信虎の甲斐追放とは? わかりやすく解説

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信虎の甲斐追放

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/13 08:53 UTC 版)

武田信虎」の記事における「信虎の甲斐追放」の解説

天文10年1541年6月14日信虎信濃国から凱旋し娘婿今川義元と会うために河内路駿河国赴いたところ、晴信は甲駿国境封鎖して信虎強制隠居させる(『勝山記』『高白斎記』)。板垣信方甘利虎泰譜代家臣支持受けた信一派によって河内路遮られ駿河追放され、晴信は武田家家督守護職相続する信虎今川義元元に寓居することになり、正室大井夫人甲斐国残留しているが、信虎側室駿河国赴いており、同地において子をもうけている。 信虎追放については同時代記録資料のほか『甲陽軍鑑』にも見られるが、「堀江家所蔵文書」年未詳9月23日付の今川義元書状では、義元は晴信に対して信虎隠居料催促している。晴信と義元により隠居料など諸問題含めた協定おこなわれていたと考えられている。信虎駿河時代給分武田家からの隠居料のほか今川家からの支出もあり、給地存在していた。小和田哲男はこの義元書状天文11年1542年)に比定し、文中見られる天道」の語句から、信虎追放は「天道思想」に裏付けられた行為であるとした。一方で平山優は「天道」の語句は晴信が信虎女中衆を駿河派遣する時期易筮えきぜい)により占い、「天道」はこの易筮結果を指すものとして、これを否定している。 事件背景には諸説ある。信虎嫡男の晴信を疎んじて次男信繁偏愛し、ついには廃嫡考えようになったためという親子不和説や、晴信と重臣、あるいは『甲陽軍鑑』に拠る今川義元との共謀説などがある。さらには信虎可愛がっていた家臣殺されて、その家臣手打ちしたためというものまで伝わっている。いずれにせよ、晴信や家臣団との関係が悪化していたことが原因であると推察される。また、勝山記』などによれば信虎治世度重なる外征軍資金確保のために農民国人衆に重い負担課し怨嗟の声は甲斐国内に渦巻いており、信虎追放領民からも歓迎されたという。 近年平山優は『勝山記』などに記載された米や小麦価格変動から、経済的な疲弊追放要因一つであった可能性指摘している。今川氏による路次封鎖前年凶作重なった永正13年1519年)に過去にない物価高騰見られ、また享禄2年1529年)にも小山田氏との対立端を発する路次封鎖によって物価高騰みられる平山によれば周辺諸国激しく対立して四囲が敵であった時期もあった信虎期に路次封鎖凶作がたちまち物価高騰飢饉招いたとする。そして、天文9年1540年)に東海・甲信地方襲った台風推測される大規模風雨原因とする凶作伴って10年当該地域大飢饉に陥っている(天文の飢饉)。こうした状況国内信虎への反発高まり、これに危機感抱いた晴信とその周辺信虎追放したとする。『勝山記』などによる領民歓迎は、晴信が「代替わり徳政」を実施したことも理由であるとしている。 また、信虎悪行伝説はやはり荒唐無稽そのままでは信じられない面があることが指摘される。更に、『勝山記』なども近い時代史料ではあるが、年代記であり後に改変挿入可能性指摘される信虎悪行具体的に記した一次史料は殆ど無く在地信虎伝承記録には信虎悪くいう内容はない、とする意見もある。信虎悪行は『甲陽軍鑑』に萌芽見られ、『甲陽軍鑑末書』や『竜虎三品』の「竜韜品」、『武田三代軍記』といった甲州流軍学テキストの中で次第作り上げられていった信虎悪役イメージ付加したのは、信虎追放正当化するために武田氏軍学者たちが印象操作行ったとも考えられている。

※この「信虎の甲斐追放」の解説は、「武田信虎」の解説の一部です。
「信虎の甲斐追放」を含む「武田信虎」の記事については、「武田信虎」の概要を参照ください。

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