全米ライフル協会
別名:アメリカライフル協会、ナショナルライフルアソシエーション
英語:National Rifle Association、NRA
米国の銃の愛好家によって結成された団体。米国内でしばしば持ち上がる銃規制の意見に強く反対している有力なロビー団体として知られる。会員は数百万人に及ぶという。
全米ライフル協会のように、銃の所持を主張し、強い政治的影響力を持つ団体(ロビー団体)は「ガンロビー」と呼ばれることがある。全米ライフル協会の他に米国銃所有者協会(GOA)などがガンロビーとして知られている。
2012年12月14日にカリフォルニア州で児童・教員など26名を死亡させた銃乱射事件(サンディフック小学校銃乱射事件)が発生したことを受け、全米ライフル協会は12月18日に、再発防止に向けて意味のある貢献をする、といった趣旨の声明を発表している。
関連サイト:
NRA
全米ライフル協会
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2025/03/22 09:06 UTC 版)
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NRA本部
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略称 | NRA[1][2] |
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標語 | Guns don't kill people, people kill people. (銃が人を殺すのではない、人が人を殺すのだ) |
設立 | 1871年11月17日 |
設立者 | ウィリアム・C・チャーチ ジョージ・W・ウィンゲート |
種類 | 愛好者団体(当初)[2] 政治団体(1970年代以降)[2] |
目的 | 市民の銃所持についての権利保護を目指す[1] |
本部 | ![]() ![]() フェアファックスウェイプルズミル道路11250 11250 Waples Mill Road, Fairfax, VA 22030 |
座標 | 北緯38度51分47秒 西経77度20分7.8秒 / 北緯38.86306度 西経77.335500度座標: 北緯38度51分47秒 西経77度20分7.8秒 / 北緯38.86306度 西経77.335500度 |
会員数
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4,000,000人以上[1] 約3,600,000人[2] |
会長 | ボブ・バー(会長) ウェイン・ラピエール(CEO兼副会長) |
ウェブサイト | https://home.nra.org/ |
全米ライフル協会(ぜんべいライフルきょうかい、英語: National Rifle Association of America、略称: NRA(エヌ・アール・エー[3])[1][2])は、アメリカ合衆国の銃製造業や銃愛好家の団体である。「全米最強のロビイスト」と呼ばれる[2][3]。
NRA公式では日本語表記を明示していないため、本項では慣習的に使われている『全米ライフル協会』とする。また、ライフルとあるが単に含まれているだけで意味は無く、銃器一般を対象にしており、ライフリングを備えた銃や小銃(ライフル銃)などに限定した団体ではない。
データ
- 設立:1871年
- 会長:ボブ・バー(2024年5月就任)
- 会員:約400万人
- スローガン:「Guns don't kill people, people kill people.(銃が人を殺すのではない、人が人を殺すのだ)」
概要
銃規制反対
1871年に「アーミー・アンド・ネービー・ジャーナル」(現在の「アームド・フォーセス・ジャーナル」)編集者のウィリアム・コナント・チャーチと、北軍の将軍ジョージ・ウッド・ウィンゲートを中心に、南北戦争に勝った北部出身者、銃販売業者や銃愛好家などにより設立される。
設立当初、射撃訓練を行う団体として設立されて以降、協会の活動の中心は射撃技術の向上にあった。しかし1960年代にアメリカ合衆国で銃犯罪が急増するに伴い銃規制の世論が高まると、これに反対する候補者を支えるロビー活動に活動の主眼を移すことになる。銃器メーカーや販売店などの法人会員から多額の資金を得て急激に組織を拡大し、共和党右派とのつながりを深めていった[4]。
アメリカ合衆国憲法修正第2条に定められた「武器を所持して携帯する権利」を根拠に、銃規制に反対している。
但しこの条文は州兵の活動の為に定められたものであり(前段「よく規律された民兵は、自由な国家の安全にとって必要であるから」より)、NRAが主張する「国民の無制限な武装権」を認めたものではない、と批判する学説もある[要出典]。
なお、合衆国最高裁判所は2008年7月、同条項を「個人の武装権を認めたもの」とする判決を示した。
全米有数のロビー団体
結成当時、コルト・ファイヤーアームズや軍・司法機関・連邦政府と結託して準公的機関を装い銃器を普及させた事に協会活動は始まる。
スミス&ウェッソンやレミントン・アームズなどの連邦政府や軍と取引の多い銃、武器メーカーからの潤沢な援助を受けている他、政府への献金も行っており、共和党の保守層を中心に有力な政治家の会員も多く、強い政治的影響力を有している。これらのことにより、歴代のアメリカ合衆国大統領の多くが会員や名誉会員になっている。また、その会員数の多さからも『有力なロビー団体の一つ』ともなっている。
1981年3月に、ワシントンD.C.で起きたロナルド・レーガン大統領暗殺未遂事件の際に重傷を負った大統領報道官・ジェイムズ・ブレイディの名前を取って名づけられた銃規制法案「ブレイディ法」は5年間の時限立法だったことにより、期限の切れる1998年に、5日間の待機期間を1日以内の即時許可に修正して、それをブレイディ法対象外だったライフルと散弾銃にも適用してブレイディ法を延長させた。2004年には1994年に10年間の時限立法で制定した攻撃用銃器規制法の延長を阻止することに成功している。
政治上の利点のためならば銃規制に妥協する場合もある(マフィア対策の全自動火器の規制、ブラック・パンサー党を抑えるためのカリフォルニア州における厳しい規制)ため、米国銃所有者協会(GOA)など銃規制に一切妥協しない陣営からは「NRAは全米最強の銃規制団体」と批判されている。
なお、白人至上主義を掲げる有名な秘密結社(テロリストに指定されている)クー・クラックス・クラン(KKK)とNRAはまったく無関係な組織であるにもかかわらず、一部マスコミでは2つの団体が関係があるように報道しているケースがみられる(後述ボウリング・フォー・コロンバインのアニメパートでの描写など。全く関係ないと言っているが、皮肉を込めてである)。
全米ライフル協会は、豊富な資金を武器に、アメリカ合衆国議会に強い影響力を有する。バラク・オバマ大統領は銃規制推進に熱心であったが、2015年6月19日のインタビューで「議会での全米ライフル協会の支配力は極めて強い」として、銃規制強化に悲観的な見方を示した[5]。
組織破綻と移転
2020年8月、ニューヨーク州司法省から組織の資金が流用されているとして解散と賠償を求め州裁判所に提訴された。これに対し、解散を逃れるため財務状況が良好にもかかわらず連邦破産法第11章適用(民事再生)を申し立て、登記先を銃規制が強まるニューヨーク州から比較的規制の緩いテキサス州へ移す手続きを開始[6]。しかし2021年5月11日、誠実な申請ではないとしてテキサス州連邦破産裁判所は申し立てを却下した[7]。
著名な会員
- ユリシーズ・グラント(元合衆国大統領、元軍人、第8代会長)
- ジョージ・ハーバート・ウォーカー・ブッシュ(元合衆国大統領、元軍人)
- チャック・ノリス(俳優、作家、映画製作者、元軍人、NRA-ILA(立法処置のためのロビー活動部)現名誉会長[8])
- チャールトン・ヘストン(俳優、元軍人、元会長)[9]
- ジョン・ミリアス(脚本家、映画監督)
- サラ・ペイリン(元アラスカ州知事)
- グレン・ベック(ラジオ・パーソナリティー、テレビ・アンカーマン)
- テッド・ニュージェント(ハードロック・ミュージシャン)
自身の意思で資格返上した人
- マイケル・ムーア(映画監督。19歳の時、会員資格を返上。後にアメリカの銃社会を批判したドキュメンタリー映画『ボウリング・フォー・コロンバイン』を監督)
脚注
- ^ a b c d 知恵蔵 コトバンク. 2018年10月15日閲覧。
- ^ a b c d e f 日本大百科全書(ニッポニカ) コトバンク. 2018年10月15日閲覧。
- ^ a b デジタル大辞泉 - NRA(えぬあーるえい) コトバンク. 2018年10月15日閲覧。
- ^ 「全米ライフル協会」『知恵蔵』 。コトバンクより2022年2月3日閲覧。
- ^ “議会は「ライフル協会が掌握」=銃規制強化に悲観的-米大統領”. 時事通信. (2015年6月21日). オリジナルの2015年7月3日時点におけるアーカイブ。 2015年7月3日閲覧。
- ^ 全米ライフル協会、テキサスへ 組織再建、NYから移転共同通信2021年1月16日
- ^ “全米ライフル協会の破産申請認めず 裁判所「誠実な申請ではない」”. 毎日新聞. (2021年5月12日) 2021年5月12日閲覧。
- ^ NRA Freedom Action Foundation Launches 2010 Trigger the Vote Effort -- Honorary Chairman Chuck Norris Stars in New Ad Campaign nraila.org
- ^ “チャールトン・ヘストンが全米ライフル協会会長を辞任”. 映画.com. (2003年4月29日) 2021年10月18日閲覧。
関連項目
- ボウリング・フォー・コロンバイン
- レーガン大統領暗殺未遂事件
- ブレイディ法
- 銃社会
- アメリカ合衆国の銃規制
- 米国銃所有者協会(GOA) - NRAと同じ反銃規制団体だが、NRAを銃規制団体とみなして批判している
外部リンク
- NRA.org(公式サイト、英語)
- NRA-ILA (National Rifle Association of America - Institute for Legislative Action)(公式サイト、英語)
- NRA (@NRA) - X(旧Twitter)
- NRA News (@nranews) - X(旧Twitter)
- National Rifle Association (NationalRifleAssociation) - Facebook
全米ライフル協会
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/17 14:28 UTC 版)
「チャールトン・ヘストン」の記事における「全米ライフル協会」の解説
銃の所有者が多いイリノイ州南部の出身ということもある上、「武装する権利の擁護」の観点から全米ライフル協会(NRA)の一員であり、1997年に同会の評議員に当選し、翌1998年には同会の会長に就任した。 同会の会長は本来2期(1期1年)までだったが、規約が改正され2003年まで5期つとめ、2000年アメリカ合衆国大統領選挙におけるジョージ・W・ブッシュ当選、2002年における共和党の中間選挙勝利に貢献し、減少を続けていた会員数も500万人近くにまで増大させた。そのため一時は大きな争点となっていた銃規制論議は、2008年アメリカ合衆国大統領選挙においてはほとんど聞かれず、本来は規制推進論者であるバラク・オバマやヒラリー・クリントンは争点化させていない。 2002年にドキュメンタリー映画『ボウリング・フォー・コロンバイン』 において、全米ライフル協会の会員でもある監督のマイケル・ムーアからインタビューを受け、コロンバイン高校銃乱射事件直後のコロラド州デンバーでの全米ライフル協会会議について質問された。ムーアは自身が全米ライフル協会の会員であることを述べインタビューを始めたが、たびたび繰り返される惨劇と銃所持の関係や、事件直後というタイミングでの会議開催などについて見解を問われると、ヘストンは回答を避け、部屋から退散した。 2003年8月に自分がアルツハイマー病であることを公表し、全米ライフル協会会長を辞任した。
※この「全米ライフル協会」の解説は、「チャールトン・ヘストン」の解説の一部です。
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