サフェージュ式
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/14 15:58 UTC 版)
詳細は「SAFEGE」を参照 サフェージュ (SAFEGE) 式は、フランスのリュシアン・シャーデンソン (Lucien Chadenson) を中心とする設計チームが1957年に開発した方式である。サフェージュ式という名称は、この方式を開発するためフランス国内の25の企業が集まって結成された企業連合であるフランス語: Société Anonyme Française d'Étude de Gestion et d'Entreprises(「フランス経営経済研究株式会社」の意)の頭字語である。 軌道桁を下面中央部が開いた鋼板製の箱型とし、下面中央部にある台車に車両上部からの懸垂リンクを連結して車両を懸垂している。軌道桁の開口部両側に設けた対称形の走行桁を、台車に装備された走行輪のゴムタイヤ車輪で車両を支持・駆動し、軌道桁の内部両側面に設けたH鋼による案内軌条を、台車に装備されている水平案内車輪が両側で走行することで車両を案内する方式である。車両上部の懸垂リンクにより、カーブを通過する際には速度に見合う遠心力が車両に発生して、それにより自然に振り子のように傾くため、速度を下げずに通過できる。台車にはゴムタイヤ車輪を駆動させるための主電動機が搭載されており、電車線は剛体架線式を採用して箱型の軌道桁の上部に設置され、台車上部に取付けられた集電装置により電力が供給される。また、乗り心地を良くするため、懸垂リンクの水平方向にダンパーを取付けて、強い横風やカーブを曲がる際での遠心力による車両の傾きの動きを穏やかにする、台車に空気ばねを装備して車両の上下振動を緩和する、走行路にエポキシ樹脂などの舗装を行う場合がある。 軌道桁を支持する支柱はT型鋼製で、支柱間隔は30 - 40mとしている。この方法は走行装置や走行路が雨水・積雪にさらされることがないため、天候にかかわらず安定した運行が可能、台車からの騒音を軌道桁に封じ込めることによる騒音の低下、メンテナンスが容易、走行系メカニズムが左右対称であることから逆方向へも走行可能で単線構成が可能などの大きなメリットがある。 サフェージュ式は、1960年から7年にわたってオルレアン近郊に実験線を作りテストを行なった。この時期のものの動画は映画『華氏451』の冒頭部で見ることができる。日本ではサフェージュ式の技術導入に際し、三菱重工業が日本エアウェイ開発を設立し、東山公園モノレールで行われた実用試験を基に湘南モノレールが開通した。 サフェージュ式の派生形としていくつかのものが存在する。シーメンスが提案する運行管理システムなどを含めたSIPEMシステムは、ドイツで2か所、「Hバーン(H-Bahn: ドルトムント)」「スカイトレイン(Skytrain: デュッセルドルフ空港)」で実用化されている。アメリカ合衆国では、ダラスやシアトルにサフェージュ式をベースに高速化を目指して鉄レール・鉄輪に変更した「エアロレール (Aerorail)」が、フロリダ州タンパで鉄レール・鉄輪と箱桁内にボギー台車と台車をつなぐ床板構造をおさめた「スカイトレイン」が、それぞれ提案されているが、現状では提案のみにとどまっている。 日本の懸垂式モノレールは運転台のある車両のみの編成で構成されていることが多い。ただし、サフェージュ式の湘南モノレールは、開業当初は中間車はなく2両編成だったものの、現在では懸垂式モノレールとしては日本で唯一、中間車が存在する。サフェージュ式の千葉都市モノレールは懸垂式モノレールとしては世界最長の営業距離で、ギネス世界記録に認定されている。
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