フィクションにおける邪馬台国
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「邪馬台国」の記事における「フィクションにおける邪馬台国」の解説
フィクションの世界では邪馬台国は九州説や東遷説をとっているものが多い。 横光利一の小説「日輪」(1923年)では、具体的な地理は出てこないが、卑弥呼は元々不弥国(本作では「うみ」とルビ)の出身で、奴国との抗争の結果、耶馬台(「やまと」とルビ)に行ったとされている。これら三国はお互いにすぐに攻め込める程度の距離関係として描かれている(船に乗ったりする描写はない)。奴国は考古学上九州北部に比定されている国である。 手塚治虫の漫画『火の鳥 黎明編』(1967年)は邪馬台国を舞台としている。卑弥呼を連想させるキャラクターも登場する。邪馬台国は九州にある倭の大国(火の鳥が棲む火の山が九州にあり、海を渡る描写もある)だったが、卑弥呼の死後に大陸から渡った騎馬民族に滅ぼされた。当時、一般に強い影響を与えた騎馬民族征服王朝説に立ち、騎馬民族の長のニニギが後の皇室の始祖と解釈している。この漫画は『火の鳥』のタイトルで1978年に実写映画化された。監督は市川崑、主演は高峰三枝子。 1974年に篠田正浩監督、岩下志麻主演による映画『卑弥呼』が制作された。映画に出る火口は阿蘇を思わせるが撮影は吾妻小富士で行われた。映画の最後では近畿の古墳群が撮影されるなど、九州説と畿内説の両方が暗示されている。 安彦良和の漫画『ナムジ』(1989年-1991年)は、ナムジ(おおなむち、すなわち大国主)を主人公に神話を独自解釈した作品。邪馬台国は九州にあり、スサノオ率いる強国出雲と敵対している。卑弥呼は天照大神に比定されている。続編の『神武』(1992年-1995年)は、卑弥呼の孫のイワレヒコが(政略結婚のため)畿内へ東征しヤマト王権の祖となる東遷説を採っている(市井の古代史研究者である原田常治の著書の影響を大きく受けている)。 星野之宣による漫画『ヤマタイカ』(1986年-1991年)および『宗像教授異考録』第2集第2話:『割られた鏡』(2005年)では、九州・甘木と畿内・奈良、そして九州・日向と畿内・熊野の地名相似をひとつのキーワードとして、邪馬台国の場所は九州説、そして東遷説(甘木→阿蘇平野→日向→熊野→大和)を採用している。また、「火」をもうひとつのキーワードとして、卑弥呼(火を司る巫女の女王)-天照大御神(太陽神)-伊邪那美(火山神)の三者を同一の存在としている。 作・寺島優、画・藤原カムイによる漫画『雷火』(1987年-1997年)は、邪馬台国の乗っ取りを図る張政(魏から派遣された役人)とライカたちとの神仙術を駆使した戦いを描く作品。邪馬台国の場所は九州説を採用している。 矢吹健太朗による漫画『邪馬台幻想記』(1998年-1999年、連載前の読みきり分を含む)。卑弥呼亡き後、その意思を継ぎ倭国統一を目指していた壱与(台与)と、国王を暗殺し国を滅ぼす「国崩し」を行っていた少年、紫苑との出会いと触れ合い、壱与を亡き者にしようと企む敵との戦いを描いている。短期打ち切りのため様々な伏線を回収することなく唐突な終り方をしている。上述雷火の強い影響を受けたと思われる作品。邪馬台国の場所は九州説を採用している。 都築和彦による漫画『IZUMO』および『やまとものがたり』では九州説を採用している。
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