メタン・ハイドレートとは? わかりやすく解説

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メタン・ハイドレート

読み方めたん はいどれーと
【英】: methane hydrate

1. 資源
一定数の水分子水素結合により形成する籠(ケージ)状の格子のなかにメタン分子取り込んだ包摂物。
理想的に水分子 46 個にメタン分子 8 個が取り込まれる自然界で、メタンとのこのような形での結合が起こるのは、地中での有機物分解メタン発生しているという条件のほかに、低温高圧環境が必要である。永久凍土帯および水深 500 ~ 1,000m の海底下で、いずれも地下数十数百メートル比較的浅いところでその存在知られている。海底下のメタン・ハイドレート層の存在は、地震探査による BSR海底擬似反射面)の存在から推定される日本周辺海域では熊野灘土佐湾沖合北海道襟裳岬沖合オホーツク海知床半島沖合等で BSR存在確認されており、南海トラフ付近経済産業省2000 年2003 年行ったボーリングによっても実際のメタン・ハイドレート試料採取成功している。メタン・ハイドレートを天然ガス資源として利用するためには、安価に大量に安全に採掘するための技術開発が必要である。
水分子メタン分子46:8 の場合、1 m3 のメタン・ハイドレートが溶けるメタンガス 172 m3 0.82 m3 とになる。すなわち、メタンハイドレートとなった場合には 172 分の 1 に容積圧縮される。この性質利用してメタンハイドレート化して輸送しようという研究なされている。(→英国熱量単位

主文献『天然ガス新世紀』(2003)、『燃える氷 メタンハイドレート』(2004
齊藤 隆2006 年 3 月

2. 利用
メタン水分子による包接物。
メタンハイドレートは、水の結晶のなかにメタン分子入り込みクラスレート化合物三次元分子結晶隙間に他の分子一定比で閉じ込められたもの)を生成したのである
スタッケルバーグ(Stackelberg)らの X 線回折測定により、図のように水分子構成する籠型構造のなかにメタン分子取り込まれ結晶単位胞構造をとることがわかっている。ハイドレートはその単位胞大きさによりいくつか分類されるが、メタンハイドレートは、I型構造呼ばれる単位胞大きさ12 オングストローム構造をとり、8 個のメタン分子46 個の水分子閉じ込めている。つまり、分子式は、CH4・5.75 H2O となるため、理論的には 13水分子2163メタンガス閉じ込めることができる。
このメタンハイドレートは、高圧低温で氷状の固体物質として、海中地中天然存在する。その由来は、天然ガス同様の生物起源ガスか、もしくは熱分解ガス考えられており、一定の条件下で世界中にその存在認められている。
日本周辺では、四国沖オホーツク沖、南海トラフ等に、天然ガスわが国年間消費量の約 100 年分が存在していると推定されている。現在は次世代化石エネルギーとして脚光を浴びているが、1930 年代には、天然ガス輸送配管等において閉塞起こす原因が、水の存在により生成するガスハイドレートよるもの判明しメタノール注入などでそれを防止していた。
1960 年代になって永久凍土中に天然ガスハイドレート堆積層発見された。
1970 年代には海洋において石油・天然ガス採掘のために音波探査頻繁に用いられるようになったが、この音波探査において、海底面のさらに下に海底面あるよう反射波観測された。これを海底擬似反射面 BSR と呼ぶが、この海底擬似反射面の上部にメタンハイドレート層、下部ガス層があるケース判明しこの後世界各地でメタンハイドレート層の探査活動はより活発化した。
現在では上述のように世界各国次世代エネルギーとして研究開発対象となっており、1991 年にはチリ沖で初め意図的に海底擬似反射面掘削され1996 年にはアメリカオレゴン州の 100km 沖の水深 785m で初めてそのサンプル採取された。また、石油公団は、2002 年にはカナダ北西マリック(Mallik)井で減圧法、熱刺激法温水循環法)により、初め連続的にハイドレードメタンを採取した日本国内では、メタンハイドレート層の存在有無地層形状推定目的としたコアサンプルの採取のため、2004 年熊野灘初め基礎試錘を実施した現在の技術では、低コストでの大量採取は非常に困難であるが、各国・各企業がその生産採取に向け、鋭意取り組んでいる。

江波戸 邦彦2006 年 3 月

図 メタンハイドレートの構造
図 メタンハイドレートの構造




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