主に食害を起こす動物
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/10/17 23:52 UTC 版)
シカ - ニホンジカが植林された木々の表皮を食害することで枯死に至らしめる。ただし、奈良県の奈良公園のシカは天然記念物に指定されているため駆除が難しい。えびの高原では天然記念物に指定されているノカイドウをシカによる食害から守るため、稚樹にヘキサチューブと呼ばれる六角形の半透明プラスチックカバーが掛けられている。 サル - ニホンザルによる農作物の食害が多い。特に山村では、過疎や高齢化により追い払う事もままならない。食い荒らす特定の位置などはないが、稀に住宅地に野生のサルが入り込み、各家庭で育てられている植物(柿など)を食い荒らすことがある。また観光地では、ルールを守らない観光客の餌付けによって、加工食品の味を覚えたサルが商店や車上で「犯行」に及ぶ例もある。一部のニホンザルは天然記念物に指定されているが、そうでない場合は麻酔銃などを撃って捕獲する場合もある。 イノシシ - 繁殖力が高く、古くから食害が知られ、日本各地に猪を防ぐための猪垣(いのがき)が現存している。知能、嗅覚、土を掘る能力に優れ、土に隠れた根菜類も被害に合う。現在ではリンゴ、パイナップル、サギソウなど農作物・観賞用花木を食い荒らした報告が各地でなされている。 イルカ、クジラ、アザラシ、トドなど - 日本では古くから海洋哺乳類による食害が問題視されており、駆除が行われてきた。特にトドの駆除にはかつては自衛隊までも投入されており、鯨が魚を食いつくすといった鯨食害論が水産庁によってマスコミなどで流布されている。ただし、トドは個体数の減少にも拘らず、被害が増加しており、これは元々の魚類の減少で魚網から横取りするようになった為であるという結果になっている。また、過去にイルカの食害で悩まされた壱岐も魚類の減少でイルカの出現が減少するという事態が起きている。また、ニホンカワウソやニホンアシカ絶滅の要因の一つは食害のための駆除であるとされる。イルカ追い込み漁#昭和以降、トド#駆除をめぐる議論も参照。 ラッコ - 過去における乱獲で減少していたが、2003年(平成15年)以降北海道沿岸に数頭が住み着くも、ウニを大量に捕食する食害が深刻であるものの、こちらは保護されており駆除もままならない。ただし、ウニが増えすぎるとコンブが減少してしまうので、ラッコが捕食した方が環境が良くなるとされる。キーストーン種#キーストーン捕食者も参照。 スズメ - 古くから稲に対する食害が知られる。反面、稲の害虫も捕食するため、過剰な駆除は逆に害虫による被害をふやすことになる。中国においては大規模な駆除が行われたものの、害虫の増加につながったことで駆除対象から外された経緯がある。スズメ#中国におけるスズメも参照。 カモ - 大麦やレンコンなどの食害が知られるほか、養殖海苔に対する食害が1960年代頃から深刻である。この被害の原因は長年明らかでなく、「バリカン症」と呼ばれ調査が行われていたが、2014年(平成26年)に監視カメラによる観察でカモによる食害と判明した。 イナゴ・バッタ - 大量の稲などを短時間で食い荒らす蝗害が知られる。米ネブラスカ州では数百キロに及ぶ大群が発生したが、現代では殺虫剤の普及により制御可能である。他の虫害では、ヨーロッパコフキコガネ(英語版)が知られ、殺虫剤が普及していなかった20世紀以前では動物裁判を行った記録がある。
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