主な業績と作品
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/20 23:24 UTC 版)
「マウリッツ・エッシャー」の記事における「主な業績と作品」の解説
エッシャーの主な作品は二つの手がお互いの手を書いている 『描く手』、波うつ水面を境に魚と鳥のパターンが交錯する 『空と水I(英語版)』、新しい遠近法のあり方を示した『階段の家(英語版)』、実際には作ることができないループ状階段をのぼり続ける人と下に走り続ける人を描いた 『上昇と下降』などが有名である。 前期の作品はカストロバルバ風景画が中心である。 後期の作品は非常に数学、結晶学的な側面を持っている。大きく分類すると、 平面の正則分割 鏡面 新しい遠近法 不可能な図形 多面体 に分類される。このうち 1.平面の正則分割 は数学的な構図として最も早い時期から現れ、後年にも無限の追求などの形で何度も現れてくるものである。2.鏡面 は数学的な作品の中で比較的に早い時期に作られたもので、『鏡と静物』(1934年)、『三つの世界』(1955年)、『反射する球を持つ手(英語版)』(1935年)などが代表的である。これらは反射する鏡面や水面を通して異なる世界が一つの世界に表されている。 不可能な構造のなかにはペンローズの三角形やネッカーの立方体なども含まれている。作品の多くはタイリング(平面の正則分割、繰り返し模様)と呼ばれる平面を一定のパターンで覆うものである。 絵画の数学的な面は突然はじまったわけではなく、在学中にも平面の正則分割や球面鏡に関する作品を製作している事にも注目すべきだろう。また、エッシャー自身は自分の絵に何か寓意がこめられていると思われることを嫌っている。「自分は芸術は進歩するものではない、前の時代の画家が残してくれたものからスタートするものではない、作家が原点から出発して作品を作っていくのだと思っていた。」と語っている。作品が同時代のどの様な流れにも分類されないのは、そのような態度にも関係しているのかもしれない。 日本では長崎県佐世保市のテーマパークハウステンボスが、約180点にも及ぶ世界有数のコレクションを所有しているほか、彼の作品をモチーフにした3Dアトラクション「ミステリアスエッシャー」がある。同テーマパーク内には「エッシャー通り」という通路も存在する。三重県立美術館にも3点の作品が所蔵されている。 また、「日本のエッシャー」の異名を持つグラフィックデザイナー福田繁雄は、『滝』などの不可能図形作品の立体化を行っている。数理工学者の杉原厚吉もエッシャー作品の立体化を行っている。 2002年、ベアトリックス女王の祖母で元オランダ王妃エンマ女王の宮殿であったライヘ・フォールハウト宮殿の中にエッシャー美術館が開館した。ここでは、エッシャーの著名な木版画などのアート作品の他に、彼のプライベート写真やビデオ作品の上映などが行われている。 2018年、その生涯と作品を追ったドキュメンタリー映画がロビン・ルッツ監督によりオランダで制作され、日本では『エッシャー 視覚の魔術師』の邦題で、2019年12月にアップリンク渋谷、アップリンク吉祥寺にて公開された。映画はエッシャー自身の日記や書簡、二人の息子へのインタビューを使い、時系列でエッシャーの人生を紐解く構成となっており、ハールレム・スクール・オブ・アーキテクチャー・アンド・デコラティブアーツ(Haarlem School of Architecture and Decorative Arts)での転機などが描かれている。
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