ビンロウ
びん‐ろう〔‐ラウ〕【×檳×榔】
読み方:びんろう
ビンロウジュの別名。
ビンロウ
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2026/05/13 05:22 UTC 版)
| ビンロウ | ||||||||||||||||||||||||
|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
ビンロウの木と果実
|
||||||||||||||||||||||||
| 分類(APG III) | ||||||||||||||||||||||||
|
||||||||||||||||||||||||
| 学名 | ||||||||||||||||||||||||
| Areca catechu L. (1753)[1] | ||||||||||||||||||||||||
| 和名 | ||||||||||||||||||||||||
| ビンロウ | ||||||||||||||||||||||||
| 英名 | ||||||||||||||||||||||||
| Betel Palm |
ビンロウまたはビンロウジュ(檳榔、学名:Areca catechu)は、太平洋・アジアおよび東アフリカの一部で見られるヤシ科の植物。
種子は嗜好品として、噛みタバコに似た使われ方をされ、ビンロウジ(檳榔子[2]、英: areca nut / betel nut)という場合は通常この種子を指すが、発がん性が指摘されており、「死の実」とも呼ばれる[誰によって?] 。マレー語では pinang と呼び[3]、ペナン島の名の由来となった植物である。
生態
単幹で高さ10 - 17メートル (m)、まれに30 mに達する。高さの割にはほっそりした樹形をしており、幹には葉痕である横縞がある[2]。雌雄同株であり、1つの花序に雌雄の花をそれぞれつける。果実は長楕円形、長さ5センチメートル (cm) 前後でオレンジ色から深紅色に熟す[2]。果実は1本の幹に大量につくが、1個の果実の中にはマーブル模様の種子が1個入っている[2]。
ビンロウジと呼ばれる果実と、そこに含まれる化学物質をとるため、インドから熱帯アジア、フィジーまで、大規模農場で栽培されている[2]。
利用
ビンロウジを噛むことはアジアの広い地域で行われている。
仮名垣魯文の西洋道中膝栗毛五編上では、セイロン島で北八が現地人と相撲を取る際に、同行の通訳がビンロウの葉を軍配代わりにして行司を務めている。
生薬
また、ビンロウジの粉は単独では歯磨剤や虫下しに使用される。漢方方剤では、女神散(にょしんさん)、九味檳榔湯(くみびんろうとう)などに配合される。日本では薬局方にも記載されている[5]。日本への生果実の輸入はミカンコミバエ種群(ミバエ)の発生地域からは不可能だが、韓国などミカンコミバエ種群が発生していない地域からなら可能である[6]。また、ミカンコミバエが死滅していると考えられる製法(瓶詰、真空パック、十分に乾燥させたもの)を用いていれば、ミカンコミバエ種群の発生地域からも輸入可能である[7]。「ビンロウは麻薬であるから日本に持ち込むことができない」という認識は誤りである[8]。
染料
日本ではおおよそ室町時代[9]から合成染料が普及する大正中頃まで、ビンロウの子実が着物の染料として使用され、檳榔子染と呼ばれた。これは種子に含まれるカテキンやタンニンを利用した阿仙薬[10]で、鉄触染だけでは褐黒色や紫黒色に染まるが、あらかじめ藍染めや紅色に染めておいた布や糸に使用すると深い黒色となり、また絹織物の重量を増やす増量剤としても使用された。檳榔子染は礼服の黒紋付のなかでは高級品に多く使われた[11]。
ビンロウ酒
マレーシアやインドネシアに見られるビンロウ酒は、ビンロウジの実を搾った汁液を発酵させた酒で、『古今図書集成』には「南蛮傳馬留人、取檳榔瀋為酒」(南蛮のマレー人は、酒を造るために檳榔を採った)と記されている。
園芸種として
ヤシの中では小さなうちから整った姿で育つため、アレカ、アレカカテキュなどの名で鉢物の観葉植物として利用される。似た名前の種にアレカヤシがあるが、こちらはディプシス属の別種である[12]。
成分
ビンロウジにはアレコリン(arecoline)というアルカロイドが含まれており、タバコのニコチンと同様の作用(興奮、刺激、食欲の抑制など)を引き起こすとされる[2]。ビンロウジ噛みにおいては、このアルカロイドをよく抽出するため石灰を加える。
ギャラリー
-
19世紀に描かれたビンロウの植物画
-
実のついたビンロウの幹
-
ビンロウの新芽
-
インド、クールドゥ地方のビンロウの苗木
-
台湾のビンロウ栽培地
-
ビンロウの実(インド・ケララ州)
-
ケララ州のアレカ・カテチュの葉で作られた帽子パラトピ(外観)
-
ケララ州のアレカ・カテチュの葉で作られた帽子パラトピ(内側)
-
ミャンマーのパーン作りに使われるビンロウの実
脚注
出典
- ↑ 米倉浩司・梶田忠 (2003-). “Areca catechu L. ビンロウ(標準)”. BG Plants 和名−学名インデックス(YList). 2024年8月10日閲覧。
- 1 2 3 4 5 6 ドローリ 2019, p. 118.
- ↑ 熱帯植物研究会 編「ビンロウ Areca catechu L.」(ラテン語)『熱帯植物要覧』(第4版)養賢堂、1996年、520頁。ISBN 4-924395-03-X。
- ↑ Linnaeus, Carolus (1753). Species Plantarum. Holmia[Stockholm]: Laurentius Salvius. p. 1189
- ↑ “第十六改正日本薬局方 1575ページ”. 厚生労働省. 2012年3月23日閲覧。
- ↑ “海外から野菜や果物を持ち込む際の規制(韓国)”. 植物防疫所. 2012年3月25日閲覧。
- ↑ “檳榔(ビンラン、ビンロウ、檳榔子)の輸入にまつわる法規”. 空落科技. 2012年3月23日閲覧。
- ↑ “中国本土3300キロをタクシーで巡る(その1)湖南省にある珍しい嗜好品”. 喜多村豊. 2012年3月27日閲覧。
- ↑ 上村 1966, p. 28.
- ↑ 上村 1966, p. 40-41.
- ↑ 上村 1966, p. 66.
- ↑ 東海園芸.
参考文献
- 家永泰光『穀物文化の起源』古今書院、1982年1月。 ISBN 4772210601。
- 小泉武夫『奇食珍食』中央公論社、1987年7月。 ISBN 4120015963。
- 植松黎『毒草を食べてみた』文藝春秋、2000年4月。 ISBN 4166600990。
- ジョナサン・ドローリ 著、三枝小夜子 訳『世界の樹木をめぐる80の物語』柏書房、2019年12月1日。 ISBN 978-4-7601-5190-5。
- 上村六郎「三二 檳榔子」『日本の草木染』京都書院、1966年、66-69頁。NDLJP:8799522/135。
- “アレカ”. OPTE 東海園芸株式会社. 2026年4月29日閲覧。
- 「愛用していたら口腔がんに…」 中国が販売禁止令を下した「死の実」とは (中央日報日本語版、2022年9月23日掲載)
関連項目
「ビンロウ」の例文・使い方・用例・文例
固有名詞の分類
- ビンロウのページへのリンク
