唐代の記録とは? わかりやすく解説

唐代の記録

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/08 14:36 UTC 版)

流鬼国」の記事における「唐代の記録」の解説

唐代いくつかの史料には、流鬼国の唐への朝貢および流鬼国文化風俗についての記述があるが、その中でも最も詳細な記述残しているのが杜佑によって編纂された『通典』である。 流鬼[の国]は北海後述するように「少海」の誤り)の北にある。北は夜叉国に至り、ほかの三面はみな、大海にあたり、南は靺鞨を去ること船行15日ところにある。その国には城郭がなく、[流鬼は]海の中の島に依って散居している。……中略……靺鞨中には海に乗り出してその[流鬼の]国へ交易に行く者がいて、唐の国家繁栄ぶりを[流鬼に]話したところ、その国の君長の息子可也余志を唐に使節として派遣した。その使節貞観一四年に、途中で何度も通訳替えて長安朝貢にやって来た。使節の話によれば使節初め靺鞨の国に到達したが、そこで馬の乗り方がわからなかったので、馬に乗ったらすぐに落ちてしまったという……(後略)。流鬼北海之北、北至夜叉国、餘三面皆抵大海、南去靺鞨船行十五日。無城郭、依海島散居、掘地深数尺、両辺斜豎木、構為屋。人皆皮服、又毛雜麻為布而衣之、婦人冬衣鹿皮夏衣皮、制与獠同。……中略……靺鞨有乗海至其国貨易、陳国家之盛業、於是其君長孟蚌遣其子可也余志、以唐貞観十四年、三訳而来朝貢。初至靺鞨、不解乗馬、上即顛墜……(後略)。 — 杜佑『通典』の巻200辺防16、北秋伝、流鬼の条 同様の記述は『唐会要』、『資治通鑑』、『新唐書』などにもあり、『唐会要』は『通典』冒頭がやや異なり、「流鬼[の国]は京師を去ること15000里の彼方にある。[その国は]黒水靺鞨東北で、少海の北にあたり三面は海によって隔てられている」と記されるここでいう少海」は同『唐会要』巻96靺鞨の條に「北は小海至り、東は大海に至る(北至小海東至大海。)」と一致するもので、「大海日本海)」に対する「小/少海間宮海峡)」を指すと考えられ『通典』の「流鬼北海之北」という記述も「流鬼小海之北」の誤りであると見られている。なお、『唐会要』で「15000里の彼方にある」と記される国は東の流鬼と西の波斯ペルシア)しかなく、それぞれ唐の東西果てにある国と認識されていたことが窺えるまた、資治通鑑』では流鬼国朝貢日時が「[貞観十四年三月]辛丑四日)」と明記されており、これは西暦640年3月31日に当たる。ただし、流鬼国人が到着してすぐ太宗謁見たとする旅程1〜3月厳寒期となるため、実際に前年秋口到着し順番待ちをした上で3月謁見許されたのではないか考えられている。 『新唐書』には「その国の王は息子可也を[唐に使節として]派遣した。貂の皮。(其王遣子可也貂皮)」という記述があり、使節の名前「可也余志」を「可也」としている。しかし、この文章では「貂皮」に対す動詞がないことなどから、実際には「可也」の「」は「貢」の誤記で、「可也余志貢」を誤って可也と書き記してしまったのではないか考えられている。また、資治通鑑』および『新唐書』によると、この時の朝貢によって流鬼国王の息子可也余志」は騎都尉に任ぜられたという。乗馬習慣のない流鬼国人に騎都尉官職与えられたのは、突厥テュルク)・契丹キタイ)といった遊牧騎馬民族と縁の深い唐にとって乗馬文化持たない北方民族という存在そのもの特筆すべき事項であったこと、そのような流鬼国人が乗馬覚えてはるばる唐にまでやってきたことが評価されたためであった考えられている。なお、蓑島栄紀はこの時期流鬼国朝貢行ったのは、高句麗滅亡したことで唐朝黒水靺鞨との交易増大し毛皮製品需要高まったためであると指摘している。

※この「唐代の記録」の解説は、「流鬼国」の解説の一部です。
「唐代の記録」を含む「流鬼国」の記事については、「流鬼国」の概要を参照ください。

ウィキペディア小見出し辞書の「唐代の記録」の項目はプログラムで機械的に意味や本文を生成しているため、不適切な項目が含まれていることもあります。ご了承くださいませ。 お問い合わせ



英和和英テキスト翻訳>> Weblio翻訳
英語⇒日本語日本語⇒英語
  

辞書ショートカット

すべての辞書の索引

「唐代の記録」の関連用語

唐代の記録のお隣キーワード
検索ランキング

   

英語⇒日本語
日本語⇒英語
   



唐代の記録のページの著作権
Weblio 辞書 情報提供元は 参加元一覧 にて確認できます。

   
ウィキペディアウィキペディア
Text is available under GNU Free Documentation License (GFDL).
Weblio辞書に掲載されている「ウィキペディア小見出し辞書」の記事は、Wikipediaの流鬼国 (改訂履歴)の記事を複製、再配布したものにあたり、GNU Free Documentation Licenseというライセンスの下で提供されています。

©2025 GRAS Group, Inc.RSS