ユダヤ人以外の被害者
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/06 14:32 UTC 版)
「第二次世界大戦の犠牲者」の記事における「ユダヤ人以外の被害者」の解説
ナチスによる大量虐殺には非ユダヤ人の犠牲者が含まれるので、これを考慮すべきとする見解もある。非ユダヤ人の犠牲者数は100万単位で異なるが、それはDonald Niewykによればユダヤ人のホロコーストに付随して起こったロマや身体障害者の虐殺、またナチスによる人種憎悪にソ連人や政治犯、同性愛者を含めてホロコーストとして定義するのかによって被害者数は1100〜1700万となると指摘している。南フロリダ大学教育カレッジは、ナチスのジェノサイド政策によって1100万の人間が殺害されたとしている。R・J・ラムルはナチスの民衆殺戮の犠牲者は2090万人とした。ティモシー・スナイダーはナチスの大量虐殺計画によって計画的な飢饉や収容所での殺戮も実行され、結果として1040万人が殺害され、そのうちユダヤ人は540万人の犠牲であるとした。ヘルムート・アウエルバッハはナチス時代に600万のユダヤ人と、700万の他の被害者がいると指摘している。ディーター・ポールはナチス時代に1200-1400万が被害者となり、ユダヤ人は560-570万の被害とした ロマ の最大推定被害者数は13万〜50万である。イアン・ハンコックは50万から150万が被害となったとしている。ハンコックはユダヤ人の犠牲と同様にロマの犠牲は「ほぼ確実に限界を超えた犠牲」とし、2010年にはロマの犠牲はこれまでに過小に評価されてきたと述べている。 身体障害者、精神障害者はT4作戦によって20万から25万が犠牲となった。ドイツ連邦公文書館の2003年の報告ではT4作戦および、強制収容された者に対する14f13作戦の犠牲は20万人としている 捕虜のナチスによる犠牲は、R. J. ラメルによれば310万で、ソ連兵捕虜は260万から300万が犠牲となった ポーランド人ポーランド民間人は180-190万人が犠牲となった ロシア人, ウクライナ人, ベラルーシ人についてはナチスはスラヴ人を下等人種(ウンターメンシュ)とみなし、ソ連の多数の民間人が殺害されたり、餓死、強制労働の被害者となった。Cambridge History of Russiaによればナチス占領のソ連地域では137万(そのうちユダヤ人は200万)、ソ連地域では260万が犠牲となり、戦時中にはソ連のグラグ収容所や強制移住で少なくとも100万が犠牲となり、著者のモーリン・ペリーは「スターリンとヒトラーは双方ともこの被害に責任がある」と指摘している。Bohdan Wytwyckyはウクライナの民間人300万、ベラルーシ人140万が人種的な理由で犠牲となったとしている。P.R.Magocsiもウクライナ人300万と非ユダヤ人がナチスの犠牲となったとしている。ディーター・ポールは、ソ連においてナチスはパルチザン弾圧で50万を殺害、飢餓計画(英語版)で100万、ソ連兵捕虜300万、ユダヤ人100万が犠牲になったとしている。ゲオルギー・クマネフ(Georgiy A. Kumanev)は、ナチス占領のソ連では総計820万が犠牲となった(内訳はウクライナ人400万、ベラルーシ人250万、ロシア人170万)とした。 1995年のロシア科学アカデミー報告ではナチスの占領によって1370万の民間人(ナチスのジェノサイドによって740万、強制労働で220万、飢饉と病気で410万)が犠牲になったとした。また赤軍パルチザンによる報復でも多数の民間人の犠牲が出た 同性愛者の収容所での被害は10万–15万といわれる その他の犠牲: ローマ・カトリックの聖職者1,000 - 2,000人。エホバの証人1,000人。またフリーメイソン会員も被害にあっている。アフリカ系ドイツ人(Rhineland Bastard)も隔離政策や去勢、人体実験、殺害の犠牲となった。その他、共産主義者、社会主義者も犠牲になった セルビア人: クロアチアのウスタシャ(チェトニックも参照のこと)による被害は50万以上が殺害、25万が追放、20万がローマ・カトリックへの改宗を強制された。 アメリカ合衆国ホロコースト記念博物館はウスタシャによって320,000 - 340,000のセルビア人が被害になり、 ヤセノヴァツ強制収容所では 45,000 - 52,000 が犠牲になったとしている。
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