ドイツ観念論による弁証法的回答とは? わかりやすく解説

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ドイツ観念論による弁証法的回答

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/07/02 23:17 UTC 版)

弁証法」の記事における「ドイツ観念論による弁証法的回答」の解説

ドイツ観念論一口に言ってもフィヒテシェリングヘーゲル等の間には、思想内容かなりの差異があり、互いに批判し合う関係にすらある。そんな彼らに共通しているのは、「ドイツ観念論」(German idealism)という分類・表現に象徴的に表されているように、「ネオプラトニズム」→「ドイツ神秘主義」(エックハルトクザーヌス等)と続く神秘主義系譜継承されてきた、「一者」及び、それとの「合一」への志向願望である。 彼らはこうした志向の下、カント二元論的批判哲学枠組みを、より主体的な観点から乗り越え、「一者」へと至る道程枠組みとして組み立て直すべく、それぞれに模索説明していくことになった。そしてこれは、総じてドイツ観念論枠組みが、カント枠組みよりも、経験的主観的直観的傾向がより強く、また「先決」的性格内容が弱いことを意味する言い換えれば一見経験論的でありながら他方で「一者」を遠方背後根底に見つつ、それによって保証され調和的な道程弁証法的に上っていくという点で、野放図でも懐疑論的でもない、そんな枠組みとしてドイツ観念論枠組み位置付けられることになる。 ヘーゲル場合こうした人間主観意識理性)によって掴まれないものは認めない」という姿勢は、ヘーゲルの『法の哲学』の序文における、「理性的なものは現実的であり、現実的なものは理性的である」の一文象徴的に表現されている。 「ミネルヴァの梟ふくろう)」の例え有名な、この序文でも端的に述べられているように、ヘーゲル言わせれば、哲学は、常に現実後追いしているに過ぎない現実歴史がその形成過程終えてから、ようやくそれを反映するように観念的な知的王国としての哲学築かれる(「ミネルヴァの梟黄昏に飛び立つ」)のであって、「哲学到来はいつも遅すぎる」し、決して「あるべき世界」を教えてくれるようなものでもない哲学現実越えた彼岸的なもの」を打ち立てることができないし、そんなものは「一面的空虚な思惟誤謬の中」にしかない。 つまり、カント等に見られるように、その時々で、あらかじめ、ある形式真理先決して、体系構築したとしても、その真理はその形式・体系中における限りでの真理であるに過ぎず現実将来的見通しもたらす普遍的真理になるわけでもないし、条件変わり、その形式・体系が変わるに伴い雲散霧消して、また別に新たに生み出されるような、仮初真理他ならない。したがって本物普遍的真理到達するためには、そうした先決や、時々の形式・体系への固執は、むしろ不要・邪魔であり、避けられなくてはならない。 そのため、彼にとっては、哲学がなすべきことは、あくまでも時間的に過ぎ去りゆくものの中に内在的現在的かつ永遠なものを (外的な形態化されたものの内にも脈打つ内的な脈動を)概念的に認識する」ことであり、「実体的なものの中にいながら主体的な自由を保持しようとし、それでいながら、特殊的・偶然的なものの内にではなく即自かつ対自的に存在するもの(自覚認識充足一体性形式と内容一体性)の内にいようとする内的な欲求従った現実との熱い和解・平和」である、ということになる。 つまり、哲学は、人間主観認識が、己の性質欲求従いつつ、主体的かつ漸進的に試行錯誤を経ながら、現実調和していく形で、真理絶対知到達していく過程道程として、また、その最終的な結実として、捉えられなくてはならない。 そこで、人間現実認識対立媒介通して展開し絶対知到達していく過程ダイナミズム内実着目する、「ヘーゲルの弁証法」と呼ばれるような考え方が、持ち出されることになる。 (なお、こうした論理厳密な形式性を巡っては、学問的にそれを重視洗練させていく流れフレーゲラッセル前期ウィトゲンシュタイン等、数学近接し数理論理学となり(数学論理主義形式主義ゲーデルの不完全性定理によって一定の限界示される)、また分析哲学へとつながる)と、逆に、生の人間・社会存在様式寄り添いながら、その形式根拠問い直していく流れ((ヘーゲルマルクス、)フッサール現象学)、マルティン・ハイデッガー実存主義構造主義ポスト構造主義ポストモダニズム)等)に、西洋思想大きく分岐していくことになる。そして、そういった形式的基礎付けを巡る議論とは別に現実に役立つ経験主義実証主義自然科学応用科学実学)、あるいはプラグマティズム等の流れ存在している。)

※この「ドイツ観念論による弁証法的回答」の解説は、「弁証法」の解説の一部です。
「ドイツ観念論による弁証法的回答」を含む「弁証法」の記事については、「弁証法」の概要を参照ください。

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