喜びの琴事件とは? わかりやすく解説

喜びの琴事件

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/09/25 06:29 UTC 版)

喜びの琴事件(よろこびのことじけん)は、劇団・文学座により公演が予定されていた三島由紀夫戯曲喜びの琴』が、同劇団内での思想上の行き違いを理由に公演中止となり、それをきっかけに同劇団の幹部・中堅座員が1963年(昭和38年)12月に集団脱退した事件[1][2][3]


注釈

  1. ^ この劇団雲創立のことを、新聞発表前日に初めて三島は福田恆存から電話で告げられた。三島が創立に加わっていると信じていた岸田今日子が慌てて三島邸を訪ねると、「発表の前日では決心できない。双頭の鷲は生きられないよ」と言われた。岸田は以下のように述懐している[4]
    福田さんに誘われたわたしは 「三島さんが一緒なら」と言った。「もちろん僕から誘います。三島君に言うと直ぐ洩れるから話さないように」と念を押された。(中略)新聞に脱退の記事が出た。三島さんの名前はない。帰京してすぐ三島さんのお家へ行くと、「新聞に出る前の晩に聞かされて、動けると思う?」と言われた。福田さんにだまされたと思ったけれど、どうしようもなかった。 — 岸田今日子「わたしの中の三島さん」[4]
  2. ^ 北見治一は『回想の文学座』北見 1987で、当事者としての見解を述べている。

出典

  1. ^ a b c 「III 死の栄光――NLTの結成と四部作」(村松 1990, pp. 348–372)
  2. ^ 「第四章 著名人の時代」(佐藤 2006, pp. 110–143)
  3. ^ a b 「12 三島由紀夫『喜びの琴』事件」(北見 1987, pp. 219–245)
  4. ^ a b 岸田今日子「わたしの中の三島さん」(22巻 & 2002-09月報)
  5. ^ 「11 雲分裂事件のあとさき」(北見 1987, pp. 195–218)
  6. ^ 「その道険し『雲』の峰」(遠藤・下 2010, pp. 166–180)
  7. ^ 「昭和38年2月11日」(42巻 2005, p. 257)
  8. ^ 「ロマンチック演劇の復興」(婦人公論 1963年7月号)。32巻 2003, pp. 462–468に所収
  9. ^ 「『トスカ』について」(新劇通信1963年6月号)。32巻 2003, pp. 456–458に所収
  10. ^ 「『思想』と『芸術』の間で」(遠藤・下 2010, pp. 196–210)
  11. ^ a b c d 「文学座の諸君への『公開状』――『喜びの琴』の上演拒否について」(朝日新聞 1963年11月27日)。32巻 2003, pp. 618–620に所収
  12. ^ 岩田豊雄「文学座を嘆く」(毎日新聞 1963年12月11日夕刊)
  13. ^ 今村忠純「NLT」(事典 2000, pp. 462–463)
  14. ^ 『御意にまかす』 雲 No.3 – 現代演劇協会 デジタルアーカイヴ”. onceuponatimedarts.com. 2021年8月8日閲覧。
  15. ^ 福田逸 | 日本近代演劇デジタル・オーラル・ヒストリー・アーカイヴ”. oraltheatrehistory.org. 2021年8月8日閲覧。
  16. ^ a b c d 戌井市郎「文学座と三島由紀夫――戌井市郎氏を囲んで(聞き手:松本徹・井上隆史・山中剛史)」(研究6 2008, pp. 4–26)。同時代 2011, pp. 125–158に所収
  17. ^ a b 「喜びの琴」(文藝 1964年2月号)。24巻 2002, pp. 7–100に所収
  18. ^ 「俳優に徹すること――杉村春子さんへ」(週刊読売 1963年12月15日号)。32巻 2003, p. 629に所収
  19. ^ a b 「観客の目 浅利が頭下げ文学座"日生"に」『週刊文春』1969年11月17日号、文藝春秋、20頁。 


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