ラクトフェリンとは? わかりやすく解説

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ラクトフェリン

英語:lactoferrin

タンパク質一種で、抗菌抗酸化作用などを持つとされる物質乳汁、あるいは牛乳などに含まれる

ラクトフェリンは白血球活性化による免疫力向上をはじめさまざまな効果があるとされ、廉価副作用少ないため気軽に摂取できるという利点がある。

財団法人放射線影響協会所属する西村義一研究員代表幹事として2011年発足した機能性物質による被ばく低減研究会」では、このラクトフェリンは放射線被曝健康被害低減する目的にも有効である可能性がある、としている。

関連サイト
機能性物質による被ばく低減化研究会

ラクトフェリン【lactoferrin】


ラクトフェリン


生まれてから最初に口にする母乳初乳)には、免疫力高めるためのさまざまな成分含まれています。その成分のひとつがラクトフェリンです。
1939年スウェーデン学者により「赤色タンパク質」として学術的に示され1961年フランス学者により「ラクトフェリン」と命名されたといわれています。
このラクトフェリンの免疫調整機能C型肝炎B型肝炎ウィルスはじめとする感染防御白血球活性によるガン予防アレルギーなどにも役立つ免疫活性腸内環境の改善抗菌作用結合作用活性酸素除去などさまざまな機能着目されています。
今後も、ラクトフェリンの研究、そしてそれを活用した商品開発期待されています。

ラクトトランスフェリン

同義/類義語:ラクトシデロフィリン, ラクトフェリン,
英訳・(英)同義/類義語:lactotransferrin, lactoferrin

乳汁などの外分泌液に含まれる結合タンパク質

ラクトフェリン


ラクトフェリン

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/11/02 13:46 UTC 版)

ラクトフェリン(別名:ラクトトランスフェリン)は、母乳唾液などの外分泌液中に含まれる鉄結合性の糖タンパク質である。1939年に牛乳中に含まれる「赤色タンパク質 (レッド・プロテイン)」として初めて報告された。その後、1960年にヒトとウシの乳より精製され、アミノ酸配列が決定された。ウシの場合689アミノ酸、ヒトの場合692アミノ酸から成っており、Nローブ・Cローブと呼ばれる球状のドメインが一本のポリペプチドで連結された構造を持つ[1]。各ローブは1個の鉄イオンと強力に結合する。ラクトフェリンの粉末が赤色を帯びているのは、結合している鉄のためである。この2つのローブから成るラクトフェリンの立体構造は、血漿中の鉄輸送タンパク質であるトランスフェリンや、卵白の鉄結合タンパク質であるオボトランスフェリン(コンアルブミン)と共通であるが、ラクトフェリンの鉄イオンに対する親和性はこれらのタンパク質より100倍以上高い。つまり、ラクトフェリンは、生体内で鉄輸送タンパク質というよりも、鉄を捕捉し周囲の環境から取り除くことで、その機能を発揮する場合が多い。


  1. ^ a b c d e f g h i j k l m 島崎敬一「ミルクのラクトフェリン」『乳業技術』第51巻、日本乳業技術協会、2001年、 1-21頁、 ISSN 13417878NAID 40005107444
  2. ^ a b c d e f 金完燮、島崎敬一 著「ラクトフェリンと微生物の攻防 その多様性」、第2回ラクトフェリンフォーラム実行委員会編 編 『ラクトフェリン2007 :ラクトフェリン研究の新たな展望と応用へのメッセージ』日本医学館、東京、2007年、9-17頁。ISBN 978-4-89044-632-2 
  3. ^ 田中克明「C型肝炎への臨床応用 (特集:ラクトフェリンの機能と有用性(2))」『食品・食品添加物研究誌』第211巻第9号、FFIジャーナル編集委員会、2006年、 748-753頁、 ISSN 09199772NAID 40007481086
  4. ^ 田中正和、鄭真美・長谷川翔・和田直樹・橋本岩男・津田洋幸・藤沢順一・三輪正直 著「ウシラクトフェリンによるHTLV-1抗腫瘍効果」、日本ラクトフェリン学会第4回学術集会実行委員会編 編 『ラクトフェリン2011:ラクトフェリン研究の新たな発展を期して』日本医学館、東京、2011年、14-20頁。ISBN 978-4-89044-741-1 
  5. ^ 新光一郎・若林裕之「ラクトフェリンのノロウイルスなどへの感染防御作用」『Food Style 21』第17巻、日本食品化学新聞社、2013年、 70-71頁。
  6. ^ 江頭昌典、森内昌子・森内浩幸 著「ラクトフェリンによるロタウイルス下痢症の予防・軽症化効果」、日本ラクトフェリン学会第2回学術集会実行委員会編 編 『ラクトフェリン2007 :ラクトフェリン研究の新たな展望と応用へのメッセージ』日本医学館、東京、2007年、162-165頁。ISBN 978-4-89044-632-2 
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  9. ^ 原田悦守、竹内崇 著、第2回ラクトフェリンフォーラム実行委員会編 編 『ラクトフェリン2007 :ラクトフェリン研究の新たな展望と応用へのメッセージ』日本医学館、東京、2007年、37-42頁。ISBN 978-4-89044-632-2 
  10. ^ 小野知二、村越倫明「ラクトフェリンによる脂質代謝の制御」『化学と生物』第49巻第1号、日本農芸化学会、2011年、 15-21頁、 ISSN 0453073XNAID 10027729140
  11. ^ 吉田智、水野晃治・清水裕一・鈴木靖志・輪千浩史 著「座骨神経切除モデルマウスにおけるラクトフェリンの褥瘡発症予防効果」、日本ラクトフェリン学会第4回学術集会実行委員会編 編 『ラクトフェリン2011:ラクトフェリン研究の新たな発展を期して』日本医学館、東京、2011年、138-141頁。ISBN 978-4-89044-741-1 
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  13. ^ 西村義一、本間‐武田志乃・乳井美奈子・伊古田暢夫・金熙善 著「マウスに対するラクトフェリンの放射能防御効果」、第2回ラクトフェリンフォーラム実行委員会編 編 『ラクトフェリン2007 :ラクトフェリン研究の新たな展望と応用へのメッセージ』日本医学館、東京、2007年、56-59頁。ISBN 978-4-89044-632-2 
  14. ^ a b 津田洋幸、大嶋浩・深町勝巳・飯郷正明・高須賀信夫・松田栄治・関根一則・大久保重俊・神津隆弘・島村真里子「がん予防-多機能生理活性物質ラクトフェリンからのメッセージ」『ミルクサイエンス』第53巻第4号、日本酪農科学会、2004年、 225-229頁、 ISSN 13430289NAID 40006712338
  15. ^ 松田洋子、細川京子・山川けいこ・横平正直・笹尾光祐・久野壽也・今井田克巳 著「A/JマウスのNNK誘発肺腫瘍に対する腸溶性ラクトフェリンの効果」、第2回ラクトフェリンフォーラム実行委員会編 編 『ラクトフェリン2007 :ラクトフェリン研究の新たな展望と応用へのメッセージ』日本医学館、東京、2007年、89-93頁。ISBN 978-4-89044-632-2 
  16. ^ 高山喜晴「ウシラクトフェリンによる骨芽細胞の分化促進と骨組織再生への応用」『畜産技術』第639巻、公益社団法人畜産技術協会、2008年、 2-6頁。
  17. ^ 野村義宏、清水健二・久原徹哉 著「骨粗鬆症モデルラットへのラクトフェリン投与による骨密度改善効果」、第2回ラクトフェリンフォーラム実行委員会編 編 『ラクトフェリン2007 :ラクトフェリン研究の新たな展望と応用へのメッセージ』日本医学館、東京、2007年、195-199頁。ISBN 978-4-89044-632-2 
  18. ^ 近藤一郎、小林哲夫・若林裕之・山内恒治・岩附慧二・吉江弘正「歯周炎患者におけるウシラクトフェリン経口投与の影響」『日本歯科保存学雑誌』第51巻第3号、特定非営利活動法人日本歯科保存学会、2008年、 281-291頁、 ISSN 03872343NAID 110007151243
  19. ^ 川添亜希、宮内睦美・山野栄三・石角篤・田中栄二・牧野武利・犬伏俊博,Emanuel Braga Rego・丹根一夫・高田隆 著「大豆レシチンによるリポソーム化ラクトフェリン経口投与がリポポリサッカライド誘導歯周組織破壊に及ぼす抑制効果」、第3回ラクトフェリンフォーラム実行委員会編 編 『ラクトフェリン2009 :ラクトフェリン研究の新たな展開と臨床へのメッセージ』日本医学館、東京、2009年、79-83頁。ISBN 978-4-89044-685-8 
  20. ^ a b c 高山喜晴「ラクトフェリン受容体のはなし」『Lactoferrin News (日本ラクトフェリン学会ニュースレター)』第4巻、日本ラクトフェリン学会、2012年1月、 2-7頁。
  21. ^ 鈴木靖志、Bo Lönnerdal「小腸ラクトフェリン受容体を介したラクトフェリンの細胞内取り込み」『食品・食品添加物研究誌』第211巻第5号、FFIジャーナル編集委員会、2006年、 406-413頁、 ISSN 09199772NAID 40007315245
  22. ^ a b 山内恒治「乳中の生体防御物質「ラクトフェリン」の応用 (特集:ラクトフェリンの機能と有用性(2))」『食品・食品添加物研究誌』第211巻第9号、FFIジャーナル編集委員会、2006年、 771-776頁、 ISSN 09199772NAID 40007481089


「ラクトフェリン」の続きの解説一覧

ラクトフェリン

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/02/19 21:16 UTC 版)

COVID-19に対する薬剤転用研究」の記事における「ラクトフェリン」の解説

ラクトフェリンにも効能がある可能性複数報告されている。

※この「ラクトフェリン」の解説は、「COVID-19に対する薬剤転用研究」の解説の一部です。
「ラクトフェリン」を含む「COVID-19に対する薬剤転用研究」の記事については、「COVID-19に対する薬剤転用研究」の概要を参照ください。

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