協同労働の協同組合とは? わかりやすく解説

Weblio 辞書 > 辞書・百科事典 > デジタル大辞泉 > 協同労働の協同組合の意味・解説 

きょうどうろうどう‐の‐きょうどうくみあい〔ケフドウラウドウ‐ケフドウくみあひ〕【協同労働の協同組合】

読み方:きょうどうろうどうのきょうどうくみあい

ワーカーズコープ


労働者協同組合

(協同労働の協同組合 から転送)

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/09/24 05:27 UTC 版)

労働者協同組合(ろうどうしゃきょうどうくみあい)とは、協同組合の一形態。そこで働く労働者自身が主として出資し、労働者自身によって所有・管理される協同組合である。「ワーカーズ・コレクティブ (Worker's Collective) 」「ワーカーズ・コープ (Worker's Coop) 」、または「協同労働の協同組合」とも。略称は「労協」または「ワーコレ」。

倒産した企業の労働者らが自ら出資して職場を残し事業を継続させるため、この形態が採られることがある。また地域社会活性化の担い手としても期待されている。

定義

何を持って労働者協同組合としてみなすかについては、多くの定義がある。国際協同組合同盟 (ICA,International Co-operative Alliance) の労働者協同組合委員会 (CICOPA,the International Organisation of Industrial, Artisanal and Service Producers’ Cooperatives) では、「労働者協同組合に関する世界宣言(協同労働に関する世界宣言)」において、8ページの定義を与えている。これは2005年9月のICAカルタヘナ総会によって承認された。

以下が、労働者協同組合の基本的な特徴のセクションである

  1. 持続的な仕事と経済成長を産み出しまたメンテナンスすることを目的とする。これは、労働者組合員の生活の質の向上、人間の労働の尊厳、労働者による民主的な自治、そして共同体と地域の発展の促進のためである。
  2. 自由でボランタリーな組合員のメンバーシップ。職場の存在によって、組合員の個人の仕事と経済的リソースに貢献するためであり、これが保たれる。
  3. 一般則として、仕事は組合員によりなされること。これは、任意の労働者組合企業体において、大部分の労働者は組合員である(逆もまた真)を導く。
  4. 組合員たちと組合との関係。普通の賃労働者(conventional wage-based labour)や個人事業主にとってのそれらの関係とは、違うと考えられること。
  5. 内部のレギュレーション。内部のレギュレーションは、労働者組合員によって受理され民主的に同意された体制によって、公式に定義される。
  6. 自治と独立。国家や第三者に先立ち、労働者の関係や管理・生産の成果の利用や管理において、自治・独立があること。

労働者協同組合はまた、ロッチデール原則と価値に従う。これは、協同組合の運営の核となる原則のセットである。

日本における労働者協同組合

日本における労働者協同組合は、当初は企業組合特定非営利活動法人(NPO法人)などの形態をとっていたが、これらの形態では設立手続きの煩雑さの問題があった。企業組合では設立に都道府県知事認可が必要とされ、NPO法人では都道府県知事の認証が必要であるとともに、事業が観光福祉等の20分野に制限されるという制約があった。かといって任意団体では対外的な信用に劣るという難点があった。

またワーカーズ・コレクティブでは従事者の労働者性について法的な位置づけが不明瞭となる問題点もあり、「企業組合ワーカーズ・コレクティブ轍・東村山事件」では、同組合の従事者が労働基準法が適用される「労働者」には該当しないと判断された判例東京地裁立川支判平成30年9月25日。最高裁で確定)もあった。

こうした問題点を克服し「労働者協同組合」という組織形態を法的に定義するため、超党派の議員連盟が労働者協同組合法案を第201回国会に提出[1]、継続審議の末、第203回国会において、衆参両院で全会一致で可決、成立し[2]2022年令和4年)10月1日に施行された。

また、2022年(令和4年)の労働者協同組合法では「特定労働者協同組合[注釈 1]が新設された[3]。労働者協同組合のうち非営利性を徹底した組合を都道府県知事が認定し(同法第94条の2)[3]、認定には法により基準が定められ(同法第94条の3)[3]、認定を受けた特定労働者協同組合に対しては税制上の措置が講じられる[3]

日本の労働者協同組合法では、メンバー全員が「出資・経営・働き手」の役割を担うこと[4]、働く者が「労働者」として明確に位置づけられたことが大きな特徴とされる。

NHKの報道によれば2023年4月現在、日本の労働者協同組合の事業運営に充てる出資金は、1人あたり1万円から5万円に設定されている組合が多い[5]

日本の労働者協同組合の全国団体

脚注

注釈

  1. ^ 労働者協同組合のうち、事業内容の非営利性において特定非営利活動法人(NPO法人)に相当するもの。

出典

  1. ^ 議案審議経過情報 衆議院
  2. ^ 議案審議経過情報 衆議院
  3. ^ a b c d よくある質問 - 特定労働者協同組合とはなんですか。 知りたい!労働者協同組合法、厚生労働省、2023年8月25日閲覧。
  4. ^ 読売新聞』2021年12月6日付、朝刊社会保障面。
  5. ^ みんなで出資 みんなで運営! 労働者協同組合の新しい働き方”. みみより!くらし解説. 日本放送協会 (2023年4月13日). 2023年4月13日閲覧。
  6. ^ WNJ ワーカーズ・コレクティブネットワークジャパン

関連項目

参考文献

外部リンク


協同労働の協同組合

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/02/25 05:49 UTC 版)

日本労働者協同組合(ワーカーズコープ)連合会」の記事における「協同労働の協同組合」の解説

次の3つの協同重点を置き、利用者地域との連帯取り組んでいる。これを通じ、1)新し福祉社会創造持続可能な人中心の社会まちづくり、2)労働人間化-よい仕事協同労働通じた創造的な仕事創出目指している。 働く者同士の協同 組合員は、組合員内で資金出資金)を出し合い組織共同共有し事業経営組織運営参加し、かつ労働仕事創出することに携わる利用者との協同 サービス利用者提供者分かれるではなく利用者参加し協同して仕事の質を高めること。 地域との協同 協同組合そのものが、地域住民利用者参加を得ながら地域経済持続可能な発展と、人間らしい生活の創造通じた社会的公共的な役割を担う。

※この「協同労働の協同組合」の解説は、「日本労働者協同組合(ワーカーズコープ)連合会」の解説の一部です。
「協同労働の協同組合」を含む「日本労働者協同組合(ワーカーズコープ)連合会」の記事については、「日本労働者協同組合(ワーカーズコープ)連合会」の概要を参照ください。

ウィキペディア小見出し辞書の「協同労働の協同組合」の項目はプログラムで機械的に意味や本文を生成しているため、不適切な項目が含まれていることもあります。ご了承くださいませ。 お問い合わせ


英和和英テキスト翻訳>> Weblio翻訳
英語⇒日本語日本語⇒英語
  

辞書ショートカット

すべての辞書の索引

「協同労働の協同組合」の関連用語

協同労働の協同組合のお隣キーワード
検索ランキング

   

英語⇒日本語
日本語⇒英語
   



協同労働の協同組合のページの著作権
Weblio 辞書 情報提供元は 参加元一覧 にて確認できます。

   
デジタル大辞泉デジタル大辞泉
(C)Shogakukan Inc.
株式会社 小学館
ウィキペディアウィキペディア
All text is available under the terms of the GNU Free Documentation License.
この記事は、ウィキペディアの労働者協同組合 (改訂履歴)の記事を複製、再配布したものにあたり、GNU Free Documentation Licenseというライセンスの下で提供されています。 Weblio辞書に掲載されているウィキペディアの記事も、全てGNU Free Documentation Licenseの元に提供されております。
ウィキペディアウィキペディア
Text is available under GNU Free Documentation License (GFDL).
Weblio辞書に掲載されている「ウィキペディア小見出し辞書」の記事は、Wikipediaの日本労働者協同組合(ワーカーズコープ)連合会 (改訂履歴)の記事を複製、再配布したものにあたり、GNU Free Documentation Licenseというライセンスの下で提供されています。

©2025 GRAS Group, Inc.RSS