主な補作とは? わかりやすく解説

主な補作

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/02/18 17:10 UTC 版)

レクイエム (モーツァルト)」の記事における「主な補作」の解説

バイヤー版 ミュンヘン音楽大学教授フランツ・バイヤーによる補作。最も有名なものは1971年の「バイヤー版」で、フランツ・バイヤー行った研究成果反映したものであり、全体的にジュースマイヤー仕事認め方向楽曲の構成には手を加えず、「饒舌」なオーケストレーション修正、特に伴奏カット主眼である。最もわかりやすい変更箇所は、「キリエ」の最後フェルマータ以降トランペットティンパニ追加、「奇しきラッパの響き」の "Mors stupebit et natura" 以降トロンボーンカット(これは歌詞の内容合わせたもの)、「恐るべき御稜威の王」の2拍目の金管楽器による相の手削除(これは前者と共に以下の版でも採用されている)、「涙の日」の "Dona eis" の部分で、テノールパートが上昇音型から下降音型に変更されている点、「オッフェルトリウム」の始めのほうに現れる弦楽器シンコペーション単純なリズム変更した点、そして「サンクトゥス」と「ベネディクトゥス」の最後部分オザンナ」のフーガ新し終結部追加した点である(アーノンクール演奏の際この部分カットした)。 尚、バイヤー2005年新たな補作出版しており、上記のものとは異な新版存在するモーンダー版 イギリスの音楽学者数学者リチャード・モーンダー(ドイツ語版)による補作。曲自体はあくまで未完だとして、ジュースマイヤー作曲した曲、およびオーケストレーション削除しモーツァルト他の楽曲(特に「魔笛」や「皇帝ティートの慈悲」)を参考補筆するという方針取っているが、「神の子羊よ」は、「レクイエム主題」の引用、「雀ミサ」K.196bとの類似など、モーツァルト自身関与した可能性が強いと指摘し修正施した上で残された。最大特徴は「涙の日」の「アーメン」の部分に「アーメン・フーガ」を導入したことである。モーツァルト絶筆("judicandus homo reus:")以降は「入祭唱」の "Te decet hymnus" の部分転調して繋ぎ、"Dona eis requiem" で半休止させてアーメン・フーガへと入る。アーメン・フーガは 「自動オルガンのための幻想曲」 K.608を参考補筆したといい、フーガ終結部ではモーツァルト絶筆部分モチーフ(D-E-F-F#-G-G#-A-C#.)を引用している。 ランドン版 アメリカの音楽学者H.C.ロビンス・ランドンによる版。アイブラーの補筆がある「呪われ退けられし者達が」まではそれを採用し、「涙の日以降ジュースマイヤーのものを用いてその上でランドン一部加筆している。ジュースマイヤーによって破棄され使われなかったアイブラーの補筆部分初め利用した版である。編者の「モーツァルト作品完成させる作業には、学識優れた20世紀学者たちよりも、同時代人であるアイブラー、フライシュテットラー、ジュースマイヤーの方が適していると信じる」という言葉相まってジュースマイヤー再評価きっかけとなった判別ポイントは「恐るべき御稜威の王」の6小節目で伴奏無くなる部分レヴィン版 アメリカピアニスト作曲家ロバート・レヴィンによる補作1991年レクイエム200年記念演奏会のために作成された。基本的には、ジュースマイヤー版の曲の骨格元にオーケストレーション書き換える方針取っている。最大特徴は「涙の日」の「アーメン・フーガ」であり、これはモーンダーとは異なる独自の補作である(ジュースマイヤー補筆極力残してフーガに入る。なお、当時慣例に基づき、このフーガ属調以外ほとんど転調しないのが特徴)。また、サンクトゥス」「ベネディクトゥス」は「オザンナフーガ」が大幅に拡大されるなど、改作に近い修正施されている。 ドルース版 イギリスの音楽学者作曲家弦楽器奏者ダンカン・ドルース(英語版)による版。「モーツァルトのつもりでというよりは、モーツァルトスタイル共鳴しモーツァルト技法精通した18世紀有能な作曲家になったつもりで」補作ようとしたという。「涙の日」のモーツァルト絶筆以降と「アーメン・フーガ」を独自に補作した。「サンクトゥス」「ベネディクトゥス」および「オザンナ・フーガ」はジュースマイヤー版の主題を基に新たに作曲しなおしている。「聖体拝領唱」の冒頭には「入祭唱」から取った器楽演奏部が挿入されている。「涙の日」の9-10小節目に、アイブラーが補筆した2小節使用しており、「涙の日」は「怒りの日」パラレルになるように作曲したという。 その他 主要なものとして、古いものではフロトホイス1941年)から、近年のものではTamás(2005年)、Cohrs(2013年)、Dutron(2017年)による版がある。また、日本人による補作としては鈴木優人による版(2013年)がある。

※この「主な補作」の解説は、「レクイエム (モーツァルト)」の解説の一部です。
「主な補作」を含む「レクイエム (モーツァルト)」の記事については、「レクイエム (モーツァルト)」の概要を参照ください。

ウィキペディア小見出し辞書の「主な補作」の項目はプログラムで機械的に意味や本文を生成しているため、不適切な項目が含まれていることもあります。ご了承くださいませ。 お問い合わせ



英和和英テキスト翻訳>> Weblio翻訳
英語⇒日本語日本語⇒英語
  

辞書ショートカット

すべての辞書の索引

「主な補作」の関連用語

主な補作のお隣キーワード
検索ランキング

   

英語⇒日本語
日本語⇒英語
   



主な補作のページの著作権
Weblio 辞書 情報提供元は 参加元一覧 にて確認できます。

   
ウィキペディアウィキペディア
Text is available under GNU Free Documentation License (GFDL).
Weblio辞書に掲載されている「ウィキペディア小見出し辞書」の記事は、Wikipediaのレクイエム (モーツァルト) (改訂履歴)の記事を複製、再配布したものにあたり、GNU Free Documentation Licenseというライセンスの下で提供されています。

©2024 GRAS Group, Inc.RSS