度より増加したものの、2012年度は一転して前年度比マイナス15万人の大幅減となり、2012年度の目標輸送人員730万人を大きく下回る結果となった。また運輸収入は18億7千万円に留まり、2012年の協定で定めた旅客運輸収入の目標値には届かず、前年度比4千万円の減収であった。一方2012年度の赤字額は9億7600万円となり、12年ぶりに10億円を切った。県と沿線三市による40億円の無利子貸し付け等の支援や昼間時減便などの経費削減効果により赤字額は前年度より2億2千万円改善した。 2013年度も乗客減が続き、電気料金値上げや消費税増税対応の影響により赤字が増大するなど状況は2012年度より悪化した。2014年3月、三木市役所にて開催された粟生線活性化協議会の会合では、2013年度の粟生線の赤字が2月末の時点で再び10億円を超えており、年度末までに10億9700万円に達する見込みであることが明らかにされた。また輸送人員は2月末現在で年間662万人と想定され、目標の700万人を大きく下回り、旅客運輸収入も更に減少している状態であることが公表された。2012年度に始まった県と沿線三市による支援計画では、運輸収入の減少幅を毎年0.7%と想定しており、その数値を維持するためには年間700万人台の輸送人員が必要であるが、2012年度・2013年度と2年連続でこの数字に届かず、減少に歯止めがかからなかった。特に同協議会が2013年度に打ち出した通勤定期の補助制度については、利用目標300人に対しわずか35人の申し込みに留まるなどほとんど効果がなかった。このため神戸電鉄側は2013年に同協議会が策定したばかりの「地域公共交通総合連携計画」の再策定を求め、「鉄道を拠点とした公共交通体系の再構築を連携計画に明記する」「神戸市・三木市・小野市の都市計画で駅中心のまちづくりの推進を定める」など五つの見直しを提案した。神戸電鉄担当者は「自助努力だけでは存続は不可能。住民の協力と自治体のサポートが不可欠」と強調した。 このような状況を受け、2014年6月28日に再びダイヤ改正を行った。平日朝6時台の上り急行2本を快速に、また朝夕の普通のうち新開地行き11本、粟生方面行き7本、計18本を準急に変更。土休日についても計13本を普通から準急に変更した。所要時間を短縮しラッシュ時の速達性の向上を図る一方、粟生線内の快速通過駅(栄・木幡)のための普通などの設定・増発はせず、減便となった。また志染駅 - 粟生駅間において平日・土休日ダイヤともさらに昼間・夜間の減便時間帯を拡大。昼間時間帯は9時台から30分間隔、10時台から14時台まで1時間間隔、夜間時間帯は21時台半ばから30分間隔の運行となり、粟生線全体の運行本数は削減された。普通から準急への変更に伴い停車本数の減る有馬線内の準急通過駅(丸山・鵯越)については普通の増発はしなかったものの、有馬線(および神戸高速線)・三田線・公園都市線についてはいずれも全体としては増便となった。神戸電鉄は「輸送実態に合わせた見直し」と説明している。2014年11月には高齢者向けフリーパス「神鉄・高速シニアパス」の販売を2015年3月をもって終了することを決めた。神戸電鉄によると、既存の高齢者の鉄道利用には一定の役割を果たしたものの、アンケート調査の結果バス・自動車利用者からの新規の利用は少なく、鉄道利用者を増やすことにはつながっていないことが明らかになったと説明。またパスは割安な価格設定のため回数券利用等を妨げ、かえって減収減益につながっている可能性があったという。「シニアパス」廃止を受け、神戸市は2015年度より社会実験として市内全域の70歳以上の市民を対象に、一定期間神戸電鉄全線が乗り放題となる割安の乗車券の販売を行い、利用促進の方策を探った。
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