便秘と女性
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/21 09:24 UTC 版)
便秘は高齢者に多く見られ、若年層では男性よりも女性に多い。これには科学的な根拠があり、それは社会的なものから、生活習慣的なもの、そして女性の身体構造に大きく関与する。 男性に比べ、排便に必要な括約筋、腹筋の力が弱い。 (男性というのは、膀胱が大きいので、普段から水をガブガブとたっぷりと平気で飲め、たっぷり水分補給ができるが)女性の場合は、男性に比べ膀胱の容量が小さい(膀胱の隣に子宮があり、やや圧迫されている。解剖図で観察しても判るが、明らかに膀胱の内部空間が男性より狭い。)ので、頻繁にトイレに行くわずらわしさを避けるために(また女性は特に「トイレに頻繁に行く姿を人に見られるのは避けたい」という心理が強く働くので)水分摂取を少なめにすることが習慣・習性になっていることが多く、結果として大腸内の便の「水分量」が減ってしまう。 (男性の場合は、水を大量に飲んで尿意を催してもさほど心配しなくて良い、つまり、たとえば『尿意を催した時に、たとえ周囲にトイレが無くても、いざとなったら「立ち小便」をする手もある』と思って子供の時から生きているし、実際「立ち小便」をすることがある男性は世の中には多いので心理的抵抗がほとんど無いので、普段から安心してたっぷりと水分補給ができるが)、それに対して女性の場合は『もし水分をたっぷりとると必然的に尿意を催すが、尿意を催した時に周囲にトイレが無いと、非常に困った状況になる』という恐怖心を常に抱いて生きている。男性の場合は、たとえ周囲数十メートルに他人がいても、人々に「背を向ける」だけで、ズボンも脱がず下着も脱がず「立ち小便」ができ排尿できるが、女性の場合はもしトイレが無い状態で小便をするとなると、スカートをまくりあげて下着を下げ(あるいはズボンと下着をともに下げ)た上で、「しゃがんで、尻をむき出し」にして小便をすることになるので(もし仮にそんなことをして人に目撃されたら「社会的評判」が取り返しのつかないほど傷ついてしまうので)、女性は男性と異なって「尿意を催した時に近くにトイレが無い状態」を内心、非常に恐れる。その結果しばしば、普段から用心して「水分はできるだけ少なめに取る」という習性・習慣になってしまう。その結果、大腸内の便の「水分量」が少ない傾向になりがちで便秘が多くなる。(普段働いている職場に行く場合は、トイレの場所もよく分かっているので、さほど心配は無いのだが)旅行・観光・出張の時など、特に慣れない場所に行く時は、「そもそも 行き先にトイレがあるのか無いのかさっぱり分からないので、尿意を催した時のことがすごく不安」、ガイドブックで「トイレはある」ということになっていても「具体的にどこにあるのか、どう行けばいいのか、とっさに分からないので不安」なので、女性は用心して水分補給が減ってしまう。結果として大腸内の水分量が減り、便秘になってしまう。 男性に比べ、外や人前で便意を催した時などでも、気恥ずかしさなどの理由で排便を躊躇、我慢する傾向がある。それによって排便のリズムが狂い、排便反射が鈍くなってしまう。したがって、便が滞留しても便意を感じなくなる。 女性に多いダイエットも大きく原因している。食べないことによって腸の蠕動(ぜんどう)運動が疎かになる。 女性特有の黄体ホルモンであるプロゲステロンが体内に水分を蓄積しようとする。その結果、排便に十分な水分が補給されなくなってしまう(このホルモンは月経、妊娠などの時に多く分泌され、そのためにその時期の便秘が多くなる)。更にこのホルモンは括約筋を収縮させる働きがあるため、排泄を一層困難にさせる。 女性は骨盤が広い。そこに腸が下垂しやすくなり、腸が不安定になる。また、下半身に脂肪がたまりやすくなるために、血液も骨盤に滞りがちになる。そのため腸の働きが弱まりやすい。 上記と同様の理由で腸管の形がいびつになりやすく、そこに硬い便などが留まりやすい。 ストレスによる過敏性腸症候群などにより、歪になった腸が閉塞してしまい、そこに便が滞ってしまう。 便秘薬など薬の濫用。一例として、ビサコジル製剤は腸の蠕動を促進させるものであるが、何度もそれに頼ると身体が慣れてしまい、反応が鈍くなる。それだけでなく、自立的な蠕動運動を阻害するために、薬に頼らないと排便が困難になるような慢性的な便秘に陥りやすい。その他、浣腸や下剤の濫用も、自然な排泄や排便サイクルを乱してしまう恐れがあるので、濫用すべきではない。 などの理由が挙げられており、便秘治療薬の購入者は女性が圧倒的に多い(パッケージにピンクが多いのは女性をターゲットにしているため)。その一方、男性は、高齢者以外は便秘で悩まされるケースは少ない。だが、男性は便秘より下痢に悩まされている傾向にある。これも同様に、食習慣(酒、油物、刺激物を好む傾向にあるが、これらは腸の動きを活発化させたり、腸壁を滑らかにさせたりする作用がある)や外的ストレスに対する脆弱性(前述の過敏性腸症候群は、男性だと下痢になりがちである)、太い腸管など身体の構造に起因するものである。
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