告発と起訴
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/02/12 22:20 UTC 版)
2011年7月19日、起訴手続きの為の連邦大陪審が開かれた。スワーツは保護されたコンピューターの損傷を意に介さずに情報を不法に取得したことにより、通信詐欺(英語版)とコンピュータ詐欺および不正利用防止法(英語版)の違反で起訴された。告発によると、スワーツはMITのコンピューターネットワークにラップトップ・パソコンを不正に接続して、「keepgrabbing.py」と言うスクリプトを実行し、JSTORから膨大な量の記事を急速にダウンロードできるようにした。担当検事はスワーツの行為には、文書をP2Pファイル共有サイトで利用できるようにする意図があったと述べた 。 スワーツは当局に出頭し、全ての訴えに対して無罪を主張し10万ドルの保釈金を払って釈放された。彼の逮捕後に、JSTORはスワーツのアクセスは権限の無い方法で行われた「著しい誤用」だが、彼に対して民事訴訟をするつもりはない」と言う声明を出した。一方、MITは事の成り行きに対して何のコメントも出さなかった。 「ニューヨークタイムズ」はこの事件について「尊敬すべきハーバードの研究員で、インターネットの住民のヒーローでもある人物が、記事を無料で入手できる権利を持っていたにも関わらず、違法にダウンロードしたという申し立てに基づき、コンピューター・ハッキングの罪によりボストンで逮捕された」と報じた。 スワーツが創設したデマンド・プログレスのデイビッド・シーガルは 「意味不明だ。図書館で大量の本の貸し出し手続きをした容疑で、誰かを刑務所に送ろうとするような物だ」と述べた。シーガルはのちに自分のコメントは一般論について言及したもので、スワーツに対する申し立ての詳細に対してではないと述べた。また「自分はスワーツが倫理や政府のことに深い関心を持っている人物だと知っている」が「申し立てられたことについては知らない」とも語った。 連邦検事補のステファン・ヘイマンとスコット・ガーランドは主席検察官で、連邦検事のカルメン・オルティズの監督の下で働いていた。 この事件はコンピューター詐欺および不正利用防止法の問題である。この法律は1986年に成立したもので、情報を盗んだり混乱させるためにコンピューターにアクセスしたり、コンピュータの機能を破壊したりするハッカーを政府が起訴しやすいようにしている。オルティズ曰く、「量刑としては最大35年の懲役、3年間の保護観察、盗品の返還、財産の没収と最大100万ドルの罰金になるだろう」。 その後、検察は追起訴(優先起訴)して、もし裁判で有罪を宣告されると、スワーツに懲役刑が下される可能性があると発表した。ジョージ・ワシントン大学教授のオリン・ケールは、法律ブログの「ヴォロック・コンスピレシー」の中で、スワーツの事件で量刑が最大になる可能性は低いという意見を述べた。 2013年1月12日、スワーツの弁護団に雇われたコンピュータ法科学者のアレックス・スタモスは、JSTOR事件で提出するために作成した鑑定書の要約版をネットに投稿した。その内容は もしアーロンが生きていて、私が予定通りに鑑定証言に立って、アーロンの行動が「間違っている」か検察官に尋ねられたら、アーロンは「軽率」だったと表現した方が良いと答えると思う。同様に、歴史の入門書を探すために図書館にある全ての本の貸し出し手続きをするのも、軽率でしょう。沢山のファイルをwifi 共有でダウンロードし、またはウィキペディアを高速にクロールするのも軽率ですが…そういった行為は若者が何年も付けまわされたり、35年の懲役判決の可能性になるようなものではないです。
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