今津出屋敷線とは? わかりやすく解説

阪神尼崎海岸線

(今津出屋敷線 から転送)

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/07/19 14:32 UTC 版)

尼崎海岸線
国道43号南方に残る軌道跡の道路
基本情報
現況 廃止
日本
所在地 兵庫県尼崎市
起点 出屋敷駅
終点 東浜駅(1951年当時)
駅数 3駅
開業 1929年4月19日
廃止 1962年12月1日
所有者 阪神電気鉄道
運営者 阪神電気鉄道
使用車両 概要の節を参照
路線諸元
路線距離 1.7 km(1951年当時)
軌間 1,435 mm標準軌
線路数 単線
電化方式 直流600 V 架空電車線方式
テンプレートを表示
停車場・施設・接続路線
阪神本線
0.0 出屋敷
1.0 高洲
1.7 東浜

尼崎海岸線(あまがさきかいがんせん)は、かつて兵庫県尼崎市出屋敷から東浜までを結んでいた阪神電気鉄道の鉄道路線。「海岸線」と呼称している文献もある。また東浜まで路線があった頃は「東浜線」と呼称していたこともあった。

概要

1929年昭和4年)4月に開業。尼崎臨海工業地帯への足として運行。

全線単線ながら、軌道敷は複線分確保されていた。車両は当初阪神本線の車両が入っていたが、3011形に始まる大型車の導入により1950年代後半にそれまで当線で使われていた両運転台の701形が他車に先駆け廃車の対象となったことから、国道線71形がパンタグラフ取り付けや尾灯の取り換えなど小規模改造の上投入され、廃線まで走った。

尼崎海岸線のルートには2020年現在、阪神バスが「西宮尼崎線」「尼崎スポーツの森線」、同「尼崎市内線」の〔85番〕を運行しているが、いずれも高洲までで(以遠は別方向へ向かう)本数も僅少となる。かつては旧東浜駅付近に尼崎市営バスが運行されていた[1]

路線データ

  • 路線距離(営業キロ):1.7km
  • 軌間:1435mm
  • 駅数:3駅(起終点駅含む)
  • 複線区間:無し(全線単線)
  • 電化区間:全線電化(直流600V)

歴史

  • 1929年昭和4年)4月14日 出屋敷 - 東浜間開業
  • 1951年(昭和26年)7月19日 高洲 - 東浜間休止
  • 1960年(昭和35年)4月15日 高洲 - 東浜間正式廃止
  • 1962年(昭和37年)12月1日 出屋敷 - 高洲間廃止

今津出屋敷線

1961年・尼崎海岸線付近 路線は出屋敷駅(画像上)より急カーブを経て建設中の国道43号を横断、画像中央の工業地域を南下し出屋敷線の西側を並行、臨港線との三差路(画像下)手前で、当時の終点・高洲駅に至る。 国土地理院 地図・空中写真閲覧サービスを基に作成

尼崎海岸線は、本来「今津出屋敷線」の一部として計画されたものである。阪急今津線の開業に刺激され、自社沿線防衛のため特許を出願し、受理されたものである。当時、阪神急行電鉄(阪急)は今津から南進して浜手回りで阪神尼崎に向かい、そこから阪急塚口阪急伊丹を抜け、宝塚へ向かう計画を立て、特許を出願していた。

結局阪神本線を境に、以北は阪急、以南は阪神に特許が降りて阪神の防衛策は一応成功した。引き続き阪神は臨港地区の工業地域化に伴う輸送手段として尼崎側から建設に着手。阪神の発電所が隣接する東浜までが全線専用軌道で開業、これとは別に甲子園線の、浜甲子園から中津浜までの区間が専用軌道で建設された。出屋敷からの路線は終点の東浜から、また一説では途中の高洲から別れ、前大浜(尼崎市西南部)、浜甲子園、中津浜を経て今津に向かう予定であったが、結局上記以外の区間が建設されることはなかった。戦時中、鳴尾浜付近の路線予定地は軍部に接収され飛行場となり甲子園線浜甲子園 - 中津浜間も休止となるが、武庫川線が建設されたことに伴いこれと連絡することとなり、武庫川線の終点洲先(ただし、位置は現在の武庫川団地前駅に相当) - 前大浜間が新規に特許され、河口近くに橋脚が建設されたが直ちに終戦を迎えたため、工事は中断された。戦後は沿線の地盤沈下による浸水被害のため、高洲 - 東浜間0.7kmが運休となり、僅か一駅間だけの路線となる。

その後も東浜までの復活は見送られ、阪神側も「今津出屋敷線」の計画そのものを見直すこととなったのか、1960年(昭和35年)4月、今津 - 中津浜間の特許を失効させ、高洲 - 東浜間も正式に廃止した。そして1962年(昭和37年)12月、第二阪神国道建設工事に際し、立体化してまで運行するほどの路線でないと判断。そのまま全線廃止された。廃止補償として臨時駅として開設されていた阪神本線の尼崎センタープール前駅を常設駅とする工事が行われた。なお、「今津出屋敷線」の未成残存区間は1970年(昭和45年)11月に特許を失効。甲子園線の一部として戦前運行され、戦後運休中だった中津浜 - 浜甲子園間も1973年(昭和48年)9月に正式廃止。「今津出屋敷線」は完全に未成線となった。それ以降も、武庫川には武庫川団地前駅の南側に西宮市側のみ建設途中の橋脚が残されていたが、1980年代後半に撤去された。

なお、阪神バス(阪神電鉄直営のバス→子会社の阪神バス)が長らく今津出屋敷線のやや北側を通るように阪神西宮 - 今津 - 浜甲子園 - 阪神甲子園 - 東鳴尾 - 出屋敷 - 阪神尼崎間でバスを運行していたが、2019年3月23日をもって東半分の阪神甲子園 - 出屋敷間は運行休止となった。

駅一覧

出屋敷駅 - 高洲駅 - 東浜駅

接続路線

脚注および参考文献

  1. ^ 尼崎市営バスは【85】中浜線(出屋敷 - 東発電所)系統が運行されていた。本数も平日・土曜日の朝と夜間の数本のみであった。東浜駅は東発電所停留所(現廃止)付近にあった。

関連項目


今津出屋敷線

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/01/06 17:27 UTC 版)

阪神尼崎海岸線」の記事における「今津出屋敷線」の解説

尼崎海岸線は、本来「今津出屋敷線」の一部として計画されたものである阪急今津線開業刺激され自社沿線防衛のため特許出願し受理されたものである当時阪神急行電鉄阪急)は今津から南進して浜手回り阪神尼崎向かい、そこから阪急塚口阪急伊丹抜け宝塚へ向かう計画立て特許出願していた。 結局阪神本線を境に、以北阪急以南阪神特許降りて阪神防衛策は一応成功した引き続き阪神臨港地区工業地域化に伴う輸送手段として尼崎側から建設着手阪神発電所隣接する東浜までが全線専用軌道開業、これとは別に甲子園線の、浜甲子園から中津浜までの区間専用軌道建設された。出屋敷からの路線終点東浜から、また一説では途中高洲から別れ、前大浜尼崎市西南部)、浜甲子園中津浜を経て今津に向かう予定であったが、結局上記以外の区間建設されることはなかった。戦時中鳴尾浜付近路線予定地は軍部接収され飛行場となり甲子園線浜甲子園 - 中津浜間も休止となるが、武庫川線建設されたことに伴いこれと連絡することとなり、武庫川線終点洲先(ただし、位置現在の武庫川団地前駅に相当) - 前大浜間が新規に特許され、河口近く橋脚建設されたが直ち終戦迎えたため、工事中断された。戦後沿線地盤沈下による浸水被害のため、高洲 - 東浜間0.7kmが運休となり、僅か一駅間だけの路線となる。 その後東浜までの復活見送られ阪神側も「今津出屋敷線」の計画そのもの見直すこととなったのか、1960年昭和35年4月今津 - 中津浜間の特許失効させ、高洲 - 東浜間も正式に廃止した。そして1962年昭和37年12月第二阪神国道建設工事際し立体化してまで運行するほどの路線でないと判断そのまま全線廃止された。廃止補償として臨時駅として開設されていた阪神本線尼崎センタープール前駅常設駅とする工事が行われた。なお、「今津出屋敷線」の未成残存区間1970年昭和45年11月特許失効甲子園線一部として戦前運行され戦後運休中だった中津浜 - 浜甲子園間も1973年昭和48年9月に正式廃止。「今津出屋敷線」は完全に未成線となったそれ以降も、武庫川には武庫川団地前駅南側西宮市側のみ建設途中橋脚残されていたが、1980年代後半撤去された。 なお、阪神系列阪神バス長らく今津出屋敷線のやや北側を通るように阪神西宮 - 今津 - 浜甲子園 - 阪神甲子園 - 東鳴尾 - 出屋敷 - 阪神尼崎間でバス運行していたが、2019年3月23日をもって半分阪神甲子園 - 出屋敷間は運行休止となった出屋敷駅南にある軌道跡の公園 奥の高架出屋敷駅手前国道43号がある。 国道43号南方に残る軌道跡の道路 奥の倉庫(プロロジスパーク尼崎3)の先に国道43号手前建機レンタル会社車庫経て出屋敷線に至る。 旧高洲駅付近道路出屋敷線阪神バス尼崎市バス(現・尼崎市内線)の停留所がある(2015年撮影)。

※この「今津出屋敷線」の解説は、「阪神尼崎海岸線」の解説の一部です。
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