ラクトフェリン受容体
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2019/06/30 00:47 UTC 版)
「ラクトフェリン」の記事における「ラクトフェリン受容体」の解説
小腸上皮細胞の刷子縁膜において、レクチンの一種であるインテレクチン1(別名HL-1)がラクトフェリン受容体として機能していることが明らかになっている。ラクトフェリンは刷子縁側からインテレクチンを介して上皮細胞に取り込まれ、細胞応答を引き起こす。以前はラクトフェリンが小腸における鉄イオンの取り込みを担っていると考えられていたが、この仮説は現在では否定され、DMT-1(Divalent metal transportor 1) がこの役割を担っているとされている。リポタンパク質の細胞内への取り込みを担っているLDL受容体関連タンパク質-1(LRP-1/CD91/α2マクログロブリン受容体)のリガンドの一つがラクトフェリンであることが明らかになっている。骨芽細胞や線維芽細胞において、ラクトフェリンによりLRP-1依存的に細胞内情報伝達経路が活性化される。また、CHO細胞においてヌクレオリンが、マクロファージにおいてグリセルアルデヒド3リン酸脱水素酵素(GAPDH)が細胞表面におけるラクトフェリン結合タンパク質として報告されている。興味深いことに、GAPDHを除いてトラスフェリンはこれらの受容体とは相互作用しない。ナイセリア科の細菌およびモラクセラ科の細菌の一部は、ラクトフェリンが抗菌活性を発揮しない。これらの細菌では、ラクトフェリン受容体が細胞表面に発現しており、生育に必要な鉄を取り込むためにむしろラクトフェリンを利用しているが、これは真核細胞のラクトフェリン受容体とは全く構造の異なるタンパク質である。
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