周囲にとっての危険性
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/02 08:02 UTC 版)
「水上オートバイ」の記事における「周囲にとっての危険性」の解説
水上オートバイはその手軽さから、モラルの低いライダーによる暴走や無資格者による未熟な操船が後を絶たず、地元住民や観光客に深刻な騒音被害を与えることがある。また、漁場近くで水上オートバイを操縦して漁場を荒らし、漁獲量を減らしたり、海水浴場近くで操縦したりして海水浴客との衝突事故を起こし、ライダーや海水浴客が死亡や重傷を負うといった事例も報告されている。2013年8月には能登島のイルカウォッチングが行われている入り江で12台の水上オートバイが約3時間にわたりイルカを追い回し、その後イルカの姿が見られなくなる事件が起きた。海上保安庁や水上警察による取り締まりや、メーカーや愛好者団体によるマナー向上活動の取り組みはされているが、最終的には操縦者の人間としてのモラルの問題であるところが大きい。 水上オートバイに関する苦情が増えていたこと等を受け、2017年には、2020年東京オリンピック等に対応するため警視庁による設置された有識者懇談会(座長藤原静雄)により、航行区域や飲酒運転、騒音等の規制や安全講習会の開催を定めるように提言が行われた。 兵庫県明石市では、市内の海岸で遊泳中の人が、近くを水上オートバイが猛スピードで通過したり、水上オートバイによって大量の海水をかけられるなどする被害を受けているとして、被疑者不詳のまま、殺人未遂と兵庫県水難事故防止条例違反の容疑で神戸海上保安部に告発を行った。 また、水上オートバイの出す水流および排気ガスが環境面に与える影響も指摘されており、対策が講じられている。木曽川・長良川では、水流が魚の産卵場所である川床を破壊しないよう、航行規制が行われるなどの取り組みがされている。排気ガスについては、従来水上オートバイのほとんどが2ストローク機関という極めて環境負荷の高いエンジンを搭載していたが、近年は主要市場である米国の厳しい環境・騒音規制もあり、4ストローク機関や環境対応型の2ストローク機関への転換、低騒音タイプの吸排気システムの装備が進んでいる。2006年の時点で、日本国内でラインナップされている水上オートバイは20機種(ヤマハ7、カワサキ4、シードゥー9)あるが、販売の主流である3人乗りのランナバウトはすべて4ストローク機関を搭載しており、従来型2ストローク機関を搭載したものは4機種(すべて定員1名)と少数派になっていたが、2021年現在、日本国内で販売されている量販モデルは全て4ストローク機関を採用している。 環境対応型の2ストローク機関には、エンジン燃焼室内に燃料を直接噴射して排気ガスの低公害化を図るもの(カワサキ STX1100DI・ULTRA1100DI、ボンバルディエ SEADOO 3D-DIなど)と、電子制御式燃料噴射装置と排気管に備えた触媒装置の併用により排気ガスを浄化するもの(ヤマハ MJ-GP1300R)があった。日本国内でも、「滋賀県琵琶湖のレジャー利用の適正化に関する条例」(琵琶湖ルール)により、従来型2ストロークエンジンの使用が禁止(経過措置あり)されるなどの取り組みがなされており、フリースタイル競技用などの一部のモデルを除いては、従来型2ストロークエンジンの使用は順次減少していくものと思われる。
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