中国における日本人死刑囚
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/09/13 08:06 UTC 版)
「2010年中国における日本人死刑執行問題」の記事における「中国における日本人死刑囚」の解説
2010年3月時点で、中国で執行猶予のない死刑 が確定した日本人は4人いた。4人のうち3人は、それぞれ2003年から2006年の間に覚醒剤を日本に密輸しようとした疑いで逮捕・起訴され、いずれも2007年に死刑が確定した。 残りの1人も、同じく覚醒剤約2.5キログラムを日本に密輸しようとした疑いで2006年に逮捕・起訴され、2009年に死刑が確定した。罪名は4人とも麻薬密輸罪(日本の営利目的麻薬輸出罪または営利目的覚醒剤輸出罪に相当)であった。 2010年3月29日、中国当局は2009年に死刑が確定し、遼寧省大連の拘置施設に収監されていた日本人死刑囚の死刑執行を日本政府に通告、さらに同年4月1日には残りの3人についても死刑執行を通告した。 その後、4月6日に日本人1人の死刑が執行され、更に4月9日に残る3人も死刑が執行された。 今回、死刑が執行された4人を以下に掲げる(出身地及び2010年4月時点の年齢。仮名はABC順。)。 A(大阪府出身 65歳) 大連の拘置施設に収監。2009年4月に麻薬密輸罪で死刑が確定。別の日本人男性(懲役15年が確定)と共謀し、2006年9月20日に大連周水子国際空港から大阪・関西国際空港に向けて帰国しようとしたところ、税関で覚醒剤2.5キログラムを茶筒に隠し持っているところを発見された。 中国当局によれば、Aは遼寧省丹東や吉林省延辺朝鮮族自治州延吉など北朝鮮との中朝国境の町を訪問しており、当局にマークされていた。また、Aから押収した覚醒剤は粗悪品の中国製ではなく、国営企業製造による純度の高い北朝鮮製であったという。 報道によれば、Aは不動産業などを営んで1990年代頃には大変羽振りが良かったが、事件直前には事業の失敗などで多額の負債を負っており、暴力団関係者から何らかの依頼を受けたとみられている。 2010年3月29日に、中国当局から最初に1週間後の死刑執行が日本国政府に通告されたが、4月5日には家族への面会を許可され、死刑執行は延期された。その後、4月6日に死刑が執行された。 中国側は日本国政府に、銃殺刑ではなく薬殺刑で執行すると伝えており、これは遼寧省では2009年12月に死刑執行方法として銃殺刑が廃止されたためであるという。 B(名古屋市出身 67歳) 大連の拘置施設に収監。2007年1月に麻薬密輸罪で死刑が確定。中国当局によれば、Bは日本側密売組織の主犯格とされており、2003年6月に大連で仕入れた約5キログラムの覚醒剤を、日本人5人の「運び屋」に指示し日本に密輸しようとしたという。 Bは名古屋市で発生した刀剣収集家強盗殺害事件で、実行犯に盗みを教唆したとして1999年に懲役3年の実刑判決を受けた。出所後の2002年から2003年にかけて愛知県や福岡県で発生した日中混成強盗団事件の主犯格として愛知県警察などから指名手配されていたが、2002年頃に中国に出国していた。なお、後述のCとDはBの一味であるとされていることから、3人同時期の死刑執行になったといえる。 またDはBの知人で、1995年に発生した未解決の八王子スーパー強盗殺人事件に関し「知り合いの中国人3人が事件に関与した」と、中国公安当局に証言したと報じられる。そのため2009年9月に警視庁が事情聴取するため捜査員を派遣したが、事件の真相解明には至っていないとされる。八王子の事件について、何らかの事情を知っているともされていた。 C(福島県出身 67歳) 瀋陽の拘置施設に収監。2004年2月に麻薬密輸罪で一審で死刑が言渡され、2007年10月に死刑が確定。中国当局によれば、Cは2003年7月29日に瀋陽桃仙国際空港に日本行きの航空機に搭乗しようとした際に、覚醒剤1.25キログラムを腰ベルトに隠しているところを発見され拘束された。この際、一緒にいた別の氏名不詳の日本人男性がいたが、こちらは逃走した。日本にいた当時は、ホームレスで運び屋として中国に入国したとされている。「副食品代金1,000人民元(当時の為替レートで約15,000円)を毎月支払わないといけないが、食事はうまいし段ボール生活よりはるかにマシ」というコメントを2007年に寄せている。 D(岐阜県出身 48歳) 大連の拘置施設に収監。2006年12月に、麻薬密輸罪で死刑が確定。中国当局によれば、Dは2003年7月にBから受け取った覚醒剤約1.5キログラムを持って、大連の空港に到着したところを拘束された。八王子の事件について、何らかの事情を知っているともされていた。
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