乱歩と怪人二十面相とは? わかりやすく解説

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乱歩と怪人二十面相

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/05 05:24 UTC 版)

怪人二十面相」の記事における「乱歩と怪人二十面相」の解説

怪人二十面相』が書かれ当時少年誌には、少年探偵ものが数多く連載されていた。しかしこれらの作品では、探偵役主人公少年自らが担って推理という難解な作業行なっていた為、内容そらぞらしく迫力にかけるものが大半であった雑誌少年倶楽部』の編集者たちは、主人公少年探偵をするのではなく主人公以外の大人探偵役を担う事でより面白小説作れるのではないか思い立った。そこで、編集者たちは誰がその探偵役引き受けるべきかを議論したところ、「誰もの口から、明智小五郎の名が出て異議なくそれにきまった」。 そこで『少年倶楽部』の編集者であった須藤憲三が、1935年昭和10年)夏ごろ東京會舘開かれた野間清治社長を囲む作家たちの親睦会で、乱歩少年ものの連載の話をもちかけた。この時乱歩は「いかにも思いがけないことを聞いたふう」であったが、「なにがしか興味動いた様子であったという。 当時少年探偵ものは非現実徹しきれないため盛り上がり欠けるのだと考えた乱歩は、「思い切った非現実」的なものを書く事にした。そこで乱歩は「少年ルパンものを狙って」、敵役としてアルセーヌ・ルパンばりの大怪盗登場させる事にした。 こうして1936年昭和11年1月から12月にかけて『少年倶楽部』誌に『怪人二十面相』が連載され事となった。従来なかった趣向物語大いに受け、子供からの手紙が乱歩のもとに驚くほど来たという。一年連載が終わると講談社から単行本となり、これも多いに売れた当時は『少年倶楽部』が発行部数では独り天下で、乱歩は『少年倶楽部』以外に書く気はなかったという。 明治末期から大正期に、三津木春影フリーマンコナン・ドイル短編翻案した呉田博士シリーズ』という少年冒険探偵小説連載して人気があった。乱歩大学初年時代連載中三津木が急逝し、その続編雑誌公募したことがあり、乱歩下書きまで書いていたが、締め切りに間に合わずお蔵入りしたという。乱歩は「いずれにしてもそういうことがあったとすれば、私には少年ものの下地がなかったわけでもないのである」と述べている。 乱歩によると西洋少年探偵小説日本のもののようなどぎついものではなく、もっとおっとりしている。これは初めから本にするために書き下ろした長編であるためで、「日本のように毎月毎月読者ハラハラドキドキさせなければ受けない連載ものとは違う」のだといい、これを「日本印税では引き合わないので、まず雑誌連載するのが常道になっているという違いからくるのだ」と説明している。乱歩は「二十面相シリーズ」について「筋はルパン焼き直しみたいなもので、大人ものを描くよりこのほうよっぽどであった」と述懐している。 戦争激しくなると、日本文壇軍部によって探偵小説執筆禁止された。二十面相シリーズ中断してしまい、日本敗戦によってようやく再開叶った松村喜雄によると乱歩日本敗戦の際、「探偵小説禁止した日本軍敗れ陣中ミステリー読んでいた米軍勝った」と興奮して語ったという。戦後シリーズ復活した青銅の魔人』では、乱歩は大張り切りでこれに取り組み当時生きるのにやっとという時代だけに、発売される子供だけでなく大人文字通りこれをむさぼり読んだという。 戦後光文社での連載では、「乱歩先生は暗い蔵の中髑髏乗せた蝋燭一本明りをもとにお話書いている」などと、乱歩自身二十面相のように紹介されていた。実際はこれは作り話である。『二十面相』の連載による収入は、乱歩経済的なゆとりを与え、金に執着しなかった乱歩経済的危機や、戦後報酬度外視した探偵小説隆盛のための活動支えた。またこのシリーズによって奇術的なトリック小説面白さ知った少年少女ファンたちは、やがて推理小説読者育っていき、読者層拡大する同時に論理的思考習慣子供たち植えつけのである

※この「乱歩と怪人二十面相」の解説は、「怪人二十面相」の解説の一部です。
「乱歩と怪人二十面相」を含む「怪人二十面相」の記事については、「怪人二十面相」の概要を参照ください。

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