免疫系が正常な場合
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/03/20 05:48 UTC 版)
「トキソプラズマ症」の記事における「免疫系が正常な場合」の解説
初感染でも、およそ8割の場合は発熱もなくリンパ節が腫れる程度でほとんど気付かれない。残り2割程度では、リンパ節の腫れや発熱・筋肉痛・疲労感が続く亜急性症状が出て、そのあと緩やかに(1ヶ月程度で)回復する。この間、患者は単球が増加しており、伝染性単核球症と似た徴候を示す。普通は治療の必要がない場合が多い。しかし、まれに急性症状を示す患者がいる。この場合は眼(脈絡網膜炎)、心臓、肺などに病変が起き、神経系に症状が出る場合もある。血液中に原虫が認められる虫血症(parasitemia)も長引き、尿や唾液のような体液にも原虫が出現する。 いずれの場合でも組織中にシストが生じて慢性感染に移行する。シストの検出は難しい。慢性感染になった場合の治療法は確立していないが、特に症状が出るわけではないので問題になることは少ない。 トキソプラズマの慢性感染が宿主に影響を与えるという研究報告がいくつかある。 疫学的な研究により、トキソプラズマ陽性だと男児が生まれやすいという結果が得られている。 トキソプラズマに感染したマウスはネコのフェロモンを恐れなくなる(猫の尿の匂いに引き寄せられるようになる)。これはネコを終宿主とする原虫にとっては都合がいいと思われる。詳しい機構はわかっていないが、ドーパミン量が多くなっていることと関係があるかもしれない。 トキソプラズマの慢性感染によりヒトの行動や人格にも変化が出るとする研究報告もあり、男性は反社会的に女性は社交的になる、男性はリスクを恐れなくなる・集中力が散漫となる・規則を破る・独断的・反社会的・猜疑的・嫉妬深い・女性に好ましくない、女性は社交的・ふしだら・男性に媚びをうる、などの傾向が見られる。近年の研究によっててんかん、アルツハイマー病、パーキンソン病、統合失調症、双極性障害、パーソナリティ障害、間欠性爆発性障害など多くの精神疾患や人格の変化、がんとの間に関連があることが徐々に明らかになってきた。大学生においても経営や起業などビジネス系を専攻する傾向が見られ、社会人でも起業経験者は感染率が高い
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