デビューから集英社との途絶とは? わかりやすく解説

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デビューから集英社との途絶

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/04/02 10:18 UTC 版)

嬉野秋彦」の記事における「デビューから集英社との途絶」の解説

デビューが決まる前の1994年1月大学4年目が終わろうとする時期にもかかわらず卒業見込みがない状態だった。当時は、本屋でのバイト読書ゲーム、それに小説執筆明け暮れていて、ろくに大学にも通っていなかった。留年決定しており、しかも3か月後にはそれまで住んでいたマンション出ていかなければならない状況にあった嬉野は、絶望どん底にいた。そういうわけでデビュー決まった時は作家としてやっていけ保証などまったくなかったにもかかわらず、これでもう好きなことだけやって生きていけると本気で思い込んでいたが、実際のところはそのあとまた暗澹たる気持ちさせられることとなる。スーパーファンタジー文庫以後SF)というのはコバルト文庫イトコみたいなもので、毎月発刊点数2、3点しかなく、新人嬉野には4か月1度しか刊行チャンス回ってこなかった(デビュー作売れなかったのもあるようだ)。嬉野デビュー直後コミックゲーメスト』で、コミック版餓狼SP』の原作ストーリー読者から広く公募するという企画応募し、2作残った最終選考落とされたもののその応募作での縁でゲーメストZ文庫立ち上げにかかわることになり、ヴァンパイアハンターノベライズ担当した96年アタマ、Z文庫の2冊目が出た直後あたりにSF文庫担当知られよそで書かないようにと言われたものの、実は角川スニーカー文庫書くこと決めていた。 95年11月当時スニーカー文庫編集長が、「最近誰か注目している作家はいませんか?」と秋津透尋ねたところ、中国モノ好きな秋津が名前を出してくれた。そこで編集長連絡取ろうとしたのだが、当時SF文庫(=コバルト文庫)は、会社またいだ編集者同士の横のつながりがなく、連絡先を知る方法がなかった。ところが、当時スニーカー編集部に、ゲーム系の編集プロダクション出身で少し前までゲーメスト編集部出入りしていた編集者がいて、Z文庫担当を介して連絡が来たのである時期見てありていにいえば事後承諾の形で)、集英社に話を通す予定だったが何かの手違いで、『ザ・スニーカー』の予告に名前が載ってしまった。これが書店並んで集英社担当の目に留まれば、こっそりスニーカー仕事進めていたことがバレてしまう(本当は、予告にも名前は出ないはずだった)と思いどうやって集英社スニーカー仕事バレるとなった嬉野は、覚悟決めてこの段階でみずから打ち明けることにした。『ザ・スニーカー最新号が出るのを待って、こちらから編集部電話入れたのである。しかし、担当は『ザ・スニーカー』に目を通しておらず、嬉野は「この担当さんは、おそらくラノベ編集業務意に染まない仕事だったのだとは思うが、ラノベに対しても、それを書く作家(すなわちぼく)に対しても、あまり関心がない人だった。もしバリバリやる気のある担当さんであれば、当然ライバルレーベルである角川の『ザ・スニ』にも目を通していただろうし、それ以前に、95年の夏の段階で、ぼくがZ文庫書いていることにも気づいていただろう。まがりなりにもレーベル創刊ラインナップだったんだから」と語っている。 関心の薄い担当でも、さすがに自分のところの受賞作家が、スニーカー文庫というメジャーレーベル無断仕事をするのはまずいと思ったらしく、結局その日の夜(長い電話でのやり取り終わったあと)、神保町呼び出され発行差し止めるよう言われた。秘密裡にことを進めてきたということは、いわば集英社に対して騙し討ち仕掛けたようなものであるから、後ろめたさはあったものの、かといっていまさら発行差し止めるつもりもない。最悪、これを最後に集英社から干されるかもしれないことも覚悟の上で、いいたいことをすべてぶちまけたスニーカーではイラストレーター選定段階から著者意見聞いてくれ、キャラクターデザインイラスト位置にも口を出せるが、SFではそれができないスニーカーではイラスト点数多くカラー口絵もあるが、SFでは口絵すらなかった。スニーカーでは雑誌媒体でのフォローがあるが、SFではデビュー時でさえ何のフォローもなかった。デビュー時孤立無援で、『大賞受賞作!』と書かれた帯以外、新人作家自分アピールしてくれるものは何もなかった。こんなことならコバルト大賞に送るべきだと思った。あっちなら定期的に雑誌の仕事回してもらえたかもしれない。さして売れているわけでもない外様自分を、スニーカープッシュして売ろうとしてくれていて、それを断る理由はない。「……そういうことであればこれまでのように仕事お願いすることはできなくなるかもしれませんよ?」というのが、担当最後の言葉だった。そしてそのあと実際にSF文庫からの連絡途絶え嬉野連絡しなかった。

※この「デビューから集英社との途絶」の解説は、「嬉野秋彦」の解説の一部です。
「デビューから集英社との途絶」を含む「嬉野秋彦」の記事については、「嬉野秋彦」の概要を参照ください。

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