マウスピースとリード
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/18 07:35 UTC 版)
「サクソフォーン」の記事における「マウスピースとリード」の解説
詳細は「マウスピース (楽器)」、「リード (楽器)」、「リードカッター」、および「リガチャー (楽器)」を参照 サクソフォーンはクラリネットのものと似たシングルリードマウスピースを使用する。それぞれのサイズのサクソフォーンは異なるサイズのリードとマウスピースを使用する。 ほとんどのサクソフォーン奏者はダンチクから作られたリードを使用するが、20世紀半ばからは繊維強化プラスチックやその他の複合材から作られたリードも作られている。サクソフォーンのリードはクラリネットのリードとはわずかに違ったプロポーションで、同じ長さに対して幅が広い。リードは様々なブランド、スタイル、および強度のものが市販されている。サクソフォーン奏者は、強さ(硬さ)や素材の異なるリードを使って、どの強さやカットが自分のマウスピースやアンブシュア、生理、演奏スタイルに合っているかを実験する。 マウスピースの設計は音色に重大な影響を与える。異なる演奏スタイルには、異なる設計特性・特徴のマウスピースが好まれる傾向がある。初期のマウスピースは、クラシック演奏のための「温かみのある」、「丸みのある」音を出すために設計された。クラシックのマウスピースの中でも、凹型(「掘り込み型」)の「チャンバー」を持つものは、アドルフ・サックスの原初の設計に忠実である。これらは、クラシック演奏のラッシャー(英語版)派に好まれる、より柔らかな(あまり突き刺さらない)音色を与える。マルセル・ミュールに影響されたクラシック演奏のフランス派に従うサクソフォーン奏者は、高次の倍音を比較的多く含む幾分「明るい」音色のために一般的により小さなチャンバーを持つマウスピースを使用する。1920年代以降のダンス楽団やジャズアンサンブルでのサクソフォーンの使用は、「ダイナミックレンジ」と遠達性(プロジェクション)を重視し、これによってマウスピースのチャンバー形状や先端デザイン、金属構造に革新をもたらされた。クラシックのマウスピースとは対極にあるのが、チャンバーが小さく、先端とチャンバーの間のリードの上のクリアランス(隙間)が低いもので、ハイ「バッフル」と呼ばれる。これらは、最大のプロジェクションを持つ明るい音を生み出し、アンプに接続された楽器の中で音を際立たせるのに適しており、現代ポップスやスムースジャズで一般的に使用される。 マウスピースは、加硫ゴム(エボナイトと呼ばれることもある)、樹脂、および青銅あるいは外科用ステンレス鋼(英語版)といった金属など多種多様な素材で作られる。これまで使われたあまり一般的でない素材には、木、ガラス、水晶、磁器、骨がある。最近、デルリンがマウスピースの素材に加わった。 マウスピース素材のサクソフォーンの音色への影響はこれまで多くの議論の対象となってきた。ラリー・ティール(英語版)によれば、マウスピースの素材は音に、たとえあったとしても、わずかしか影響を与えず、物理的な寸法がマウスピースに音色を与える。「暗く」鳴る金属製のマウスピースや「明るく」鳴る硬質ゴム製のマウスピースの例がある。金属に比べて硬質ゴムの剛性が低いため、金属を使うよりも音色やレスポンスに影響を与える設計特性が制限される。硬質ゴムの先端付近に必要とされる追加体積が、口の位置や気流特性に影響を与える。最近では、ネックコルクに入る「シャンク」の上のマウスピースの質量を増やすことが、マウスピースとネックの接続部を安定化することによって倍音列の完全性を高めるための設計要素となっている。シャンク重り(シャンクの上にある真鍮の大きな輪)は、「共鳴と遠達性」を高めるために、一部のデルリン製マウスピースで使用されている。硬質ゴムのボディーとがっしりした金属製シャンクを採用した他の「ハイブリッド型」設計も同様の質量分布を持っているものの、製品説明では音の特性への寄与は強調されていない。
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