セルフ・ポートレートとは? わかりやすく解説

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セルフ‐ポートレート【self-portrait】

読み方:せるふぽーとれーと

自画像絵画でもいうが、写真用いられることが多い。


セルフポートレート

作者釉木淑乃

収載図書ケンタウロス座
出版社集英社
刊行年月1995.6


自画像

(セルフ・ポートレート から転送)

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/01/14 00:38 UTC 版)

レンブラント・ファン・レインの自画像、1655年
カラヴァッジオ、『病めるバッカス1593年 - 1594年

自画像(じがぞう、self-portrait、セルフ・ポートレイト)は、作者自らを対象とした肖像である。普通は油彩画やドローイング似顔絵などの絵画の形式であることが多いが、中には自らを刻んだ彫刻、自らを写した写真など他の手法が使われることもある。

また小説ルポルタージュなどの中で、自らのことを書いた作品(たとえば自伝など)や自らの属する集団を描いた作品に「自画像」と題されることがある。

概説

肖像画は古くより存在したが、神仏や社会に仕える存在だった画家が自らの姿を描くようになったのはそう古いことではない。古代ギリシア彫刻家ペイディアスはアテナ像の持つ盾の模様に自身の姿を紛れ込ませた際、不敬罪に問われたとされる。西洋ではルネサンス期以降、画家や彫刻家は宗教画の群集の一部に自らを紛れ込ませたり、人物画のモデルとして扮装した自分自身を使うなどおずおずと自分自身を描くようになったが、それ以後の16世紀から17世紀にかけて、自画像は公然となり美術の重要なジャンルとなった。

自らの姿を宗教画にまぎれさせていたころ、自画像を隅に描く目的は画家自らの謙虚さを表すことだったが、後には自らの姿をさらすことへの恥じらい、あるいは画家の虚栄心や自己愛や地位誇示の反映となった。自画像が盛んになると、自分の客観視を通じた自己探求、あるいは自分の理想化、自己の内面や存在の表現などが目的となっていった。

自画像といえば自分自身のみを大きく描いたものが連想されるが、芸術家は自らの姿を集団の肖像の中にまぎれさせることもある(ディエゴ・ベラスケスの『ラス・メニーナス』など)。また他人に扮した自らを描いたり写したりする者もおり、古くはカラヴァッジオが『病めるバッカス』など自らがモデルとなった絵画を描いた。こうした変装自画像は、モデル代を払う必要のない安上がりな手段として使われた事情もあったが、20世紀にはシンディ・シャーマン森村泰昌がこの手法で自らを映画や絵画の人物に仕立てている。

また神経を病む画家が残した自画像は、後の美術史家や精神病研究者が画家の精神状態を分析したり、精神病患者の病状を分析するために使われることもある。

自画像の分類

美術評論家ガリーナ・ヴァシリイェヴァ=シリャーピナ(Galina Vasilyeva-Shlyapina)は自画像を大きく二つに分類している。

  1. プロフェッショナルな自画像: 作品の中に自分の姿かたちを描写したもの。(職人の仕事)
  2. パーソナルな自画像: 画家自身の精神や心理まで露わにしようというもの。(作家の仕事)

さらに次のような細分化も行っている。

  1. 挿入型自画像: 歴史画や宗教画などの主題に関係した人物たちの中に、画家自身の肖像も隠れているもの。参列肖像画。
  2. 権威型・象徴型自画像: 画家自身が歴史的英雄や宗教的人物に扮したもの。変装自画像の一種。
  3. 集団肖像画ドイツ語版: 家族や集団の肖像の中に画家自身も参加しているもの。
  4. 個人型自画像: 画家が一人だけで描かれているもの。

自画像の歴史

古代

芸術作品における芸術家自身の姿は、古代エジプト壁画や、古代ギリシアアンフォラ(壷)の絵柄などに現れる。特定の芸術家の自画像に関する最初期の言及は、古代ギリシアの哲学者で伝記作家のプルタルコスの書物に見られる。彫刻家ペイディアスは、パルテノン神殿に収められる女神アテナの巨像を制作したが、アテナの持つ盾に描かれた「アマゾン族との戦い」の中に自分自身に似た人物を彫ってしまったという。「アマゾン族とギリシャ人との戦い」のモチーフはアテナ神像のほか、神殿西壁にも浮き彫りにされていた。

ルネサンス期

参考文献

  • 「絵画の教科書」 日本文教出版、監修 谷川渥 ISBN 4-7830-1006-4 より、「主題としての人間5 自画像について」(渡邊晃一)
  • 「自画像の美術史」 三浦 篤 東京大学出版会 ISBN 4130830341
  • 「画家と自画像―描かれた西洋の精神」 田中 英道 講談社 ISBN 4061595857
  • 「500の自画像」 ファイドン ISBN 4902593009

ギャラリー

女性画家

外部リンク

関連項目


セルフ・ポートレート

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/03/22 08:29 UTC 版)

森村泰昌」の記事における「セルフ・ポートレート」の解説

彼は、世に良く知られ西洋名画エドゥアール・マネルーカス・クラナッハダンテ・ゲイブリエル・ロセッティレンブラント・ファン・レインレオナルド・ダ・ヴィンチフリーダ・カーロといった画家作品)になりきるにあたって、絵の構成背景の物などに至るまで詳細なリサーチ重ねる。ライティングフェイスペインティング合成CGなども利用して人物配置色調、光の位置などまで再現する。 ただし、リサーチ過程画家文化的背景絵に描かれた人物などを自分なりに解釈した結果、完全な再現でなく大胆な変更加えることも多い。また西洋絵画中の人物に扮するにしても森村自身黄色人種日本人男性という事実は変えることができない。たとえばエドゥアール・マネ『オランピア』再現するに当たり、彼は白人娼婦黒人召使二人の女性両方変身したが、これは絵画中の人同士主従関係際立たせた。また、絵の中央横たわり男性欲望視線さらされるはずの女性扮することで、観客視線混乱させた。また、小道具の絹の敷物代わりに日本着物代わりに招き猫を置くなどしている。これはわざと日本ローカルのものに置き換えることによる笑いを誘う側面もあるが、一方でローカルの物を普遍性のある名画の中の物と等価にしてしまうことにもつながる。また、着物招き猫という組み合わせから、日本ステレオタイプである芸者への連想も可能である。 彼はこのように一枚の写真のなかに人種・民族ジェンダーなどの問題作家美術対す愛情美術史過去から現在に至る研究積み重ね画集などコピー通じてよく知っている作品イメージ対す揺さぶりなどを提起している。また、世界的に知られオリジナル作品イメージや、作品内小道具代用する大量生産まがいものローカルな産品を、彼自身肉体入り込む一枚の写真統合することで互いの距離をゼロにしてしまっている。オリジナルとそのコピー混在して消費されている現在を表現している作家といえる。 その他、西洋絵画のみならず日本画マン・レイらの写真報道写真マドンナマイケル・ジャクソンといったポップ・アイコンへの変装古今東西の名女優へ変装映像作品制作映画出演新聞コラム書籍執筆など活動の幅も広い。

※この「セルフ・ポートレート」の解説は、「森村泰昌」の解説の一部です。
「セルフ・ポートレート」を含む「森村泰昌」の記事については、「森村泰昌」の概要を参照ください。

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