ダム嵩上げ
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/07/21 15:20 UTC 版)
一方完成より40年が経過し施設は次第に老朽化していった。特に洪水を放流するゲートは旧式で細かな水量調整ができず、放流時にはある程度全開操作を行わなければならないため効率的な水運用が出来なかった。また周辺地域の水需要は急激に変化、東北自動車道・東北新幹線の開通や仙台市のベッドタウンとして栗原地域は人口が増加し、上水道需要がひっ迫。また1987年(昭和62年)に細倉鉱山が閉山し精錬事業のみを継続、さらに精錬事業も縮小し銅・亜鉛のリサイクル事業に特化したことで鉱山への上水道・工業用水道・水力発電需要が減少した。 様々な要因が重なったために県は1991年より花山ダムの施設改良を柱とした「花山ダム再開発事業」に着手した。これはダムの高さを0.7m嵩上げしゲート・取水塔を改築した。特にゲートについては下段の親ゲートと上段の子ゲートの二段式ゲートに改良、洪水期以外の放流に関しては子ゲートを開いて親ゲートより越流させて、自然流下による放流を行う方式とした。これは近年のダム型式における主流である自然調節方式である。 2005年に完成したこの事業によって従来の目的に上水道機能が追加され栗原市及び登米市に日量19,000トンの上水道を供給するほか、洪水調節機能を強化して毎秒1,350トンの計画高水流量を毎秒230トン(毎秒1,120トンのカット)に低減。再開発前に比べさらに毎秒175トンの貯留が可能になり、新しい花山ダムとしてリニューアルスタートを切った。水力発電事業に関しては三菱川口第一発電所は現在も稼働中であり、三菱川口第二発電所と共に三菱マテリアルの関連企業となった細倉金属鉱業に管理が移行され、引き続き電力を同社に供給している。
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