免疫系への作用
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D-ペニシラミンの持つチオール基は、リウマトイド因子として知られる免疫複合体分子内のジスルフィド結合を開裂させたり、5量体であるIgMをモノマーに解離させることなどが知られている。結果として、IgMに加えて、免疫に重要な役割を果たしているIgGやIgAの低下を引き起こし得る。 さらに、Tリンパ球を介して細胞性免疫系に作用して、免疫を抑制したり、逆に増強したりすることがある。このことを、D-ペニシラミンの免疫調整作用と呼ぶ場合があるものの、こちらの作用機序は不明である。 以上のように免疫系に影響を与えるD-ペニシラミンは、1964年にJaffeによって、自己免疫疾患である関節リウマチの治療薬として用いられるようになった。日本では1970年代後半より関節リウマチ治療薬として用いられるようになった。ただし、同じく抗リウマチ薬として使用されることのある金チオリンゴ酸ナトリウムとの併用を行うと、機序不明ながら重篤な血液障害を起こすので併用禁忌である。また、関節リウマチ患者に対してD-ペニシラミンを投与すると、ごく稀に胆汁鬱滞性肝炎が発生するとの報告が存在するため、D-ペニシラミン投与中は、定期的な肝機能検査を実施するべきとされている。
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免疫系への作用(2010年 - 2014年)
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「ヴィム・ホフ」の記事における「免疫系への作用(2010年 - 2014年)」の解説
2010年以降、ホフは、ナイメーヘンのラドバウド大学の教育病院 である聖ラドバウド大学医療センター(オランダ語版)の研究者たちによって、どうしてこのようなパフォーマンスができるのか、研究されることとなった。ホフが氷風呂に使っている間、瞑想をしているときに、内毒素の働きに関する様々な検査が行われた。彼の身体は、平均より高いコルチゾールの値を示した。また、免疫反応は、通常より50%低く、炎症性タンパク質が少ないこともわかった。 ホフ自身は、精神集中と瞑想によって自分の自律神経系や免疫反応に作用を及ぼすことができると主張していたが、瞑想が自律神経系や免疫反応に作用を及ぼすという科学的証拠は見出されなかった。次いで研究者たちは、ホフが訓練した人々と、そうではない普通の人々の対照実験を提案した。ホフによって訓練を受けた12人が介入群(実験群)となり、訓練されていない12人を統制群として、真正細菌(バクテリア)である大腸菌に由来する内毒素の、血流中の状態が検査された。訓練を受けていた介入群の対象者は、呼吸技法の実践によって、生体組織への酸素の供給が抑えられ(低酸素症)、身体のアルカリ化(アルカローシス)の傾向が認められ、アドレナリンは、初めてバンジージャンプをする人の水準をさらに超える高い値となった。よく多く認められた炎症性タンパク質の中には、インターロイキン10 (IL-10(英語版)) も含まれていた。介入群は、統制群に比べて、病気の兆候は少なかった。この実験結果は、訓練を受けた人々が免疫反応に何らかの作用を及ぼしている可能性を示唆するものであった。 フォルヘンス・ウーター・ファン・マルケン・リヒテンベルト (Volgens Wouter Van Marken Lichtenbelt) は、ヴィム・ホフ・メソッドが免疫系に作用することが、この結果によって「決定的に (onomstotelijk)」明らかになったとしたが、メソッドのどの要素が、どのように効果を及ぼしているのかは決定し難い、とした。また、呼吸技法が自律神経系に作用して、より多くのアドレナリンが出た可能性も考えられた。研究者である コックス (Kox) とピッカーズ (Pickkers) によると、深呼吸と長く息を止める行為を交互に繰り返すと、血液中の水素イオン指数 (pH) や酸素量に大きな変化が生じることは、既に以前から指摘されていたという。高い水準のアドレナリンが、免疫系の働きによって生じることも、既に知られていた。研究者であるピッカーズによれば、物理的なストレスは、心理とは無関係だという。科学ジャーナリストのマルセル・フルスパス(オランダ語版)は、実験によって明らかにされた免疫反応の低下は、ホフが病気に冒されにくいわけではないことを示している、と述べた。
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