吉村大志郎とは? わかりやすく解説

吉村大志郎

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/08/30 16:46 UTC 版)

吉村 大志郎
名前
愛称 ネコ
カタカナ ヨシムラ ダイシロウ
ラテン文字 YOSHIMURA Daishiro
基本情報
国籍 日本
生年月日 1947年8月16日
ブラジルサンパウロ州アダマンティナ英語版
没年月日 (2003-11-01) 2003年11月1日(56歳没)
日本兵庫県尼崎市
身長 172cm
体重 72kg
選手情報
ポジション FW/MF
クラブ1
クラブ 出場 (得点)
GRトウキョウ
1967-1980 ヤンマーディーゼル 189 (30)
通算 189 (30)
代表歴2
1970-1976 日本 46 (7)
監督歴
1990-1993 ヤンマー
1. 国内リーグ戦に限る。2017年1月11日現在。
2. 2017年1月11日現在。
■テンプレート■ノート ■解説■サッカー選手pj

吉村 大志郎(よしむら だいしろう、1947年8月16日 - 2003年11月1日)は、ブラジルサンパウロ州アダマンティナ英語版出身のサッカー選手、サッカー指導者。ブラジル名はネルソン吉村ポルトガル語: Nelson Yoshimura)。愛称のネコとはボールタッチの柔らかさがネコがボールとじゃれ合う姿に似ていたことに由来している [1]

略歴

日系2世としてサンパウロ州アダマンティナ英語版に生まれる[2]。16歳の時にサンパウロの中心街に引越し、働きながら夜間高校に通い、休日に日系人のクラブであるグレミオ・レクラチーボ・トウキョウ(Grêmio Recreativo Tokyo)でプレーする日々を送っていた[2]。しかし1966年のAUSP(日系2世連合会)サッカーリーグで優勝、自身も得点王となったことで転機が訪れ、AUSPの会長の紹介で1967年6月に日本サッカーリーグ初の外国籍選手としてヤンマーディーゼルサッカー部に加入することになった。

吉村はヤンマーディーゼルの現地子会社ヤンマーディーゼル・モトーレス・ド・ブラジル(Yanmar Diesel Motores do Brasil)に旋盤工として勤務していたため、日本のヤンマーディーゼル本社への転勤という形での移籍だった[3]。一方で吉村は「自分は冷蔵庫の修理会社に勤務していた」と現地子会社に勤務していたという経歴について否定するコメントを残している[2]。ブラジル時代は俊足FWとして得点を重ねていたが、選手の技術水準が低かったというチーム事情から中盤にポジションを移し[2]、同年4月に加入していたセンターフォワードの釜本邦茂とコンビでヤンマーを常勝クラブへと引き上げていった。

後に訪日したセルジオ越後ほどのキャリアはなかったが、柔らかいボールタッチを生かしたボールテクニックは当時の日本では出色であった[3]。吉村のプレーは日本サッカーリーグの呼び物となり、その後の日本サッカーがブラジルスタイルの個人技を重視したサッカーに傾倒していく転機となった[2][4]

1970年3月8日のIFKヨーテボリ戦で日本代表として初出場[5]。また、訪日当初は「1年間で帰国するつもり」だったが1970年12月に日本国籍を取得し、登録名を「吉村大志郎」とした。日本代表としては1976年まで国際Aマッチ通算45試合出場7得点を記録した。その後、怪我の影響とコーチ就任の要請を受けたこともあり32歳で現役を引退した。日本リーグでの通算成績は189試合出場30得点54アシスト[4]

1980年に現役を引退後は古巣のヤンマーディーゼルのコーチを10年間務め、1990年に監督に昇格し1993年まで指揮を執った。同年にJリーグが開幕すると他チームから好条件のオファーを受けたが[3]、これを固辞してヤンマーディーゼルの社員という身分で[3] 後継であるセレッソ大阪のスクールコーチや総括部スカウトとして後進の指導に務めた。

2003年11月1日、兵庫県尼崎市の病院で脳出血により死去した[1][6]

2010年8月17日日本サッカー殿堂入りが発表された[4][7]

所属クラブ

個人成績

国内大会個人成績
年度 クラブ 背番号 リーグ リーグ戦 リーグ杯 オープン杯 期間通算
出場 得点 出場 得点 出場 得点 出場 得点
日本 リーグ戦 JSL杯 天皇杯 期間通算
1967 ヤンマー - JSL 7 1 -
1968 8 14 3 -
1969 14 3 - - 14 3
1970 14 1 -
1971 14 8 -
1972 JSL1部 14 5 -
1973 18 1
1974 18 1 -
1975 18 2 -
1976 17 2
1977 15 2
1978 15 1
1979 11 0
1980 0 0
通算 日本 JSL1部 189 30
総通算 189 30

代表歴

出場大会など

試合数

  • 国際Aマッチ 46試合 7得点(1970年 - 1976年)


日本代表 国際Aマッチ その他 期間通算
出場 得点 出場 得点 出場 得点
1970 4 1 13 2 17 3
1971 6 2 11 0 17 2
1972 8 1 9 1 17 2
1973 3 0 5 0 8 0
1974 7 2 12 0 19 2
1975 6 1 3 0 9 1
1976 12 0 2 0 14 0
通算 46 7 55 3 101 10

出場

No. 開催日 開催都市 スタジアム 対戦相手 結果 監督 大会
1. 1970年08月02日 クアラルンプール  韓国 △1-1 岡野俊一郎 ムルデカ大会
2. 1970年08月04日 クアラルンプール  タイ △0-0 ムルデカ大会
3. 1970年08月10日 クアラルンプール  シンガポール ○4-0 ムルデカ大会
4. 1970年08月16日 クアラルンプール  チャイニーズタイペイ ○3-2 ムルデカ大会
5. 1971年07月28日 コペンハーゲン  デンマーク ●2-3 国際親善試合
6. 1971年08月13日 レイキャビク  アイスランド ○2-0 国際親善試合
7. 1971年09月23日 ソウル  マレーシア ●0-3 オリンピック予選
8. 1971年09月27日 ソウル  フィリピン ○8-1 オリンピック予選
9. 1971年09月29日 ソウル  チャイニーズタイペイ ○5-1 オリンピック予選
10. 1971年10月02日 ソウル  韓国 ●1-2 オリンピック予選
11. 1972年07月12日 クアラルンプール  クメール ○4-1 長沼健 ムルデカ大会
12. 1972年07月16日 イポー  スリランカ ○5-0 ムルデカ大会
13. 1972年07月18日 クアラルンプール  フィリピン ○5-1 ムルデカ大会
14. 1972年07月22日 クアラルンプール  マレーシア ●1-3 ムルデカ大会
15. 1972年07月26日 クアラルンプール  韓国 ●0-3 ムルデカ大会
16. 1972年08月04日 シンガポール  フィリピン ○4-1 ペスタスカン大会
17. 1972年08月06日 シンガポール  インドネシア ●0-1 ペスタスカン大会
18. 1972年09月14日 東京都 国立霞ヶ丘競技場陸上競技場  韓国 △2-2 日韓定期戦
19. 1973年05月16日 ソウル  イスラエル ●1-2 ワールドカップ予選
20. 1973年05月20日 ソウル  南ベトナム ○4-0 ワールドカップ予選
21. 1973年06月23日 ソウル  韓国 ●0-2 日韓定期戦
22. 1974年02月12日 シンガポール  シンガポール ○1-0 国際親善試合
23. 1974年02月20日 香港  香港 △0-0 国際親善試合
24. 1974年07月23日 コンスタンツァ  ルーマニア ●1-4 国際親善試合
25. 1974年09月03日 テヘラン  フィリピン ○4-0 アジア大会
26. 1974年09月05日 テヘラン  マレーシア △1-1 アジア大会
27. 1974年09月07日 テヘラン  イスラエル ●0-3 アジア大会
28. 1974年09月28日 東京都 国立霞ヶ丘競技場陸上競技場  韓国 ○4-1 日韓定期戦
29. 1975年07月30日 クアラルンプール  香港 ●0-2 ムルデカ大会
30. 1975年08月02日 クアラルンプール  マレーシア ●0-2 ムルデカ大会
31. 1975年08月07日 クアラルンプール  インドネシア ○4-1 ムルデカ大会
32. 1975年08月11日 クアラルンプール  タイ ○4-0 ムルデカ大会
33. 1975年08月14日 クアラルンプール  ビルマ ○2-0 ムルデカ大会
34. 1975年09月08日 ソウル  韓国 ●0-3 日韓定期戦
35. 1976年01月25日 東京都 国立霞ヶ丘競技場陸上競技場  ブルガリア ●1-3 朝日国際サッカー大会
36. 1976年01月28日 大阪府 長居陸上競技場  ブルガリア △1-1 朝日国際サッカー大会
37. 1976年02月01日 東京都 国立霞ヶ丘競技場陸上競技場  ブルガリア ●0-3 朝日国際サッカー大会
38. 1976年03月21日 東京都 国立霞ヶ丘競技場陸上競技場  韓国 ●0-2 オリンピック予選
39. 1976年03月27日 ソウル  韓国 △2-2 オリンピック予選
40. 1976年08月08日 クアラルンプール  インド ○5-1 二宮寛 ムルデカ大会
41. 1976年08月10日 クアラルンプール  インドネシア ○6-0 ムルデカ大会
42. 1976年08月13日 クアラルンプール  ビルマ △2-2 ムルデカ大会
43. 1976年08月16日 クアラルンプール  タイ △2-2 ムルデカ大会
44. 1976年08月18日 クアラルンプール  韓国 △0-0 ムルデカ大会
45. 1976年08月20日 クアラルンプール  マレーシア △2-2 ムルデカ大会
46. 1976年08月22日 クアラルンプール  マレーシア ●0-2 ムルデカ大会

得点数

# 年月日 開催地 対戦国 スコア 結果 試合概要
1 1970年8月10日 マレーシアクアラルンプール シンガポール 4-0 勝利 ムルデカ大会
2 1971年9月27日 韓国ソウル フィリピン 8-1 勝利 ミュンヘン五輪予選
3 1971年9月29日 中華民国 5-1 勝利
4 1972年8月4日 シンガポール フィリピン 4-1 勝利 ベスタスカン大会
5 1974年9月5日 イランテヘラン マレーシア 1-1 引分 アジア競技大会
6 1975年9月28日 日本東京 韓国 4-1 勝利 日韓定期戦
7 1975年8月11日 マレーシア、クアラルンプール タイ 4-0 勝利 ムルデカ大会

監督成績

年度 所属 クラブ リーグ戦 カップ戦
順位 試合 勝点 勝利 引分 敗戦 JSL杯 天皇杯
1990-91 JSL1部 ヤンマー 11位 22 20 5 5 12 2回戦 1回戦
1991-92 JSL2部 3位 30 65 20 5 5 1回戦 1回戦
1992 旧J1 4位 18 24 7 3 8 - 2回戦
1993 7位 18 - 7 - 11 - 予選敗退

脚注

  1. ^ a b 賀川浩 (2003年). “ネルソン吉村を想う”. 賀川サッカーライブラリー. 2010年8月23日閲覧。
  2. ^ a b c d e 加部究「先駆者 -- ネルソン吉村」『サッカー移民』(双葉社、2003年)31-48頁
  3. ^ a b c d 賀川浩 (2004年). “サッカーのために最初にブラジルから来日、大きな衝撃を与えた日系2世 吉村大志郎ネルソン”. 賀川サッカーライブラリー. 2010年8月23日閲覧。
  4. ^ a b c 日本サッカー協会 (2010年). “ネルソン吉村大志郎” (PDF). 2010年8月23日閲覧。
  5. ^ 三国対抗・朝日国際サッカー大会”. 日本サッカー協会. 2017年1月11日閲覧。
  6. ^ 元日本代表のネルソン吉村さんが急死”. 日刊スポーツ (2003年11月1日). 2010年8月23日閲覧。
  7. ^ 日本サッカー協会 (2010年). “第7回日本サッカー殿堂 掲額者”. 2010年8月23日閲覧。

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