ダム堆砂の弊害
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/09/01 20:21 UTC 版)
堆砂については個々の水系の地形・地質・降水量・流水量・地殻変動等多種の要素を勘案して議論しなければならないため、「100年でダムが満杯」と一律に語ることには語弊があり、誤解を招く。しかし、目的のいかんを問わずダム湖流入部等の流速が弱まる場所で堆砂が進行すれば、局地的な河床上昇等により河岸侵食や洪水をもたらす要因になるという指摘がある。泰阜ダム(天竜川)では上流の小渋川から流出する大量の土砂によって堆砂が進行、これにより1961年(昭和36年)の梅雨前線豪雨による水害(三六水害)の要因になったとの指摘が今なおなされている。 また近年地球温暖化に伴う集中豪雨は雨量の局地化、集中化と降雨量の極端な増加を招いているが、こうした気候変動などにより洪水時の堆砂流出量が増加するという変化もおきている。治水ダム・多目的ダムにおいては堆砂は洪水調節機能の低下に直結するため、計画容量だけでなく対策費の額も今後大きく変わる可能性もある。従って、放置したままでは堆砂に伴う先述のような弊害が起こりうることは疑いのない事実であり、近年の深刻な海岸侵食の一因にダムが挙げられていることを考慮すると、猶予のない対策が要求される。
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