ブレーン‐トラスト【brain trust】
ブレーントラスト
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/03/14 21:25 UTC 版)
ブレーントラスト(brain trust)とは、政府・政治家が政策の立案・検討などを行う際に相談役となって、各専門分野について助言する学識経験者[1]。私的な顧問や相談役なども意味する。「ブレーン」「ブレイン」と呼ばれることが多い。
概要
ブレーントラストとは、政府や政治家などに対して助言をする専門家集団のことであり、特に大統領や首相に仕える側近として、政策の立案に関する任務に携わる顧問や補佐役をいう[2]。アメリカ合衆国の第32代大統領フランクリン・ルーズベルトがニューディール政策を行った際、その政策の立案・遂行に当たったバーナード・バルークを例とする顧問団の呼び名に由来する。転じて、政府や企業体の諮問機関や政治家などの相談役を務める専門家などのグループや知能顧問を意味するようになった[1]。
20世紀に入り、国家機能の拡大に伴い政府の業務も増大し、ルーズベルト大統領時代にニューディール政策、第二次世界大戦と、政府の機能は飛躍的に拡大し、大統領の強い政治指導が要請されるに至った。それに伴って分身ともいうべき側近が必要とされ、ルーズベルトの時代にはブレーントラストとしてスタッフ機能が強化された[3]。
指導者が知恵袋であるブレーンの知恵を借りて行う政治をブレーン政治というが、通常は官僚組織以外からの頭脳をブレーンと呼び習わしている。現在では指導者の政策助言者がブレーン、あるいはブレーン・トラストと呼ばれている[4]。
日本では、内閣が対応すべき各種分野において優れた専門的知見を有する人材として首相が内閣官房参与を直接任命し、任じられた当人は首相の諮問に対して直接意見を述べて、また情報提供や助言を行うことから、首相のブレーン的な存在である[5]。
代表的な人物
脚注
- ^ a b 第2版, ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典,精選版 日本国語大辞典,デジタル大辞泉,世界大百科事典. “ブレーントラストとは”. コトバンク. 2021年8月17日閲覧。
- ^ 第2版, ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典. “ブレーン・トラストとは”. コトバンク. 2021年8月17日閲覧。
- ^ 第2版, ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典,精選版 日本国語大辞典,デジタル大辞泉,世界大百科事典. “ブレーン・トラストとは”. コトバンク. 2021年8月17日閲覧。
- ^ 第2版, ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典,精選版 日本国語大辞典,デジタル大辞泉,世界大百科事典. “ブレーン政治とは”. コトバンク. 2021年8月17日閲覧。
- ^ 内閣官房参与とは マネー辞典m-Words
関連項目
ブレーントラスト
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/01/06 09:49 UTC 版)
海軍はシーメンス事件以降、陸軍と異なり極端とも言える程政界とは疎遠な存在となったが、日華事変以降は海軍の政治体制への不備が表面化しつつあった。このため、海軍部内に軍務局付属機関として調査課が1939年(昭和14年)に制度化された。これに加え、高木の提案により、日本の戦争理念の研究、生産増強策の提案、海軍政治力の補強に貢献すべく、各方面より人材を確保して構築したのが以下のブレーントラストである。戦時体制強化と共に次々と開設された。 思想懇談会 安倍能成(第一高等学校長、のち文部大臣)、冨塚清、服部静夫、藤田嗣雄、和辻哲郎(東京帝国大学教授)、岸田国士(劇作家)、関口 泰(朝日新聞社)、仁科芳雄(理化学研究所)、木下杢太郎(作家)、幹事 谷川徹三(法政大学教授、のち総長) 外交懇談会 伊藤正徳(時事新報)、稲畑勝治(外交評論家)、神川彦松、高木八尺(東京帝国大学教授)、田村幸策(中央大学教授)、松下正寿(立教大学教授)、鶴見祐輔(著述評論家)、 幹事 三枝茂智(明治大学教授) 政治懇談会 岸本誠二郎(京都帝国大学教授)、佐々弘雄、緒方竹虎、田中慎次郎(朝日新聞社)、杉原荒太(外務省、のち防衛庁長官)、湯川盛夫(外務省、駐英大使)、田中二郎(東京帝国大学助教授)、細川護貞(近衛文麿秘書)、幹事 矢部貞治(東京帝国大学教授) 総合研究会 板垣与一(東京商科大学)、大河内一男(東京帝国大学助教授)、三枝茂智(前項)、高山岩男(京都帝国大学教授)、谷川徹三(前項)、武村忠雄、永田清(慶應義塾大学教授)、矢部貞治(東京帝国大学教授)、松下正寿(前項)、幹事なし 経済研究会 板垣与一(前項)、大河内一男(前項)、武村忠雄(前項)、松下正寿(前項)、永田 清(前項) 太平洋研究会 松下英麿、畑中繁雄(中央公論社)、大森直道(改造社)、加田哲二、平野義太郎等 戦時生産研究会 松前重義(逓信省工務局長)が主宰し各省中堅事務当局者 対米研究会 都留重人(経済学者)、野田岩次郎(実業家)、松下正寿(前項) 法律政策研究会 田中耕太郎、石井照久(東京帝国大学教授)、田中二郎(前項) 嘱託 天川勇(慶應義塾大学)、江沢謙治、溜島武雄、田中精一、谷口良彦、中山伊知郎(東京商科大学)、大熊信行(高岡高等商業学校)、大患代夫、加田哲二(慶應義塾大学)、清水澄(東京帝国大学)、清水幾太郎、杉村章三郎(京都帝国大学)、高木友三郎(明治大学)、本位田祥男、穂積重遠、蠟山政道(東京帝国大学) 海軍省顧問 井上庚二郎、岡田文秀、竹内可吉、藤原銀次郎、藤山愛一郎、松江春次、山崎巌、東竜太郎、湯川盛夫 このメンバーの中には、東條内閣の戦時体制強化への批判から後述の東條首相自身の暗殺計画に賛同・参加する者も存在した。
※この「ブレーントラスト」の解説は、「高木惣吉」の解説の一部です。
「ブレーントラスト」を含む「高木惣吉」の記事については、「高木惣吉」の概要を参照ください。
- ブレーン・トラストのページへのリンク