特許 (行政法)
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/11/08 05:26 UTC 版)
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行政法上の特許(とっきょ)とは、本来ならば個人が自由に保有していない特別の能力や権利を国が私人に対して与える行政行為である[1]。設権行為ともいう[2]。
概説

行政法学上、形成的行為の一つとされる(形成的行為には他に認可と代理がある)[1]。個々人が本来有している自由に干渉するものではないため、行政裁量が広く認められる[1]。
法律の文言上では下記具体例のとおり特許と表記されていないことが多く、「許可」「免許」「認可」など、様々な用語で表記される[1][2]。なお、特許法における特許権の付与行為である「特許」は、行政法学上は確認(準法律行為的行政行為)に分類され、この意味での特許にはあたらない[1]。
特に公益事業である道路運送・地方鉄道事業の「免許」、電気事業の「許可」などのことを指して「公企業の特許」といい、これにより企業経営権の設定を受けて経営する企業のことは特許企業という[2][3]。ただし、近年では特許によらなければ認められなかった事業(電気事業、ガス事業、鉄道事業の許可)についても、規制緩和の流れから新規参入も認められる傾向にあり、国家から独占的に与えられる特権という側面は希薄化している(許可と特許の相対化現象[4])。
行政法上の特許の例
- 軌道運輸事業の特許(軌道法3条)
- 鉱業権の設定許可(鉱業法21条)
- 漁業権の設定免許(漁業法10条)
- 電気事業の許可(電気事業法3条)
- 道路占用許可(道路法32条)
- 河川占用の許可(河川法23条、24条)
- 公有水面埋立の免許(公有水面埋立法2条)
- 帰化の許可(国籍法4条)
- 公務員の任命
脚注
- ^ a b c d e 神山智美 (2018年4月6日). “「ビジネスに関わる行政法的事案」第1回:「特許」「許可」「認可」とは”. 一般社団法人GBL研究所. 2022年4月17日閲覧。
- ^ a b c "特許". ブリタニカ国際大百科事典. コトバンクより2022年4月17日閲覧。
- ^ "特許企業". 日本大百科全書. コトバンクより2022年4月17日閲覧。
- ^ 比山節男「実質的法治主義行政法との対話(2)行政法規の構造とその実現過程その1 : 阿部泰隆著『行政法解釈学I・II』(有斐閣、2008年、2009年)を読む」『産大法学』第45巻第2号、京都産業大学法学会、2011年11月、460-399頁、CRID 1050282812394428416、hdl:10965/802、ISSN 0286-3782、NAID 120005382054。
関連項目
「特許 (行政法)」の例文・使い方・用例・文例
- 特許権を侵害する
- 特許を申請する
- 彼はその発明の特許を取った
- その特許権はいつ切れるのですか
- 特許医薬品
- 特許権所有者を訴える
- 特許文献を検索するためにFタームを利用します。
- 最近その二つの企業は、グローバル特許のクロスライセンス取引を公表した。
- サブマリン特許の存在が明らかになったため、当社は多額のライセンス料の支払いを余儀なくされた。
- 特許庁長官意見照会
- 国際特許分類とは、国際的に統一された特許分類のことです。
- 特許権、実用新案権、意匠権、商標権の4つを産業財産権という。
- 産業上の利用可能性とは、特許を受ける発明の条件の1つだ。
- コンピュータープログラムを記録した媒体は90年代後半に媒体特許として認められた。
- そのアイデアは不特許事由を有するとみなされたため申請が受け付けられなかった。
- ハイブリッドシステムは、正確かつ迅速に関連する特許文献を世界規模で検索できるようにデザインされている。
- 改良発明をした者が改良特許を取得するには、基本特許を有する者の承諾を得なければならない。
- 特許出願をしたが、拒絶理由通知を受けた。
- 貴方の特許出願が最新の公開特許公報に載っていました。
- 当社の出願公告は明日の特許公報に掲載される。
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