ダム堆砂の現状
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/09/01 20:21 UTC 版)
ダムの堆砂を測るものとして堆砂率(たいしゃりつ)がある。堆砂率が、20パーセントを超えると堆砂が進行していることになる。水系別ダム堆砂率で見てみると、中央構造線付近を流域に持つ天竜川・大井川・富士川において水系内全ダム堆砂率が30パーセントを超えている。堆砂率上位10ダムの大半はこの3水系で占められる。他の河川ではどうかと言うと、全国109の一級水系においてダム堆砂が30パーセント以上進行している水系は前述3水系のほか、四万十川と那賀川の計5水系である。日本の主要水系では木曽川水系が15パーセント、信濃川水系が8パーセントであり、石狩川・北上川・利根川・淀川・吉野川・筑後川では5パーセント程度しか堆砂が進行していない。なお、排砂事業を実施している黒部川水系では16パーセント、川辺川ダムで問題と成る球磨川水系では7パーセントである。 ダム個別で堆砂進行状況を見ると、日本では千頭ダム(寸又川)の97パーセントが最高である。将来的な堆砂状況を試算した場合、堆砂問題が特に深刻な天竜川水系では佐久間ダム(天竜川)が無対策で放置した場合約200年で貯水池が砂で満杯となる試算が出ている。天竜川水系や大井川水系等、中央構造線付近にあるダムは地質的に土砂が流入しやすいため、多少にかかわらずこの傾向がある。だが、同様の試算で堆砂の影響が少ない河川の場合、矢木沢ダム(利根川)で約2,600年、岩洞ダム(丹藤川)では実に約70万年未対策で放置しないと貯水池が堆砂で満杯にはならないとされる。 一般にダム湖における堆砂は上流からの河川の平常時の流量では発生せず、豪雨等による急激な増水や、流域内での崩壊・火山噴火といった急激な土砂生産にともなって発生する。2019年10月の令和元年東日本台風(台風19号)では宮ヶ瀬ダムの直下の副ダムである石小屋ダムにおいて右岸の支沢で土石流が発生した。これにより急激な堆砂が発生した。
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