主翼取付位置による分類
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/18 04:26 UTC 版)
単葉機において、主翼の胴体への取り付け方法には、大きく分けて、低翼(ボーイング747ジャンボジェット機、零式艦上戦闘機など)、中翼(Yak-55、MiG-15など)、高翼(P.1やその発展型P.11、セスナ機など)の3方式がある。胴体上方に離れて配置するパラソル翼(九七式大型飛行艇など)という形式もある。 低翼機(de) 主翼を胴体下面に取付けるもの。初期の単葉機に採用例が多い。これは主翼に降着装置を取り付けることが多かったところ、中翼や高翼では地面が遠くて脚が長くなりすぎるためである。また、脚の長さが同じなら地上高を高く取れるため、機首にエンジンを配置するプロペラ機においてはブレードを長大化できるというメリットもある。機体構造・機内搭載物の荷重の多くが掛かる床構造と主翼基部と降着装置を一体或いは近接して設けられるため、構造質量の局限化で低燃費化が期待でき、主翼基部の機内への張り出しが少なく広い客室・荷室が設けられるメリットと併せ、民間旅客機・貨物機では定番のレイアウトであり続けている。安定性という観点では他の方式に比べて不利になるが、安定性と運動性はトレードオフの関係にあるため、運動性を重視する戦闘機のような機種では、プロペラ機時代において特に採用例が多かった。ジェット機時代には後述の理由で通常尾翼形式の超音速戦闘機での採用例は減ったが、 無尾翼機やカナード付きデルタ翼の戦闘機では、現代も採用例が多い。 中翼機(de) 主翼を胴体の(上下方向で)中央部に取付けるもの。中翼形式が最も空気抵抗が小さいため、初期の超音速機に採用例が多い。これは超音速機では主翼が薄くなり脚を取り付けることが困難になり、これを考慮しなくなったからである。後述の理由により通常尾翼の超音速戦闘機では廃れつつあるが、近年のベストセラー戦闘機F-16や、カナード付きデルタ機のフランス製マルチロール機であるラファールや、無尾翼機のインド製戦闘機テジャスは中翼配置である。開発当時極限までの性能を追求したA-12 (偵察機)・SR-71は内主翼中央部に主脚基部が取り付くにもかかわらず中翼であり、XB-70は前部胴体ブロックから見れば低翼になり、後部エンジン兵装ブロックから見れば高翼になり、総合すると中翼になる。 高翼機 主翼を胴体の上面に取付けるもの。低翼機に比べて安定性に優れるため、それを重視する機体に採用例が多い。また、下方視界に優れるため、偵察機や地上観測機等でも採用例が見られる。特に1960年代以降の、通常の尾翼形式の超音速戦闘機に採用例が多い。これは、尾翼が主翼より高い位置にある場合、高速飛行時に迎え角を大きく取るとピッチアップなどの悪影響があることが、前述の中翼形式の戦闘機を運用した経験から判明したためである。そのため、高翼形式にして、主翼を水平尾翼よりも高位に配置するようになった。また、主翼下にサイズの大きな爆弾・ミサイルや増槽などを吊下するのに都合が良いことにもよる。主翼に取り付けたエンジン・プロペラの、地上との干渉や異物衝突吸い込みを避けたく、機体下部の降着装置の短軽頑丈化が望まれる軍用輸送機では、C-123 (航空機)やC-130 (航空機)以後高翼機が普通である パラソル翼機(en) 胴体上方に支柱を介して、高翼配置よりさらに高い位置に主翼を傘のように取り付けたもの。主翼をなるべく高い位置に取り付けたい飛行艇などで採用例がある。支柱支持ではないがパラモーターや、主としてハンググライダー系の超軽量動力機でも、パラソル翼機レイアウトになる事が多い。
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