十和田湖および奥入瀬渓流

文化財選集

十和田湖および奥入瀬渓流 （青森県・秋田県）

名称
十和田湖および奥入瀬渓流
区分
特別名勝・天然記念物
所在地
青森県上北郡十和田湖町、秋田県鹿角郡小坂町

資料一覧
解説
青森・秋田両県にまたがる典型的な二重式カルデラ湖。約２，２００年前の火山活動により形成された。神秘的な湖水をカツラ・トチノキ・ブナなどの豊かな山岳が取り巻き，北畔から流れ出る奥入瀬渓流とともに山上湖の美観の極致を示している。

国指定文化財等データベース

十和田湖および奥入瀬渓流

名称：	十和田湖および奥入瀬渓流
ふりがな：	とわだこおよびおいらせけいりゅう
種別：	特別名勝
種別2：	天然記念物
都道府県：	2県以上
市区町村：	十和田市、鹿角郡小坂町
管理団体：
指定年月日：	1928.04.12(昭和3.04.12)
指定基準：	名6,名7, 天保区
特別指定年月日：	昭和27.03.29
追加指定年月日：
解説文：	十和田湖ハ青森秋田兩縣下ニ跨リ海拔四百米輪郭方形ニ近ク最大幅十粁周圍約六十粁面積約七〇、九七平方粁水深最モ深キ處三百三十米ニ達ス蓋シ舊火山ノ頂部カ一部ハ陷沒シ一部ハ爆裂シ舊火山ノ大部ヲ失ヒタル結果トシテ生シタル所謂陷沒「カルデラ」 Depression Calderall ニ屬スルモノノ如シ湖ノ北岸御花部山及ヒ西岸鉛山方面ニ數段ノ階段アルハ其ノ陷落作用ノアリシコトヲ示シ湖ノ四周ニ多量ノ火山岩屑アルハ其ノ爆裂作用ノアリシコトヲ示ス而シテ略湖ノ中心ニ「御門石」ノ岩礁アルハ陷沒爆裂ヨリ免レタル遺阯ナルカ如シ湖ノ周圍ハ高サ八百米内外ノ青巒緑峯ヲ以テ包圍セラレ「子之口」ノ一角ハ破レテ奧入瀬ノ火口瀬ヲ成ス湖ノ南岸ニハ御倉半島及ビ中山半島ノ二大突角アリ其ノ中間ハ中湖ト言ヒ御倉半島ノ東ヲ東湖中山半島ノ西ヲ西湖トイフ中湖ハ十和田湖中ニ新ニ噴出シタル中湖火山ノ火口阯ニシテ御倉半島ハ其ノ東半部中山半島ハ其ノ西半部ヲ代表ス御倉半島ノ千丈幕ハ東部火口壁ニシテ中湖ノ火山内部ノ構造ヲ示シ御倉山ハ後ニ火口壁上ニ噴起シタル熔岩丘ナリ中山半島ノ水中ニ沒スルトコ■ハ奇岩怪礁相連リ老松舊苔其ノ上ニ簇生シ風光頗ル明媚ナリ岩礁ノ主ナルモノヲ惠比壽島兜島鎧島■島六方石トシ孰レモ柱状弧面状等ノ節理アル中湖熔岩ヨリ構成セラル十和田湖ノ風光ハ中湖火山ノ成生ニ由ルトコロ實ニ尠カフス殊ニ湖邊一帶ノ山岳ハ落葉濶葉樹ヨリ成リ林下植物ヲ併セテ種類ノ■多ナル正ニ東北一帶ノ山地ノ産ヲ網羅セルノ觀アリ植物群落モ亦隨處ニ特色ヲ呈セルカ就中著シキハ中湖外湖等ノ屹立セル岸邊ニ於ケル蘚苔其ノ他ノ美麗ナル水際植物群落ニシテ水位ノ殆ト變化セサルニヨリ常ニ水際ヲ裝飾シ影ヲ碧潭ニ映セリ　尚十和田ノ風光ヲ説クニハ奧入瀬ノ溪流美ヲ逸スル能ハス溪流ノ兩岸相迫リテ懸崖ヲナス所老樹密生舊苔繁茂シ加之溪中ノ岩礁ノ水面上ニ露ハルルモノ必ズ多少ノ立木ヲ戴時ニ飛泉アリ時ニ激湍アリ本溪谷ハ實ニ本邦稀有ノ美麗ナル植物景觀ノ現ハレタル所ニシテ兩岸ノ密林ト羊齒草類ノ群落トノ盛ナルハ言フニ及ハス溪流ノ洲ヲ成セル所ニハかつら、いたやかへで其ノ他ノ巨樹發生シ又とくさ其ノ他ノ著シキ水生植物ノ群落アリテ宛然自然ノ大庭園ニ入ルノ觀アリ此ノ如キモノ子ノ口ヨリ燒山ニ至ルマテ三里ニ亘リ幽■ナル風景ヲ形造レリ 十和田湖は海抜４００米、面積７１平方粁、最深３３０米に及ぶ円方形の陷沒カルデラ湖である。南部より御倉・中山の両半島突出し、その間に中湖を挾む。風光はこの附近に於て最もすぐれている。周辺絶壁の上は松と紅葉樹に彩られ、下は水際植物の群落が清澄な水面をふちどる。湖水は子の口より奥入瀬の溪流をなして流れ出、燒山に至る約１２粁は滝あり激流あり変化に富み特に両岸の密林と羊歯類の群落溪流の洲を飾る数多の紅葉樹と相俟って、本邦稀有の植物景観を現わして幽邃きわまりない。

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