免疫系とアポトーシスにおける役割
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/02/06 17:25 UTC 版)
「EGF様ドメイン」の記事における「免疫系とアポトーシスにおける役割」の解説
セレクチンは炎症部位への白血球のローリングに関与するタンパク質群であり、EGF様ドメインとレクチンドメイン、ショートコンセンサスリピート(SCR)を含んでいる。EGF様ドメインの機能はセレクチンのタイプによって異なる。L-セレクチン(英語版)(リンパ球で発現している)のEGF様ドメインは最大の細胞接着能力を発揮するために必要な領域ではないが、P-セレクチン(英語版)(血小板で発現している)のEGF様ドメインはリガンドの認識と接着に関与しており、タンパク質間相互作用にも関与している可能性がある。レクチンドメインと炭水化物リガンドとの相互作用に加えて、EGF様ドメインを介した相互作用もカルシウム依存的である可能性が示唆されている。 ヒトの未成熟の樹状細胞は、その成熟過程でセレクチンのEGF様ドメインとの相互作用が必要なようである。抗EGF様ドメイン抗体によってこの相互作用を遮断すると、樹状細胞の成熟が妨げられる。未成熟な細胞はT細胞を活性化することができず、野生型の樹状細胞よりもインターロイキン-12の産生量が少ない。 P-セレクチンやL-セレクチンのEGFドメインにN-グリコシル化(英語版)部位を人為的に挿入することで、セレクチンとリガンドとの親和性が増大し、ローリングの速度が低下する。そのため、EGF様ドメインは炎症部位への白血球の移動に重要な役割を果たしているようである。 EGF様ドメインは、重要な細胞外タンパク質群であるラミニンの一部でもある。通常ラミニンのEGF様ドメインは膜によって覆い隠されているが、炎症時など膜が破壊された際には露出する。それによって膜の成長が促進され、損傷を受けた膜領域が修復される。 さらに、スタビリン2(英語版)のEGF様ドメインリピートはアポトーシスを起こした細胞を特異的に認識して結合する。おそらくアポトーシスのマーカー("eat me"シグナル)であるホスファチジルセリンを認識している。このEGF様ドメインリピートは、マクロファージによるアポトーシス細胞の認識を競合的に阻害する。
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