主な初演歴
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山下和仁はリサイタルでの世界初演を行う前、まずは父でありギターの師である山下亨が運営する長崎ギター音楽院の定例サロンコンサートで演奏し、観客の反応を試してから世に問うという経緯を必ずとってきた。よって厳密に言えば、どの曲も世界初演会場は長崎ギター音楽院となる。ここでは、世界初演曲は、リサイタルにおけるそれらを列記する。 1978年3月19日、東京・ヤマハホールにてデビューリサイタル。 曲目はJ・ S・バッハ「無伴奏チェロ組曲第3番」(BWV1009) 全曲、アレクサンデル・タンスマン「ポーランド風組曲」、ブリテン「ノクターナル」Op. 70, ソル「グランソロ」Op. 14, カステルヌオーヴォ=テデスコ「ソナタニ長調 ポッケリーニ賛歌」、フェデリコ・モレーノ・トローバ「ファンダンギリョ」(アンコール1)、イサーク・アルベニス「セビーリァ」(アンコール2)、エンリケ・グラナドス「ゴヤの美女」(アンコール3)、マヌエル・デ・ファリャ「三角帽子」より「ファルーカ」(アンコール4)。 「ゴヤの美女」および「三角帽子」よりファルーカは、レコード・CD未収録。 1978年11月30日、大阪・毎日国際サロンにて、J・S・バッハ「無伴奏ヴァイオリンパルティータ第2番」(BWV1004) 全曲(山下和仁編)を世界初演。 「無伴奏ヴァイオリンパルティータ第2番」はシャコンヌのみがセゴビアの初演などで知られていたが、全曲演奏は世界初。 1980年10月14日、千葉県文化会館にて、ムソルグスキー「展覧会の絵」全曲をクラシック・ギターで独奏。 「展覧会の絵」 はそれまで第4曲「古城」のみセゴビア編が存在したが、全曲をギターで独奏するという試みはそれまでになかった。 曲目は、ソル「魔笛の主題による変奏曲」Op. 9, トマゾ・アルビノーニ「アダージョ」(山下和仁編)、レノックス・バークリー「ソナチネ」Op.51, J・S・バッハ「組曲3番」(BWV995)、フランシスコ・タレガ「アルハンブラの思い出」、ムソルグスキー「展覧会の絵」全曲。 「アダージョ」はレコード・CD未収録。 1981年10月21日、長崎市民会館にてベートーヴェン「ヴァイオリン協奏曲ニ長調」Op. 61全楽章を世界初演(オーケストラ伴奏は、山下亨指揮による長崎ギター合奏団)。 さらにこのリサイタルでは、ドヴォルザーク「交響曲第9番ホ短調 新世界より」第2楽章のギター独奏も世界初演された。 曲目は、前半が山下の独奏で、渡辺香津美「アストラル・フレークス」、フェデリコ・モンポウ「コンポステラ組曲」、ニコロ・パガニーニ「カプリス24番」。後半が長崎ギター合奏団との共演で、ベートーヴェン「ヴァイオリン協奏曲ニ長調」Op. 61全楽章。アンコールは、ファリャ「三角帽子」よりファルーカ(アンコール1)、合奏との共演でヴィヴァルディ「ギター協奏曲ニ長調」(アンコール2)。 なお、全く同じプログラム内容で、1982年2月10日に東京中央会館にて催された。オーケストラ伴奏も同じく山下亨指揮による長崎ギター合奏団。 1983年3月15日、長崎市公会堂にてリスト「ハンガリー狂詩曲第2番」世界初演。 長崎県出身の優れた芸術家の業績顕彰に催されたもので、声楽家(バリトン)の勝部太、ヴァイオリンの福田恭子、ピアノの峰涼子と共演。3月15日・16日と、同一プログラム内容で2夜連続で行われた。 プログラムの最初は山下のギター独奏ではじまり、ヒメネス「『アロンソの結婚』より間奏曲」、タレガ「アルハンブラの思い出」、ドヴォルザーク「交響曲第9番ホ短調 新世界より」第2楽章、最後に世界初演曲のリスト「ハンガリー狂詩曲第2番」で締めくくられた。 1984年9月26日、世宗文化会館(韓国ソウル)でのリサイタルのアンコール曲で、パブロ・デ・サラサーテ「ツィゴイネルワイゼン」を初演。 この曲はレコード・CD未収録。 なお「ツィゴイネルワイゼン」の日本人ギター独奏は、クラシック・ギター専門誌「現代ギター」1971年9月号によると、山下に先がけて1971年7月8日中林淳真(安田生命ホールリサイタル)の記録が残されている。 1984年6月29日、カナダ・トロント国際ギターフェスティバルにて、ファイナルゲストとして客演。 ソル「魔笛の主題による変奏曲」Op. 9, J・S・バッハ「無伴奏ヴァイオリンパルティータ第2番」(BWV1004) よりシャコンヌ、武満徹「フォリオス」、ブリテン「ノクターナル」Op.70, ムソルグスキー「展覧会の絵」全曲、シベリウス「蜘蛛の歌」(アンコール1)、ヘロニモ・ヒメネス「『アロンソの結婚』より間奏曲」(アンコール2)、ファリャ「三角帽子」よりファルーカ(アンコール3)、グラナドス「ゴヤの絵」(アンコール4)。 聴衆は約800人。うちギタリストは約450人で、ギター界の重要人物(レオ・ブローウェル、バルエコ、デイヴィッド・ラッセル、アリス・アーツ、マターニヤ・オーファ、ジョージ・ウォーレン、オデット、ホルムクィスト、メルカダル、サケラリュー、カスナー、フォレスト、ダナーなど)も会場で見守る中で行われた。 1984年8月31日、東京・簡易保険ホールにてストラヴィンスキー「火の鳥」世界初演。 ステージ後半の、ジャズギタリストラリー・コリエルとの二重奏によるヴィヴァルディ「四季」全曲も世界初演。 1985年6月27日、東京・新宿文化センターにて、山下尚子との二重奏でニコライ・リムスキー=コルサコフ「シェヘラザード」全曲を世界初演。 1985年8月27日、埼玉県春日部市・春日部市民文化会館にて、山下尚子との二重奏でJ・S・バッハ「フランス組曲」第6番 (BWV817) を初演。 「フランス組曲」はレコード・CD未収録。 1986年2月20日、長崎市民会館にて、ドヴォルザーク「交響曲第9番ホ短調 新世界より」全曲を世界初演。 曲目は、トゥリーナ「セビリアーナ」、J・S・バッハ「無伴奏ヴァイオリンパルティータ第2番」(BWV1004) よりシャコンヌ、タレガ「アルハンブラの思い出」、ブリテン「ノクターナル」Op.70、ドヴォルザーク「交響曲第9番ホ短調 新世界より」全曲。 「セビリアーナ」はレコード・CD未収録。 1986年12月6日、東京・サントリーホール開館記念オープニングシリーズに客演。 十束尚宏指揮・NHK交響楽団により、バークリー「ギター協奏曲」、カステルヌオーヴォ=テデスコ「ギター5重奏曲」、ベートーヴェン「ヴァイオリン協奏曲ニ長調」Op. 61、グラナドス「ゴヤの美女」(アンコール)を演奏。 1988年8月8日・9日、長崎現代画廊にて、J・S・バッハの「無伴奏ヴァイオリンのためのソナタとパルティータ」全曲演奏を世界初演。 長崎現代画廊は長崎ギター音楽院と兼ねているが、定例サロンコンサートでなくリサイタル形式で催された。2日にまたがるプログラムであり、初日の曲目では、「無伴奏ヴァイオリンソナタ第1番」(BWV1001) の前にJ・S・バッハによるリュートむけのオリジナル曲「プレリュード・フーガ・アレグロ」(BWV998) および「リュート組曲1番」(BWV996) 全曲がおかれた。同じプログラムが、1989年12月16日・17日に東京・カザルスホールでも行われた。 1989年7月8日、カザルスホールにて、カステルヌオーヴォ=テデスコ「ゴヤによる24のカプリチョス」全曲を世界初演。 なお、同年8月に録音され、1991年4月に発売されたCD「ゴヤの24のカプリチョス」(CROWN: CRCC-6) は、1991年度の洋楽部門で唯一の文化庁芸術作品賞を受賞した。 1989年9月16日、カザルスホールにて、50分にもおよぶハンス・ヴェルナー・ヘンツェの大曲「カンマームジーク1958」全曲を世界初演。 この曲はレコード・CD未収録。 1994年5月18日、カステルヌオーヴォ=テデスコ「プラテーロとわたし」全曲世界初演。 2006年2月16日、東京・トッパンホールにて、フランツ・シューベルト「6つの楽興の時」Op. 94全曲(ガネシュ・デル・ヴェスコヴォ編)を世界初演。 この曲はレコード・CD未収録。
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