仏教美術と著作活動の専念とは? わかりやすく解説

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仏教美術と著作活動の専念

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/04/27 07:59 UTC 版)

文観」の記事における「仏教美術と著作活動の専念」の解説

京都喧騒離れて吉野移った文観は、南朝における仏教美術監修学問的著作活動専念するようになった奈良国立博物館には、文観延元2年/建武4年1337年)から翌年にかけて描いた日課文殊菩薩図像巻』が所蔵されている。これは、一日一体の文殊菩薩を描く修行で、西大寺にいた20代青年時代からの継続的な取り組みである。巻末光明真言という呪文梵字記載されているが、これらは死者埋葬の際の土砂加持浄められた白砂死者や墓に散布して生前罪業滅する儀式)に唱えられる呪文で、真言律宗では特に重視されたものである文観は、真言宗報恩院流の高僧ありながら律僧としての意識保っていたことがわかる。 また、奈良国立博物館には、大和国奈良県室生寺長老である真海による『如意輪観音菩薩印仏』(延元3年/暦応元年1338年))という仏画所蔵されている。真海年齢的に文観より20歳年上ではあるものの、文観門弟一人であり、内田啓一推測によれば真海建武元年1334年)に室生寺長老となったのも文観からの推挙があったのではないかという。真海の『如意輪観音菩薩印仏』にも、文観画業からの影響見られるという。南北朝時代になると像容簡略化して崩れていくものが多い中で、細部まで丁寧に描かれ作例としても貴重である。 文観仏教学上の著作活動盛んに行い延元3年/暦応元年1338年2月14日には後醍醐天皇勅命により『般若心経法』を撰述注進した。 同年4月14日には、平安時代書写された醍醐寺至宝一つである「弘法大師二十五箇条御遺告」(以下「御遺告」)を、後醍醐帝から相伝した。なお、文観相伝した「御遺告」は、この80年余り後に越前国福井県)で再発見され、第3代将軍足義満の寵僧の満済醍醐寺座主だった頃の応永29年1422年8月21日に、醍醐寺返却された。文観入滅時まで「御遺告」を抱えていたならば、本来は河内国大阪府)の金剛寺所蔵されていたはずだが、なぜそれが越前にあったのか、2006年時点では不明である。 5月1日には『千鉢文殊法』を述作12月19日には金峯山寺仁王像阿行が完成しているが、像内背部墨書金峯山寺学頭である宗遍という僧の名が見える。宗遍は文観付法受けたであるから内田は、この仁王像造立には文観が当然関わっていたであろう主張している。 こうした一方でこの年5月には南朝鎮守府大将軍北畠顕家が、閏7月には南朝総大将新田義貞討死し、南朝相次いで代表的名将喪失して軍事的窮地に立たされた。それに対し足利政権では、8月11日足利尊氏北朝から征夷大将軍補任されるなど、着々と政治体制整備進めていった。 なお、正確な制作時期不明だが、吉野吉水神社には、文観後醍醐天皇合作による両界種字曼荼羅残されている。両界曼荼羅一般に死者追善のために作成されるもので、特に両界種字曼荼羅真言律宗とも関わりが深い。内田啓一は、時期から考えて文観後醍醐天皇戦死者安寧祈って制作したのである推測しており、「後醍醐天皇清浄な作善」、(文観は)「これだけ清浄な作善という意味を含めて関連作品残した事相僧はいない」と評している。

※この「仏教美術と著作活動の専念」の解説は、「文観」の解説の一部です。
「仏教美術と著作活動の専念」を含む「文観」の記事については、「文観」の概要を参照ください。

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