ダム建設と放水路
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/05/02 07:01 UTC 版)
千歳川本川は上流の水明渓谷に既に4基のダムと小堰堤が建設され、これ以上ダム建設に適した地点が無かったため、左支川の漁川に特定多目的ダム法に基づく多目的ダムを建設することで洪水調節を図ろうとした。 漁川ダムは1971年(昭和46年)から建設が開始され9年の歳月を掛け、1980年(昭和55年)に完成した。漁川合流点より下流の千歳川及び石狩川の洪水調節、既得農業用水利権分の取水量維持のための不特定利水、恵庭市・千歳市・江別市・北広島市への上水道供給が目的である。完成後はダム湖のえにわ湖、ダム下流の公園等が恵庭市民憩いの場となっている。 ところがダム完成の翌1981年(昭和56年)、千歳川を含め石狩川水系は過去最悪の洪水を起こした。これは石狩川の洪水が低地で河川勾配の緩い千歳川に逆流して長期間滞留し、支流の河水が千歳川に流入できなかったことが被害を拡大した。このため翌1982年(昭和57年)に石狩川水系の治水計画である『石狩川水系工事実施基本計画』が全面改訂され、千歳川本川の治水計画として「千歳川放水路計画」が立案された(詳細は石狩川#公共事業の見直し_-_千歳川放水路の中止を参照)。 だが、計画流路内に野鳥の楽園ウトナイ湖がある事から環境破壊に繋がるとして激しい反対運動が巻き起こり、1999年(平成11年)に計画は白紙となった。 現在の千歳川の治水対策は、堤防建設と川幅拡幅・浚渫をメインにして遊水池を併設するヨーロッパ型の治水計画を行っており、ダム計画は全く検討されていない。
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